DNAコンピュータを「熱」で動作させ続ける技術が発表される

DNAコンピュータは、シリコンチップの代わりにDNAの化学的性質を利用して計算や情報保存を行う超小型の計算システムです。DNAはエネルギーなしで長期間情報を保存できますが、計算を実行するための安定した動力源を見つけることが長年の課題でした。カリフォルニア工科大学の研究チームがこの課題を解決する新たな方法として、熱を利用する技術を開発しました。
Heat-rechargeable computation in DNA logic circuits and neural networks | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-025-09570-2
DNA circuits store data — with heat as their power source
https://www.nature.com/articles/d41586-025-03202-5
DNAコンピューターは、私たちが普段使っているコンピューターとは根本的に異なる仕組みで動く計算機です。一般的なコンピューターがシリコンチップの上を流れる電気のオン・オフを利用して計算するのに対し、DNAコンピューターは、DNA分子が持つ化学的な性質を利用します。プログラムやデータは特定の塩基配列を持つDNA鎖そのものであり、それらが試験管の中で設計通りに結合したり分離したりする化学反応の連鎖が「計算」にあたります。
DNAコンピューターのメリットは、その驚異的な情報記録密度と省エネ性能です。DNAは非常に小さな分子でありながら膨大な情報を記録でき、エネルギーをほとんど使わずにその情報を数百万年という長期間にわたって安定して保存できるといわれています。しかし、このDNAコンピュータを長時間安定して動かし続けるためには、生物におけるアデノシン三リン酸(ATP)のような「普遍的なエネルギー源」が必要でした。

カリフォルニア工科大学の研究チームは、DNAコンピュータを熱で繰り返し「充電」する画期的な技術を開発したと報告しています。これにより、従来は使い捨てが基本だった複雑な分子回路を、長期間にわたって安定して動作させることが可能になります。
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in 無料メンバー, サイエンス, Posted by log1i_yk
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