ハードウェア

Backblaze初期のストレージ収納ケース「ストレージポッド 1.0」がコンピューター歴史博物館へ寄贈されることに


クラウドストレージサービスやデータバックアップサービスを運用するBackblazeが、初期に使っていたストレージ収納ケースの1つである「ul010」をカリフォルニア州にあるコンピューター歴史博物館に寄贈したことを発表しました。「クラウド業界全体がサーバー設計について考える方法を変えた、生きた歴史の証として」とBackblazeは述べています。

Backblaze, Part of Computer History
https://www.backblaze.com/blog/backblaze-part-of-computer-history/


Backblazeは複数のストレージを1つの容器にまとめた「Storage Pod(ストレージポッド)」を用いてクラウドストレージを運用しています。創業者のブライアン・ウィルソン氏によると、創業当初のメンバーは主にソフトウェアエンジニアであり、最初期のストレージポッドはオフィスの机の上で試作されたものだったそうです。その後、金属加工企業とメールと電話だけでやり取りを行い、最初の板金製ストレージポッドが作られました。

以下は製品化には至らなかったストレージポッドの試作品で、「電源ボタンを取り付ける」という発想が抜け落ちていたため、完成後に共同創業者の1人がドライバーを通気孔に突っ込んで穴を広げ、電源ボタンを取り付けたそうです。試作品も実際にデータセンターで数年間使われ、問題なく運用されたとのこと。


2007年に設立したBackblazeは、2009年9月1日に「Petabytes on a Budget: How to Build Cheap Cloud Storage(予算内でペタバイト級の容量を実現する:安価なクラウドストレージの構築方法)」と題したブログ記事を公開し、低コストで大容量クラウドストレージを実現するためのサーバー設計を詳細に公開しました。資金力に乏しかった当時のBackblazeが自社設計をオープンにすることは、資金力のある企業に模倣され倒産に追い込まれる可能性がある「賭け」でした。しかし、Backblazeは自分たちの本質がソフトウェアスタックと設計思想にあると考え、ハードウェア設計を公開しても同等のサービス品質を再現するのは容易ではないと判断して「オープンハードウェア」を推進したとのこと。

その後Backblazeが成長するにあたって「安価なクラウドストレージ」という言葉は使われなくなっていきましたが、2009年に書かれた記事は多くの企業や開発者に影響を与えました。Backblazeは「私たちのストレージポッドは、単にドライブを詰め込んだ箱ではなく、『インフラの革新は数十億ドル規模の研究所から生まれる必要はない』という証拠でした。時には、独創的で型破りな発想を持つエンジニアから生まれることもあるのです」と述べています。

Backblazeの社内には初期のストレージポッドを展示するスペースがあり、バージョン1からバージョン6までのストレージポッドと、システムテストに使用した初期のRAIDアレイなどが保管されています。


初期の実験装置の1つには、「Our Hero(私たちの英雄)」と記されています。


Backblazeは2026年1月中旬から完全リモートワーク体制に移行し、社内の展示スペースに置かれていた物品は保管庫へ移されることになりました。そこで、「保管庫に置いたままよりも面白い活用方法はないか」と考えたところ、コンピューター歴史博物館に寄贈することを思いついたそうです。

Backblazeはコンピューター歴史博物館に連絡を取り、初期のストレージポッドの受け入れを打診しました。その結果、初期ストレージポッドの1つである「ul010」が正式に収蔵候補として受け入れられ、最終的な審査を経て展示コレクションに加えられることが決定しました。


コンピューター歴史博物館上級学芸員のダグ・スパイサー氏は「Backblazeは2007年の創業当時、月額5ドル(約796円)で無制限のクラウドバックアップストレージを提供することを目標としていました。最初の製品はハードウェアに依存したストレージポッド 1.0で、市販の部品と独自のソフトウェアを使用することで、当時の独自技術の常識を覆し画期的な製品となりました。Backblazeは設計図を世界に公開することで、『オープンハードウェア』革命の火付け役となり、高密度エンタープライズストレージを従来の方式のほんの一部のコストで構築できることを証明しました。このオリジナルユニットを保存できることを光栄に思います」と述べています。

Backblazeのコミュニケーションおよびコミュニティ部門の責任者を務めるイェヴ・プシン氏は「私たちが寄贈したストレージポッドには、かつてお客様の生活、物語、仕事のあらゆる側面を網羅したバックアップデータが保管されていました。そして、それは私たちの物語の象徴でもあります。夜遅くまで働き、大胆な賭けに出て、イノベーションへの信念を貫き、それがそもそもBackblazeの創業者たちの原動力となったのです。ストレージポッドがコンピューター歴史博物館で展示されることで、次世代のイノベーターたちにインスピレーションを与えることを心から願っています」と語りました。

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in ハードウェア, Posted by log1e_dh

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