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地図上で日付を指定するとその時起こった出来事を表示してくれる「Landnotes」


Wikipediaで地名を調べると、その場所で過去に起こった出来事や、土地に縁のある有名人を知ることができ、どんなところなのかを理解する上で欠かせない知識となり得ます。しかしながら、より広域な歴史的出来事を知ろうとすると、地名ごとに調べる必要があるため、このやり方はあまり便利とは言えません。「Landnotes」はOpenStreetMapの上で日付を指定することで、指定した日付に起こったとWikipediaに登録されている出来事を地図上に表示してくれるサービスです。

Landnotes
https://landnotes.org/

Zulko/landnotes: A map with millions of events from Wikipedia
https://github.com/Zulko/landnotes

まずはGitHubのREADMEに記載されている「try it out!」のリンクをクリックしてみます。するとLandnotesのサイトに遷移し、ヨーロッパのほぼ全域を表示している状態となります。URLパラメーターに「paneTab=about」が指定されているため画面左側に「Welcome to Landnote」というペインが表示されており、記事作成時点では「Google Geminiを用いて40万の記事から抽出された650万件の出来事が登録されています」と記載されています。またURLパラメーターに「date=1949--2」とあるため「1949年2月」でフィルタリングしています。


ざっと見まわしたところ、地図上にはいくつかの種類のアイコンが表示されています。

ピン留めアイコン:一般的な出来事
赤ちゃんアイコン:著名人の生誕
ドクロアイコン:著名人の死去
かばんアイコン:著名人の訪問

フランス北部のパリと思しき箇所にある「ピン留め」アイコン上でマウスカーソルをホバーしてみます。すると「from "1949 World Figure Skating Championships"」と表示されたポップアップが現れます。リンクが設定されているのでクリックしてみると、画面左側のペインに英語版Wikipediaの「1949 World Figure Skating Championships」が表示されます。開催日を確認すると「1949年2月16日~18日」とあるので確かに指定された日付にあった出来事です。


今度はフランス西部のブルターニュ地方にある「赤ちゃん」アイコンをクリックしてみます。表示されたポップアップを確認すると自転車競技選手のClaude Buchonの生誕地とのこと。日本ではあまり知られていない人物なのか日本語版Wikipediaには個別ページがなく、世界自転車選手権男子追い抜き歴代優勝者のページに名前のみ見つけることができましたが、英語版では個別のページがあるためLandnotesにも反映したようです。


一点気になったのがアイコンの右上の「+1」という表記。ポップアップをよく見るとこちらにも「See 1 other events」というボタンがあります。


ボタンをクリックすると左ペインが「Events at this location」に切り替わり、Claude Buchon以外にMeven Mordiernの情報が表示されました。「See in context」というボタンがあるのでクリックすると地図が切り替わり、中央にドクロアイコンが表示されました。表示されるWikipediaのトピックを確認したところ明示的に書かれているわけではありませんが、どうやらMeven Mordiernはおそらく当地で1949年2月4日に亡くなったようです。


今度は時期を絞って表示してみます。地図を日本の首都圏に移動し1868年を指定しました。日に「All」を指定すると特定の年月の全日を対象とし、さらに月に「All Year」を指定すると特定の年全体が対象となります。すると地図上に近藤勇土方歳三といった名前が現れます。戊辰戦争の時期を指定したからそうなるのは当然ですが、維新の元勲を期待していたところに新選組のメンバーが現れたのはちょっと意外でした。可能性としては、英語版Wikipediaに掲載されている日本人のジャンルに偏りがあるのかもしれません。


地図を奈良盆地に移動し1961年を指定すると、高市早苗の出生地であることを示すアイコンが表示されます。ここまでは狙い通りだったのですが、天理市に「Tenri University」というドクロアイコンがあるのがよくわかりません。


「Tenri University」のアイコンをクリックすると、どうやらアントン・ヘーシンクに縁の地であることがわかります。調べてみたところどうやらヘーシンクは1961年に来日し、天理大学でも柔道の指導を受けていたようです。ヘーシンクの没年は2010年であるためドクロマークの理由はよくわかりませんが、英語版Wikipediaの画像に「Geesink in 1961」とあるのが遺影であるとAIが誤解したのかもしれません。


最後に大阪北部で1973年を見てみます。布部陽功石丸清隆といった元サッカー選手の生誕地であることが示されています。ここを狙った目的は谷郷元昭(YAGOO)の生誕地だったからなのですが、Landnotesでは表示されませんでした。調べてみたところ、どうやら英語版Wikipediaには谷郷氏のページが存在しなかったためでした。日本の各地で色々な年を表示してみた所感ですが、どうもLandnotesに表示される日本の人物はスポーツ選手が多い傾向があるように思えます。


Landnotesを通じ、英語版Wikipediaのデータに依存している点はあるものの、土地と出来事の意外な結びつきを確かに知ることができました。気になった方はLandnotesにアクセスし、地元で過去に起こった出来事や縁の人物に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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in AI,   ネットサービス,   レビュー, Posted by log1c_sh

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