SNSはポピュリズムや政治的二極化を助長するがチャットAIは人々を極端な意見から遠ざけて穏健な立場に導く可能性

各国でポピュリズムや政治的二極化が進む中、SNSによる情報環境の変化がその原因のひとつであると指摘されています。経済紙のフィナンシャル・タイムズでコラムニスト兼主任データレポーターを務めるジョン・バーン・マードック氏が、チャットAIはSNSとは対照的に人々を極端な意見から遠ざけ、より穏健な立場に導く可能性が高いと分析しました。
Social media is populist and polarising; AI may be the opposite
https://www.ft.com/content/3880176e-d3ac-4311-9052-fdfeaed56a0e
マードック氏は、過去15年にわたりポピュリズムや二極化が拡大する一方で、専門知識や既存体制への信頼は低下してきたと指摘。これらの傾向にはさまざまな要因がありますが、中でもSNSの台頭に特徴付けられる情報環境の変化は重要因子のひとつです。SNSはエリートや専門家以外の人々に強い発信力を与え、これによって幅広い言論が目に見えるようになった一方で、過激派や反体制派の声を増幅させるという問題もあります。
そして近年に起きた新たな変化として、「チャットAIの台頭」が挙げられます。現代では多くの人々は日常的にチャットAIを利用しており、自分が疑問に思っていることを尋ねたり、他者の主張の妥当性をチャットAIに検証させたりしています。そのため、チャットAIは人々の政治的な認識や立場を左右しうる存在だといえます。
マードック氏はチャットAIについて考える前に、SNSの運営企業とAI開発企業の違いについて論じています。SNSは基本的に人々の注目を集めることで利益を得ており、その過程では真実を省みず、センセーショナルな内容や扇動的なコンテンツを優遇する傾向があります。こうした指摘に対し、SNS企業は「自分たちはあくまで人々が情報を発信する中立的なプラットフォームに過ぎない」という建前を押し通してきました。
一方、イギリスの哲学者であるダン・ウィリアムズ氏が主張するように、AI開発企業が主要顧客としているのは、主にビジネスに関する正確で重要な情報を得たい人々や企業です。そのため、チャットAIが虚偽であったり有害だったりするコンテンツを提供すると、その責任を負わされるリスクがあります。その結果、AI開発企業には客観的な事実を重視するインセンティブが働き、チャットAIは事実に近い穏当な方向へ「収束」する傾向があると考えられます。
この理論について検証するため、マードック氏はSNSへの投稿やチャットAIとの会話の政治的傾向について分析しました。以下のX投稿にあるグラフは左側が左翼的傾向、右側が右翼的傾向にあることを意味しており、灰色が一般的な人々の政治的傾向、ピンク色がSNSに投稿されたコンテンツの政治的傾向、青色がチャットAIとの会話の政治的傾向を示したもの。SNSへの投稿は一般集団よりも二極化する傾向があるのに対し、チャットAIとの会話では全体的に中道寄りになり、二極化が軽減されていることがわかります。
While social media is polarising, evidence suggests AI may nudge people towards the centre.
— Stefan Schubert (@StefanFSchubert) March 28, 2026
This holds true of all studied models. Grok is more right-leaning than other models, but also has depolarising effects.
By @jburnmurdoch. pic.twitter.com/Fokx869fVq
以下のグラフは左側が左翼的傾向、右側が右翼的傾向にあることを意味しており、灰色が一般的な人々の政治的傾向、青色がそれぞれChatGPT・Gemini・DeepSeek・Grokとの会話の政治的傾向を示したもの。Grokはその他のチャットAIよりもやや右翼的傾向であるといった違いがありますが、やはり全体的に二極化は軽減され、中道寄りの会話になっていることが確認できます。
https://t.co/vDyx1EPKiT pic.twitter.com/8SzQZO9Pmu
— Stefan Schubert (@StefanFSchubert) March 28, 2026
マードック氏は一連の結果について、チャットAIがユーザーの政治的傾向を知っていた場合でも、同様に強硬的な意見から人々を遠ざける効果がみられたと指摘。また、選挙不正やワクチンと自閉症の関連といった陰謀論的な信念についても、チャットAIが同意することはほとんどなかったとのことです。
マードック氏は、「これらはあくまでひとつの分析結果に過ぎず、利用パターンやAIモデル自体が、私が発見したパターンとは異なる方向に進化する可能性もあります。しかし、少なくとも次なる情報革命(チャットAI)が前回のもの(SNS)よりも、社会をむしばまない方向へ導いてくれるかもしれないという楽観的な見方ができるでしょう」と述べました。
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in AI, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article While social media can fuel populism and….







