サイエンス

男性は女性と同等のマルチタスク能力を持っているが「マルチタスク中に話す」のは苦手かもしれない


マルチタスクとは2つ以上の作業を同時並行で進めることを指す言葉で、世の中には「女性は男性よりもマルチタスクが得意である」という考えが広く浸透しています。新たな研究では、マルチタスクの能力に男女差はほとんどないものの、男性は「マルチタスク中に話す」ことは苦手かもしれないとの結果が示されました。

Men talk less than women during multitasking | Psychological Research | Springer Nature Link
https://link.springer.com/article/10.1007/s00426-026-02279-5

New study: Men and women multitask equally well, but men talk less while doing it
https://www.psypost.org/new-study-men-and-women-multitask-equally-well-but-men-talk-less-while-doing-it/

「本を読みながら友人と通話する」「会議に参加しつつ事務作業を進める」といったマルチタスクは、忙しい現代人にとってはあると非常にうれしい能力です。しかし、実際のところ人間の脳は複数のタスクを完全に並行して処理するのではなく、タスク間で注意を頻繁に切り替えていることがわかっています。


タスクを切り替える際にはわずかな遅延が生じるため、特に精神的な負荷が大きいタスクの場合、マルチタスクは速度や正確性を低下させる傾向があります。特に「メッセージを読みながら相手の話を注意深く聞く」といった風に、同じような精神的リソースを必要とするタスクを掛け持ちする場合、タスクの切り替えがより難しくなるとのこと。とはいえ、マルチタスクによって作業の単調さが軽減され、より刺激的かつ効率的に感じられるため、マルチタスクを好む人も大勢います。

今回、イギリスのブルネル大学で認知神経科学センター副所長を務めるアンドレ・サメイタット氏らの研究チームは、「日常的なマルチタスクをこなす際には男性の方が話す量が少ないのではないか」という仮説を立てて、これを検証するための実験を行いました。


実験にはブルネル大学のキャンパスで募集した平均年齢23~24歳の被験者らが参加しました。性別の内訳は女性が37人、男性が41人で、実験参加費として36ポンド(約7800円)を受け取り、複数のタスクからなるマルチタスクに取り組みました。

被験者らはマルチタスク手順の中で、「模擬調理器具と具材を使った模擬調理タスク」に取り組みました。また、キッチンタイマーが鳴ったら模擬調理タスクを中止して「紙と鉛筆を使ったタスク」に取り組む必要があったほか、全体を通じてスクリーンに表示される単語を監視して、「特定の単語が表示されたら書き留めるタスク」も並行して行いました。

これらのタスクに加え、作業中にスピーカーから「お金や貴重品をすべて失うのと、これまでに撮った写真すべてを失うの、どちらの方がマシですか?また、その理由は?」といった複雑な質問が投げかけられ、これに口頭で答えるという「質問に対する会話タスク」も被験者に課されたとのこと。

研究チームは被験者らがマルチタスク手順に取り組んでいる様子を観察し、そのパフォーマンスについて記録しました。さらに、オンラインで募集した合計160人にマルチタスク中の被験者の映像を見せて、マルチタスクのパフォーマンスがどれほど優れているのかを評価してもらいました。これには、実験手順や心理学研究に慣れた研究者ではなく、一般人の目線でマルチタスクを評価させる狙いがあります。


実験の結果、被験者らのマルチタスクのパフォーマンスは性別にかかわらずほぼ同等でしたが、唯一の例外が会話タスクでした。平均すると、女性は全部で28問あった質問のうち25問に回答したのに対し、男性が回答したのは28問中20問にとどまりました。

つまり、女性が無視した質問は全体の12%にとどまったのに対し、男性は質問の28%を無視したというわけです。一方、回答した内容に目を向けると、男女で回答の質や速度に差はみられませんでした。

また、一般人によるマルチタスクのパフォーマンス評価では、「女性の方が男性よりもタスクをうまくコントロールできており、パフォーマンスも優れていて、感じているストレスも少ない」と評価する傾向がみられました。研究チームはこの結果について、女性の方が会話課題のパフォーマンスに優れていたことが影響していると考えています。

研究チームは「総合的に見ると、私たちのデータは認知的な視覚・手作業タスクにおいて性差はほとんどないことを裏付けていますが、マルチタスクをしながら会話を続ける能力には顕著な性差が存在しました。これは日常生活において非常に重要な能力であり、これによって『女性は男性よりもマルチタスクが得意だ』という広く浸透した固定観念の形成が説明できる可能性があります」と結論付けました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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