トランプ大統領がプーチン大統領にやけに友好的な理由は「コンプロマット」説

第45・47代アメリカ合衆国大統領であるドナルド・トランプ氏のロシアに対する姿勢について、アメリカの週刊誌「The New Yorker」の記者であるアダム・デヴィッドソン氏は、2018年7月19日付けの記事で「コンプロマット」を指摘しています。
A Theory of Trump Kompromat | The New Yorker
https://www.newyorker.com/news/swamp-chronicles/a-theory-of-trump-kompromat
Interview: How Russia’s ‘Sistema’ Leads To The ‘Modernization Trap’
https://www.rferl.org/a/interview-russia-alena-ledeneva-sistema/24944910.html

「コンプロマット」は、相手の弱みになる情報や、表に出ると困る危険な情報を意味する言葉です。もともとはロシア語の「компромат(компрометирующий материалの略)」で、ヨシフ・スターリンが最高指導者だった1930年代のソビエト連邦で秘密警察が使い始めました。英語の単語として使われ始めたのは1990年です。
コンプロマットで重要なのは「情報を本当に持っているかどうか、それが明らかになるかどうか」ではなく、「なにか情報を握られているかもしれない」と相手に思わせることで圧力をかけるという点です。
デヴィッドソン氏はコンプロマットとトランプ氏の関連について取材を行いました。元CIA高官のジャック・デバイン氏はデヴィッドソン氏に対して、「トランプ氏がロシアの正式な工作員とは考えにくい一方で、ロシアが弱みを握っているとトランプ氏自身が信じている可能性はある」と回答しています。
さらに、国際関係論を専門とするアメリカン大学のキース・ダーデン氏はデヴィッドソン氏の取材に対し、「トランプ氏はプーチン氏を悪く言わず、ロシアに関してだけ不自然なほど自制的だ」と指摘しています。
デヴィッドソン氏は二人の言葉を受け、「トランプ氏がプーチン氏を公然と悪く言わず、ロシアに関してだけ不自然なほど自制的だったのは、コンプロマットで説明がつく」と主張しています。

コンプロマットを理解するにあたっては、プーチン氏が巧みに築き上げた「システマ」の理解も欠かせないと、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジの政治学者アレーナ・レデネワ氏は指摘しています。
デヴィッドソン氏は、ロシアや旧ソ連圏では正式な法的制度が弱く、富や権力は政治家や実業家のネットワークを通じて「暗黙のルールに従って」分配されると記しています。レデネワ氏が「システマ」と呼ぶのは、こうした名前のない非公式なヒエラルキーです。システマには「プーチン大統領に逆らってはいけない」という明確なルールがあり、メンバーを統制する手段もあるとのこと。また、システマの中にいる人々は、自分が今どの位置にいるのか、友人やライバルが自分より上か下かを常に見極めようとしているそうです。
トランプ氏は大統領就任以前、さまざまなビジネスを行ってきました。中にはロシアに関係する人々との取引も含まれます。ここで関係してくるのが「システマ」です。レデネワ氏によるとシステマは「地域的、家族的な信頼に根ざしているもの」だとのこと。トランプ氏が取引していた相手はプーチン氏やロシア政府の重鎮ではなく「三流」だと、レデネワ氏は表現しています。具体的にはアゼルバイジャンのマンマドフ家やアラス・アガラロフ氏とエミン・アガラロフ氏の親子、トルコ系カザフスタン人実業家のテヴフィク・アリフ氏、その他、旧ソ連圏からの移民たちの名前が挙げられています。

レデネワ氏は「プーチン氏がトランプ氏に関するコンプロマットを集めるよう命じていた」という見方に懐疑的で、むしろ、ビジネスパートナーが将来的なビジネスの交渉材料として使えるかもしれないと考えてコンプロマットを収集していた可能性を指摘しています。集まったコンプロマットは、ビジネスパートナーごとに断片的なものであり、プーチン氏もその一部を見た可能性はありますが、すべて入手することはできないとわかっていただろうと、デヴィッドソン氏は述べています。
デヴィッドソン氏は、把握した事実を合理的に説明しつつ、非現実的推測を最小限に抑えた仮説として、「トランプ氏は2000年代後半、資金繰りに苦しみ、旧ソ連圏のビジネスパートナーのためにマネーロンダリングか何らかの金融犯罪に手を染めた」という可能性を挙げました。これによってトランプ氏は自覚のないままに「システマ」に取り込まれてしまったという見方です。
レデネワ氏によれば、「システマ」は、メンバーがいつ他のメンバーからコンプロマットを用いて破滅させられてもおかしくないという不確実な立場にある一方、メンバーはコンプロマットを用いることによる爆発的反発も恐れているため、全体としては驚くほど堅固な仕組みになっているとのこと。
つまり、トランプ氏もシステマの1メンバーとして、何らかのコンプロマットを恐れる状態にある可能性があるというわけです。
なお、レデネワ氏はデヴィッドソン氏に「システマで不確実な状況に直面するとメンバーは現状の連携を維持し、有力者を敵に回しかねないような大胆な行動を避けることこそ最善の策だと知っています。そういった状況では、シンプルに『生き残ること』だけが望みだからです」と説明したとのことです。
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