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Googleの元CEOが民間で最大規模の宇宙望遠鏡を開発するプロジェクトを推進、2030年までの運用開始を目指す


Googleの共同創設者で元CEOのエリック・シュミット氏らが設立した財団であるSchmidt Scienceが、天文学における史上最大規模の民間投資の一つとして、新しい観測システムを発表しました。このプロジェクトは「Eric and Wendy Schmidt Observatory System」と名付けられ、アメリカ航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡を上回る規模の宇宙望遠鏡と、3つの地上観測所で構成されます。

The Eric and Wendy Schmidt Observatory System - Schmidt Sciences
https://www.schmidtsciences.org/schmidt-observatory-system/

Ex–Google CEO funds private space telescope bigger than Hubble | Science | AAAS
https://www.science.org/content/article/ex-google-ceo-funds-private-space-telescope-bigger-hubble

シュミット氏は、530億ドル(約7兆9500億円)の資産を持つ世界有数の富豪であり、これまでもシュミット海洋研究所の設立や、スイスにある欧州原子核研究機構(CERN)の巨大衝突型加速器建設に向けた10億ドル(約1500億円)の共同出資など、科学分野を長期的に支援してきました。


今回のEric and Wendy Schmidt Observatory Systemでは、従来の助成金提供という形ではなく、財団が自ら観測所の開発と運営を主導するという新しいアプローチを採っています。

Eric and Wendy Schmidt Observatory Systemの中核を担うのは、「Lazuli」と呼ばれる宇宙望遠鏡です。Lazuliは3.1メートルの鏡を備え、直径2.4メートルのハッブル宇宙望遠鏡に比べて集光面積が約70%広くなっているのが特徴。Lazuliの科学的目標としては、近隣の恒星の周囲にある岩石惑星を直接観測するためのコロナグラフを搭載し、系外惑星の探査を行うほか、超新星の観測を通じて宇宙の膨張速度を測定することも目指しています。


従来の政府主導プロジェクトでは、宇宙望遠鏡を建造するには数十億ドル(数千億円)規模の予算と10年以上の歳月が必要でした。しかし、Schmidt ScienceはSpaceXなどの参入により低下した打ち上げコストを背景に、市販の部品を積極的に活用することで数億ドルの費用に抑え、迅速に開発することを目指していると述べています。

さらに、地上には3つの観測施設が建設されます。1つ目の「Deep Synoptic Array(DSA)」は、アメリカのネバダ州北部に設置される1600基の電波アンテナで構成され、15分おきに可視天空全体のスナップショットを撮影し、高速電波バーストの検出や重力波の検知に役立つパルサーの発見を目指します。


2つ目の「Argus Array」は、テキサス州の山頂に設置された1200台の小型望遠鏡で構成される施設で、その総集光面積は8メートル級望遠鏡に相当するとのこと。天頂から高度38度までの可視空をカバーし、星の爆発やブラックホールによる星の破壊といった突発的な現象を60秒間隔で継続的に記録します。Argus Arrayのフル運用は2028年に予定されています。


3つ目の「Large Fiber Array Spectroscopic Telescope(LFAST)」は多数の小型望遠鏡からの光を光ファイバーで分光計に送る仕組みで、総集光能力はチリで建設中の欧州超大型望遠鏡に匹敵するとのこと。まずはプロトタイプであるLFAST-20xが北半球に建設され、試験運転による評価が行われる予定です。


Eric and Wendy Schmidt Observatory Systemの観測システムは空の広範囲を監視して突発的な現象を捉えることに特化しており、全ての装置は共通のオンラインインターフェースを通じて連携します。ある観測所で興味深い天体が発見された場合、即座に他の装置が追従して詳細な分析を行うことが可能です。

収集されたデータは統合されたデータベースを通じて世界中の科学者に公開される予定。記事作成時点はくしくもアメリカ政府による天文学への支援が不安定になっている時期であり、Eric and Wendy Schmidt Observatory Systemは今後のアメリカの科学的競争力と人材を維持するための極めて重要な役割を果たすと期待されています。プロジェクト全体として、2030年までの運用開始を目指しています。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1i_yk

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