有名歌手はそれほど有名ではない歌手に比べて短命であり「有名」になることで死亡リスクが高まる可能性

ニュースではたびたび歌手やアーティストの訃報が報じられており、「有名な人は早死にしやすい気がする」と感じている人もいるはず。「有名歌手」と「それほど有名ではない歌手」を比較した新たな研究では、有名歌手は比較的有名ではない歌手よりも短命であることが明らかになりました。
The price of fame? Mortality risk among famous singers | Journal of Epidemiology & Community Health
https://jech.bmj.com/content/early/2025/11/30/jech-2025-224589

Fame Can Cut Years From a Singer's Life, Study Reveals : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/fame-can-cut-years-from-a-singers-life-study-reveals
テレビやSNSでよく見るような有名人に憧れている人は多いかもしれませんが、有名人には苦労やリスクが付き物だともいわれています。実際に過去の研究では、有名なミュージシャンは一般人よりも早く亡くなる傾向があることがわかっています。北アメリカおよびヨーロッパの有名なミュージシャンは、名声を獲得してから2~25年以内の死亡率が一般人口の2~3倍に達し、自殺率も全米平均の2~7倍に達するとのこと。
しかし、これまでの研究では、死亡率の上昇が「名声」そのものに影響されているのか、それとも音楽業界に特有のプレッシャーや要求によるものかは不明でした。音楽業界は不規則なスケジュールや経済的不安定さ、社会的孤立などの問題に直面しやすく、一般人口とはさまざまな環境が異なる可能性があります。
そこで、ドイツのヴィッテン・ヘァデッケ大学の研究チームは、同じ音楽業界内で名声の度合いが異なる歌手を調査することで、このギャップを埋めることにしました。

研究チームは1950~1990年に活動していた有名な歌手324人と、これらの歌手と性別・年齢・国籍・民族・ジャンル・活動体制(ソロかバンドか)が一致する比較的有名ではない歌手324人を比較しました。有名な歌手はAcclaimed Musicに掲載された「歴代トップ2000のアーティスト2000」から抽出され、比較的有名ではない歌手はこのランキングに入っておらず、ロックの殿堂にも入っていませんでした。
分析の結果、有名歌手の平均死亡年齢は約75歳であるのに対し、比較的有名ではない歌手の平均死亡年齢は約80歳であることが判明。有名であることは多くの富をもたらし、一般に経済的余裕は健康増加につながることが多いにもかかわらず、歌手の場合は名声が長生きする助けにはならない可能性があると示されました。
研究チームは論文で、「厳密なテストをすると、有名人であることは死亡リスクの増加につながることが明らかになりました。これは、世間の注目を集めている個人に対する的を絞った健康介入の必要性を浮き彫りにし、観察された死亡率の根底にある因果メカニズムを探る将来の研究を刺激する可能性があります」と述べています。
以下のグラフは赤色が有名歌手、青色が比較的有名ではない歌手を表しており、縦軸が生存率、横軸が年齢を示しています。有名歌手と比較的有名ではない歌手の死亡率の差は早くも20代から生じ、ほぼ一貫して比較的有名ではない歌手の方が生存率が高い傾向がみられます。

今回の研究はあくまで歌手における名声と死亡リスクの関連性を調べたものであり、名声が早死ににつながることを直接的に証明したわけではなく、その結果が俳優やスポーツ選手などにも当てはまるかどうかもわかりません。しかし、統計には明確な違いが生じていることから、名声が死亡率に何らかの影響を及ぼしていることが示唆されています。
研究チームが「歌手が初めて音楽チャートに登場した日付」を考慮したところ、死亡リスクの上昇は歌手が名声を得た後に現れることが確認されました。これは、名声こそが死亡リスクを変化させる要因であるという仮説を裏付けるものです。
研究チームは名声と死亡率の関連について、「心理社会的ストレス」が要因かもしれないと指摘しています。たとえば、有名になることによるプライバシーの喪失や世間の監視、あるいは大勢の前で高水準のパフォーマンスを発揮することが求められるプレッシャーなどが、心理的苦痛や有害な対処法への依存を増加させる可能性があるとのこと。
また、研究チームは知名度に関係なく、ソロアーティストはバンド活動をするアーティストよりも死亡リスクが高いことを発見しました。これはおそらく、バンド仲間が提供する保護効果や、公衆の前で話す役割がバンド内で分担されることなどによるものと思われます。
研究チームは、「有名であることは、高い社会経済的地位に伴う潜在的な利益を上回るほど有害であるように見えます」「この知見は公衆の目にさらされるミュージシャンだけでなく、より広範な人口の健康と幸福を促進するのに役立つ可能性があります。著名人はしばしばロールモデルとして公衆の認識を形成し、健康関連の行動に影響を与えるためです」と述べました。
・関連記事
億万長者に「不死」を売りつけようとする長寿産業が抱えている問題とは? - GIGAZINE
名声を得る人にはある「特性」と「行動」がある - GIGAZINE
「自分の出身地で一番有名な人」などがわかる土地ごとの最も有名な出身者を視覚化したマップ「Notable people」 - GIGAZINE
「10代で聴いていた音楽が生涯にわたって影響を与える」「新しい音楽の発見は24歳でピークを迎える」など音楽と年齢に関する調査結果が報告される - GIGAZINE
ラッパーがSpotifyを再生回数水増し放置疑惑で提訴、「生身の人間はドレイクの曲を1日23時間もストリーミングしない」 - GIGAZINE
AIが作ったカントリーソングがビルボードチャートでトップに - GIGAZINE
音楽を聴くことで認知症リスクが最大40%近く減る可能性があるとの研究結果 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in サイエンス, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article Famous singers have shorter lifespans th….







