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約1兆パラメーターで画像・音声の理解やコーディングに対応、用途別に調整できるオープンウェイトAIモデル「Inkling」登場


AI企業のThinking Machines Labが、用途に合わせた追加学習を重視する新たなAIモデル「Inkling」を発表しました。モデルの重みが公開されるオープンウェイトモデルで、文章だけでなく画像や音声も扱えるほか、思考に使う計算量の調整も可能とのことです。

Inkling: Our open-weights model - Thinking Machines Lab
https://thinkingmachines.ai/news/introducing-inkling/



問い合わせ対応AIに自社の返品規定を覚えさせたり、プログラミング支援AIに社内独自の設計ルールを守らせたりする場合、一般向けのAIモデルを導入するだけでは期待通りに動かないことがあります。企業や開発者が必要とする知識や振る舞いは用途ごとに異なるため、既存モデルへ追加学習を施す「ファインチューニング」が必要になるというわけです。


Inklingは総合性能だけを売りにするモデルではなく、利用者が目的に合わせて作り替えるための土台として開発されました。Thinking Machines Labは「優れた汎用モデルだけでは解決しにくい実務上の問題があり、組織固有の知識を使ったファインチューニングが性能差を埋める」と説明しています。

Inklingは総パラメーター数が9750億、処理時に使われる有効パラメーター数が410億のMixture-of-Experts(MoE)方式のTransformerモデルです。MoEは入力に応じて一部の専門領域だけを動かす仕組みで、全パラメーターを毎回使う場合より計算量を抑えられます。最大100万トークンの文脈を扱い、文章・画像・音声・動画を含む45兆トークンで事前学習したとのこと。

Inklingでは特定分野だけに性能を集中させるのではなく、推論、プログラミング、ツール操作、指示への対応、事実性、画像認識、音声理解などが幅広く学習されています。Thinking Machines Labは「さまざまな業務へ追加学習できるモデルには、出発点となる能力の幅広さが重要だ」としています。


AIにじっくり考えさせれば難しい問題を解ける可能性は高まりますが、生成するトークンが増えるほど処理時間と費用も増えます。雑談への返答はすぐに欲しい一方、複雑なコード修正では時間をかけて検討させたいなど、適切な計算量は用途によって異なります。

Inklingでは「思考の労力」を調整でき、速度を優先する設定から性能を優先する設定まで切り替えられます。Terminal Bench 2.1のテストでは、2026年6月の登場時にアメリカ最強のオープンモデルとうたわれていた「Nemotron 3 Ultra」と同程度のスコアを約3分の1の生成トークンで達成したとThinking Machines Labは報告しています。


プログラミングやツール操作では、指示から求人応募用のウェブアプリを一度で作成し、別のAIエージェントが保存済みプロフィールを使って入力欄を埋めるデモが公開されています。さらにウェブ検索で情報や写真を調べながら9ページの旅行雑誌風PDFの作成や、GPT Codexから40回にわたって指摘を受けながら対戦型ゲームを改良する実験も行われました。単発のコード生成だけでなく、ツールを使いながら長い作業工程を進める用途も想定しているとのこと。


Inklingの学習では、教師ありファインチューニングを出発点として3000万回を超える強化学習の試行が実施されました。数学や推論に関する複数の評価をまとめた指標は0.264から0.356まで上昇し、試行回数を増やすにつれて安定して改善したとされています。教師ありファインチューニングは正解例を手本として学ばせる方法で、強化学習は回答への評価を手掛かりに望ましい振る舞いを身につけさせる方法です。


Thinking Machines LabはInklingをOpenCode上で動かし、自社提供の追加学習サービス「Tinker」を使ってInkling自身をファインチューニングさせるデモも公開しています。Inkling自身に「回答で英字のeを一切使わないモデルへ自分をファインチューニングするように」と指示すると、Inklingは学習用データと評価方法を作り、Tinkerで学習処理を実行し、結果を検証して新しい重みへ切り替えました。所要時間は合計で約27分でした。

InklingはTinkerから64Kまたは256Kトークンの文脈長で利用でき、チャットやウェブ検索を試せるInkling Playgroundも提供されています。完全な重みはHugging Faceで公開されており、NVIDIA Blackwell向けに軽量化したNVFP4版も用意されています。

thinkingmachines/Inkling · Hugging Face
https://huggingface.co/thinkingmachines/Inkling


また、より小型の「Inkling-Small」の公開予定もあるとのこと。Inkling-Smallは総パラメーター数2760億、有効パラメーター数120億で、記事作成時点ではテスト中となっていましたが、テストが終わり次第重みが公開される予定です。

Thinking Machines LabはInklingを今後拡張していくモデル群の最初の公開版と位置付け、マルチモーダル性能や学習基盤を引き続き改善すると述べています。

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in AI, Posted by log1d_ts

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