サイエンス

一度に5種類の幻覚剤を生成する植物が遺伝子操作によって開発される


幻覚物質を生み出す遺伝子をキノコやヒキガエルなどから取り出し、1つの植物に取り込ませるという実験が成功し、1つの植物から5種類の幻覚物質を取り出すことに成功したとイスラエルの科学者が発表しました。

Complete biosynthesis of psychedelic tryptamines from three kingdoms in plants | Science Advances
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.aeb3034


Scientists Engineered a Plant to Produce 5 Different Psychedelics at Once : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/scientists-engineered-a-plant-to-produce-5-different-psychedelics-at-once

イスラエル・ワイツマン科学研究所のポーラ・バーマン氏らによると、幻覚剤の材料となる既存の化学物質は主に希少性の高い植物や菌類、動物などから採取されていますが、これらは生息域の喪失等によって保全が難しくなっているとのこと。そこで、より成長が早く簡単に採取できる植物で代替する方法が模索されています。

この課題に対処するため、バーマン氏らは化学物質が生成される経路の解明に取り組みました。


バーマン氏らは幻覚剤の材料「ジメチルトリプタミン」を含む植物のサイコトリア・ヴィリディスアカシア・アキュミナータを分析し、ジメチルトリプタミンを生成する主要な遺伝子と、生成される化学経路を特定。先行研究で明らかになっていたミナミシビレタケオオヒキガエルの遺伝子および生成経路と組み合わせ、さらにイネやシロイヌナズナ由来の補助酵素を加え、この遺伝子セット一式をベンサミアナタバコに導入しました。

ベンサミアナタバコは成長が早く、植物研究においては広く採用されている種です。近年ではインフルエンザワクチンの開発等において用いられています。

「植物由来のインフルエンザワクチン」が登場、大規模な臨床試験でも効果が確認される - GIGAZINE


複数の遺伝子が導入されたことで、ベンサミアナタバコは植物由来のジメチルトリプタミン、キノコ由来のシロシンシロシビン、ヒキガエル由来のブフォテニン5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミンという5つの幻覚物質を同時に生成することが確認されました。

ただし、異なる生成経路が同じ資源を競合するため、一部の化合物は元の生物に比べて生成量が少なくなっていました。それでもなお、調整を加えることで、ベンサミアナタバコが科学者にとって有益なものになる公算は大きいとのことです。


バーマン氏らは「私たちの戦略は、治療的価値の高い5つの主要な化合物を生産するためのシステムを確立し、植物を介して提供するものです。植物における触媒機能の融合と代謝工学を組み合わせることで、生産を大幅に効率化することが可能となりました」と述べました。

科学系メディアのScienceAlertは、「うつ病、不安障害、PTSDなどの疾患の治療法として幻覚剤への関心が高まる中、このシステムは幻覚剤の新たな入手方法を科学者に提供する可能性があります」と伝えました。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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