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中国による台湾の海上封鎖が起きると一体どうなるのかをシミュレーションした結果


中国は2022年から台湾の封鎖を想定した軍事演習を数多く実施しています。実際に台湾封鎖が行われた場合に何が起こるのか、さまざまなシナリオを用いた26の軍事シミュレーションをした結果をアメリカの国家安全保障シンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)が報告しています。

(PDFファイル)Lights Out? Wargaming a Chinese Blockade of Taiwan
https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/2025-07/250730_Cancian_Taiwan_Blockade.pdf

Wargaming the Next Crisis: A Chinese Blockade of Taiwan - YouTube


Lights Out? Wargaming a Chinese Blockade of Taiwan
https://www.csis.org/analysis/lights-out-wargaming-chinese-blockade-taiwan

中国による台湾の封鎖は不可避の問題というわけではありませんが、中国の言論や軍備増強を考慮すると可能性はあるとCSISは述べています。そのためCSISは中国側と台湾+アメリカの連合側、それぞれの対応を4種類想定した上での21件のシナリオと、状況拡大の理解を深めるフリープレイ5回、合計26回の図上演習を行いました。


図上演習は、地図の上に艦艇や輸送船、航空機などの駒を配置。状況を黒板などに記録しながら、中国側と連合側に分かれ、ターンごとに何をするか決定します。


演習結果のうち、中国軍による封鎖で台湾の電力やインフラが壊滅する想定の「激しさ・低」シナリオでは、台湾軍は上陸してきた中国軍に対して時間稼ぎはできたものの、中国軍の物量の前に圧倒されることになると結論付けられました。この場合、台湾へ輸送船を送りこむことは困難になると考えられます。一方、アメリカが物資の支援は行うが全面的な軍事介入はしないという「ウクライナ戦略」を採った場合、一部の輸送船の到着は妨害されるものの、台湾は物資を確保できるケースが多くなりました。


「激しさ・中」のシナリオになると、中国軍による潜水艦や機雷によって輸送船が沈められ、貨物の到着率は大幅に低下しました。しっかりとした支援を行うためには、数十隻から数百隻に上る船舶の犠牲が必要だったとのこと。


本格的な戦闘も含まれる「激しさ・高」のシナリオでは、多くのゲーム参加者が1948年から1949年のベルリン封鎖時の大空輸を思い出して、危険な海上補給を回避して空輸により物資を補給する方法を模索しました。しかし、台湾には当時のベルリンと比べて10倍の人口がいるため、大規模な空輸をしても台湾の日常的な消費量のわずか約2%しか賄うことができないと判明しました。


5回のフリープレイは、最終的に「激しさ・低」が2回、「激しさ・中」が1回、「激しさ・高」が2回という結果になりました。


全体の結論として、どのシナリオであっても戦闘によって死傷者は発生し、「激しさ・低」でも数千人単位が犠牲になることが予測されています。「激しさ・高」の場合、アメリカも軍艦数十隻と航空機数百機を失う可能性がある一方、中国側もアメリカ以上の損失を出す見込みです。

また、中国軍による封鎖があった場合、台湾ではエネルギーの輸入依存度が高いため、電力や産業が深刻なダメージを受けることになると、CSISは報告しています。

調査を主導した国防安全保障省の上級顧問であるマーク・F・カンシアン氏は「ベルリン封鎖がNATOの創設につながったように、台湾封鎖は中国の国際社会からの阻害を招くリスクもあります。封鎖は台湾や周辺国だけではなく、地球上の全ての国が影響を受けることになります。経済の混乱や戦略的な問題だけではなく、封鎖がエスカレートして戦争になった場合、人的損失は甚大なものになるでしょう。それは防がなければなりません。問題は『どうやって防ぐか』という点です」と語りました。

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in 動画, Posted by log1e_dh

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