恋愛の力で相手をだます「ロマンス詐欺」の被害が50%も増加、新型コロナが原因か
恋愛感情を抱かせて金銭をだましとるロマンス詐欺は、恋心だけでなく財布の中身にもダメージを与える犯罪です。そんなロマンス詐欺の2020年度の被害について、アメリカの連邦取引委員会(FTC)が「前年比50%増の3億400万ドル(約330億円)に達した」と報告しました。この被害急増には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による外出制限が影響しているとみられています。
Romance scams take record dollars in 2020 | Federal Trade Commission
https://www.ftc.gov/news-events/blogs/data-spotlight/2021/02/romance-scams-take-record-dollars-2020
ロマンス詐欺はインターネット上で収集した「容姿がいい人」の写真などを使って魅力的なプロフィールを作り出し、引っかかった相手に恋愛感情を抱かせて金銭を送金させるという詐欺です。アメリカ国内においてロマンス詐欺の被害は年々増加しており、2016年では被害総額は7500万ドル(約82億円)でしたが、2020年にはその4倍超となる3億400万ドル(約330億円)にまで達しています。
ロマンス詐欺の被害額が2020年に特に大きく増加した理由について、FTCは「COVID-19が原因」とみています。ロマンス詐欺では、プロフィールに使われる人物が実在しなかったり、直接会うと足が付きやすくなったりするという理由から、被害者が「会いたい」と望んでも言い訳をして直接会わないように仕向けます。FTCによると、COVID-19の世界的流行によって「COVID-19の陽性結果が出たから会えない」「外出制限があるから会えない」というように、これまであの手この手でひねり出してきた言い訳が容易になったとのこと。また、COVID-19によって支給された給付金も被害総額を押し上げた可能性があるとFTCはみています。
こうしたロマンス詐欺の被害は出会い系アプリが主でしたが、FacebookやInstagramなどのソーシャルメディアでロマンス詐欺にあったという報告も増加しています。ソーシャルメディアにおけるロマンス詐欺は出会いを求める形からスタートするわけではなく、「昔の友達が突然連絡してくる」といった形でスタートすることが多いそうです。
ロマンス詐欺の中核を成す「被害者に送金させる手口」に関しては、FTCは「被害者に『先にお金を振り込んだ』と主張し、『お金をこちらに振り込み直して欲しい』『別の誰かに振り込んで欲しい』と伝える手口が多い」と解説。こうした手口によってお金をだまし取られるという可能性だけでなく、振り込みを行うことでマネーロンダリングの片棒を担ぐ可能性すらあるとFTCは警告しています。
また、送金手段については、「ギフトカード」が用いられるケースが70%という急増を記録しました。FTCによると、近年は「ギフトカード自体を送付する」「ギフトカードの番号だけを送る」などの被害が急増していますが、全体からみた被害者に送金させる手法はギフトカードと銀行振り込みの2強状態とのこと。こうした手口によって被害者がだまし取られた金額の中央値は、2020年においては2500ドル(約27万円)。この額は、他の詐欺による被害額の10倍以上に相当するとのことで、ロマンス詐欺は特に被害額が大きい詐欺だとされています。
被害者については、全年齢層において被害の増加が確認されているものの、増加の比率で見た場合には20~29歳が1位で、この年齢層では2019年から2020年にかけての被害件数が倍加しました。一方、純粋な被害件数で見た場合には40~69歳が1位で、被害額で見た場合には70歳以上が1位。70歳以上の被害額の中央値は、9475ドル(約103万円)に達しています。
こうしたロマンス詐欺を避ける方法についてもFTCは解説しています。FTCによると、オンラインで詐欺師を避けつつ愛を探す場合には、以下の4点に気をつけるべきとのこと。
・たとえ相手が先に送金してきたとしても、直接会ったことのない人物に送金したり、物を贈ったりしない。
・オンラインでの恋愛について、周りに相談する。友達や家族が心配してきた場合には、よく耳を傾けるべき。
・質問してみて、矛盾した返答がないかを探ってみる。
・プロフィールに使われている写真で検索してみる。検索結果として出てきた人物が別人だった場合は、間違いなく詐欺。
なお、「出会い系アプリでは出会えない」という研究結果も存在しているため、出会い系アプリの利用には注意が必要です。
なぜ「出会い系アプリ」で出会えないのか? - GIGAZINE
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