AIへの画像入力は解像度を下げると逆にコストが増えることがあるという実験結果

AIモデルの中には画像認識に対応したものが多くあります。AIに画像を認識させるワークフローのコスト削減策として「入力画像の解像度を低くする」というアイデアが広がっているのですが、AIのAPI提供サービスを展開するOpenRouterが「解像度を低くすると逆にコストが増大する」という実験結果を報告しています。
Choosing the Optimal Image Input Detail Level in LLMs — OpenRouter Blog
https://openrouter.ai/blog/insights/image-detail-low-cost/
OpenRouterはOpenAIの「GPT-4.1」「GPT-5.4 mini」「GPT-5.5」、Googleの「Gemini 3.1 Pro」「Gemini 3.5 Flash」の5モデルを対象に、画像入力時の「detail」設定がAIモデルの精度や利用コストに与える影響を調査しました。ChatGPTなどの公式ウェブアプリを用いる際はdetailを指定できませんが、OpenAI APIやOpenRouterなどを使ってアプリ開発する場合には、AIに画像を読み込ませる場合の解像度を設定できます。
以下のグラフはそれぞれ薄い棒グラフが低解像度画像を入力する「low」、濃い棒グラフが自動的に適切な解像度を選択する「auto」を使用した場合に、1730問の画像認識ベンチマーク「MMMU-Pro Vision」のスコアを比較したもの。いずれの場合も、「auto」を使用する方が高い正答率を記録しました。

さらに興味深いことに、GPT-5.5では1問当たりのコストは「low」が5.1セント(約8円)、「auto」が4.5セント(約7.3円)で、「low」の方が約13%利用料金が高くなりました。Gemini 3.5 Flashでも「low」は2.96セント(約4.8円)、「auto」は2.80セント(約4.5円)とわずかに「low」の方が高くなっています。つまり、スコアが悪くなる代わりに処理コストを抑えたつもりが、支払った金額は増えてしまうケースがあるということです。
OpenAIの画像処理に関するドキュメントでは、では、「lowモデルには元のサイズに関係なく、512x512ピクセルの低解像度画像が渡され、少額の固定トークン料金で課金される」と記載されています。しかしOpenRouterによると、「detail」を「low」に設定した場合には推論トークン数は1180個となり、「auto」設定時の730個から1.6倍に増加したとのこと。これは、低解像度の画像では文字や図表の細かな情報が失われるため、小さな文字や図を理解しようとして推論トークンを多く消費したことで、画像入力で節約できたトークン数以上に出力側のコストが増加したとOpenRouterは推測しています。
We benchmarked 1,730 visual reasoning questions across 5 models to test a common cost-saving trick: setting image detail to "low."
— OpenRouter (@OpenRouter) 2026年7月7日
Surprise finding: it often backfires. The model burns extra reasoning tokens squinting at a blurry image, and overall cost increases 👇 pic.twitter.com/TBhfjdtXR7
一方で、推論機能を持たないモデルでは予想通り「low設定だと正答率が下がる代わりにコストを抑えられる」という結果となりました。例えばGPT-5.4 miniでは、「low」に設定すると1問当たりのコストは約40%低下し、応答速度も向上しましたが、正答率は55.8%から46.1%へ低下したことが報告されています。
OpenRouterは、「推論モデルでは、画像の解像度を下げるよりも、『auto』もしくは『high』に設定した上で、画像の詳細度ではなく推論量を制限した方が大幅なコスト削減につながる」「非推論モデルでは『low』に設定することでコストと応答速度を改善できるが、テキスト量の多い画像では精度が低下する」と結論付けています。ただし、いずれにしても画像の詳細度を変更しても料金への影響は限定的で、それよりもAIが生成する出力トークン数の方が最終的なコストを大きく左右するため、ほとんどの場合は画像の詳細設定は「auto」にして、推論量を調整する方がよいとOpenRouterはアドバイスしています。
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