頂き女子に捨てられた男性を主人公とする恋愛詐欺撲滅がテーマの中国産ゲーム「情感反诈模拟器」(感情詐欺防止シミュレーター)が女性に虐げられてきた中国人男性の憤りの具現化だと話題に

恋愛詐欺を題材としたゲーム「情感反诈模拟器」(感情詐欺防止シミュレーター)が、中国人男性が女性に抱く憤りを煽っているとThe New York Timesが報じています。
‘Who Killed Love?’ A Video Game Plays to Male Resentment in China. - The New York Times
https://www.nytimes.com/2025/07/17/business/china-video-games-women.html
Chinese FMV game about getting 'revenge on gold diggers' plunges the country into online gender tumult | PC Gamer
https://www.pcgamer.com/games/adventure/chinese-fmv-game-about-getting-revenge-on-gold-diggers-plunges-the-country-into-online-gender-tumult/
「感情詐欺防止シミュレーター」は2025年7月時点で中国で最も人気があり、同時に物議も醸しているというゲームです。2025年6月にリリースされてから、中国版のSteamでは一時的に売上ランキングで1位を獲得しました。キャッチコピーは「誰が愛を殺した?愛を殺したのは金目当ての女性たちだ」で、中国のソーシャルメディアで注目を集めています。
感情詐欺防止シミュレーターのあらすじは、「女性配信者に恋をした配達員の男性が、恋愛感情を利用され金銭をむしり取られ、貯金を使い果たした後に捨てられるという経験から、女性配信者のような男性を食い物にする女性への復讐を誓う」というもの。プレイヤーは「恋愛詐欺ハンター」となり、財布と心を守りながら恋愛詐欺師を成敗することとなります。

The New York Timesによると、感情詐欺防止シミュレーターのコミュニティ掲示板で最も多くの「いいね」を獲得したコメントは、「我々世代の中国人男性への哀歌だ」というもの。同メディアは「感情詐欺防止シミュレーターは、女性に対して不満を抱く若い男性の熱狂と、それ以外の人からの激しい批判を招いています。女性蔑視的だと非難されることもあれば、結婚率と出生率が急落する中国において政府の懸念に迎合したかのようなゲームだと不満を述べる人もいます」と報じています。
The New York Timesによると、中国では近年、住宅費の高騰や雇用市場の悪化、社会的流動性の低下などが重なり停滞感が高まっているそうです。こうした不況が恋愛、結婚、男らしさへの不安と相まって、若い中国人男性の精神的な絶望感を生み出していると指摘。実際、不況により多くの若者が結婚・出産に消極的になっており、2024年に婚姻届けを提出したカップルは610万組と、前年比で21%も減少したそうです。
中国のインターネット上では恋愛において男性が「歩く財布」に成り下がっているという指摘があり、男性の間で被害者意識が高まっているとのこと。このような被害者意識を抱く中国人男性の間で、感情詐欺防止シミュレーターは熱狂的な支持を集めているというわけです。
The New York Timesがインタビューした北京在住の動画プロデューサーは、「経済的な課題は現実味を帯びており、当然ながら不安を募らせます」「感情詐欺防止シミュレーターは、現在の中国社会にはびこっている激しい男女の対立を非常に的確に捉えています」と語りました。この動画プロデューサーは、「感情詐欺防止シミュレーターは、特にインセル(異性との交際や性的関係が長期間ない、結婚を諦めた独身男性)に人気があります」と語ったそうです。
重慶で両親と暮らす23歳の無職男性は、「女は嫌いだけど、恋愛はしたい。ほんの少しだけ」とThe New York Timesに語ったそうです。同氏は自分のような恋愛経験のない男性に、恋愛における心構えを教えてくれると感情詐欺防止シミュレーターについて語っています。この男性は自身の女性やフェミニズムに関する意見は、ソーシャルメディアによって形成されたと説明したそうです。

ゲームの冒頭には失恋した小太りの男性が飛び降り自殺を図るシーンがあるのですが、これは2024年に起きた恋人に振られた男性が揚子江に飛び込んで自殺した事件を暗示したものだと、中国のゲームコミュニティでは理解されています。
この事件において、警察は「女性は何も悪いことをしておらず、普通の関係だった」と判断していますが、一部の男性からは「女性が金銭目的で男性を利用していたのでは」という声が上がっており、法的責任を問うことを求める声もあるそうです。
また、2023年に中国の山西省で起きた男性が婚約者を強姦した罪で懲役3年の判決を受けた事件について語る人もいます。この裁判では、男性側の弁護士が「花嫁料として約1万4000ドル(約210万円)を支払ったため、婚約は暗黙の同意に至っていた」と主張しましたが、裁判所は被告に不利な判決を下しました。感情詐欺防止シミュレーターを支持する男性ゲーマーたちは、この判決について「フェミニストが司法制度を掌握した証拠だ」と怒りをあらわにしているそうです。
花嫁料とは、結婚前に花婿の家族が花嫁の家族に金銭を贈るという中国の慣習です。中国では女性よりも男性の方がはるかに多い地域において、花嫁料が数百万円にまで高騰することがあります。一部の男性はこの花嫁料を「合法化された強盗」と呼んでいるそうです。
スタンフォード大学の客員研究員であり、女性の権利擁護活動家でもあるリー・シパン氏は、花嫁料について「多くの場合、お金は花嫁の手には全く渡りません。お金は花嫁の両親の手に渡り、兄弟が結婚する際の花嫁料として使われることも少なくありません」と言及。シパン氏は中国政府が広範な不平等に対処せず、女性に十分な社会的セーフティネットを提供しなかったことが、近年の男女間対立を生み出したと述べています。

なお、感情詐欺防止シミュレーターの全エンディングをまとめた動画がYouTubeで公開されています。
情感反诈模拟器 Revenge on Gold Diggers — All Endings (Engsub) - YouTube

感情詐欺防止シミュレーターはSteamで1000円で販売されています。ただし、記事作成時点では日本語はサポートされていません。
Steam:情感反诈模拟器
https://store.steampowered.com/app/3350200/_/

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