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Google検索に「AIによる概要」が表示されるようになったせいでウェブサイトのトラフィックが急減したとの報道


Googleは検索結果をAIがわかりやすくまとめてくれる「AIによる概要」機能を展開しており、検索した際にわざわざウェブサイトへアクセスしなくても、AIによる概要だけ見れば大まかな内容がわかるようになっています。AIによる概要が展開された影響により、多くの独立系ウェブサイトがトラフィックの急落に苦しんでいると、経済紙のBloombergが報じました。

Google AI Search Shift Leaves Website Makers Feeling ‘Betrayed’ - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-04-07/google-ai-search-shift-leaves-website-makers-feeling-betrayed


Google’s AI Search Switch Leaves Indie Websites Unmoored
https://www.pymnts.com/google/2025/googles-ai-search-switch-leaves-indie-websites-unmoored/

日曜大工の自宅リノベーションに関するガイドを掲載するウェブサイト・Charleston Craftedを運営するモーガン・マクブライド氏は、2024年3月からわずか数カ月の間に、GoogleからCharleston Craftedへのトラフィックが70%以上減少したと報告しています。過去にもGoogleのアルゴリズムの変更でトラフィックが急落する事態はあり、そのたびにマクブライド氏はウェブサイトの修正によりトラフィックを回復させてきましたが、今回の急落から回復させることはできなかったとのこと。

マクブライド氏は、トラフィックが急落した時期とGoogleがAIによる概要を導入した時期がかぶっていることから、人々がAIによる概要でリノベーションのアドバイスを受け取るようになり、それでトラフィックが減少したのではないかと疑っています。

AIによる概要は以下のように、ワードに対応した検索結果を入力フォームの下部に表示する機能です。通常の検索結果で表示されるウェブサイトなどよりも上に表示されるため、わざわざウェブサイトを開くことなく、AIによる概要だけ見て満足してしまうことも多いと思われます。


Bloombergが25の独立したパブリッシャーやその協力者に対するインタビューを行ったところ、Googleが導入したAIによる概要やそれに伴うアルゴリズムの変更により、ウェブサイトへのトラフィックが急落したことが明らかになりました。この傾向についてBloombergは、「企業が優れたコンテンツを作成すればGoogleは彼らにトラフィックを送ってくれるという、長年にわたって存在してきた微妙な共生関係を崩壊させています」と述べています。

AIが提供する回答にはいまだに不正確な内容や誤解が含まれているため、パブリッシャーのコンテンツの代替品としては不十分です。マクブライド氏によると、GoogleのAIはリノベーションの質問に対して「存在しない製品」の使用を推奨したり、安全でないアドバイスを与えたりしてくるとのこと。Googleからのトラフィックが減少すると、広告収入に頼っている多くのウェブサイトの運営が立ち行かなくなって閉鎖され、結果的にGoogle検索でアクセスできる情報の質を低下させる可能性があります。


GoogleはBloombergに対し、「AIによる概要の展開がウェブサイトのトラフィックを急落させた」という説を否定し、トラフィックの減少理由は個々の事例によって異なり、原因を一般化することは誤解を招くと主張。広報担当者は、季節的な需要やユーザーの興味、定期的な検索アルゴリズムの更新など、トラフィックが変動する理由にはさまざまなものがあると説明しました。

しかし、トラフィックの減少はウェブ全体で広く認識されています。ウェブ分析会社のSimilarwebがファッション・旅行・ライフスタイル・DIY・ホームデザイン・料理などの多岐にわたるカテゴリーの中小ウェブサイトを2年にわたり分析したデータでも、トラフィックの減少が確認されており、その原因がAIによる概要の導入である可能性があるとSimilarwebは回答しています。

マクブライド氏のビジネスには、すでにGoogleからのトラフィック減少で長期的なダメージが及んでおり、急落からの1年間でCharleston Craftedのディスプレイ広告収入は65%も減り、数万ドル(数百万円)の損害が出たとのこと。マクブライド氏は、「物事が好転するのをただ座って待っているわけにはいきません」と述べ、状況の悪化に対して焦りをにじませています。

Googleは、AIによる概要によるトラフィックの減少について公式には認めていませんが、2024年10月には約20人のウェブサイト運営者をカリフォルニア州マウンテンビューの本社に招待し、Google検索部門がトラフィックの減少について説明したとのこと。これらのクリエイターが運営するウェブサイトの月間トラフィック数を推定したグラフが以下。2023年後半から急減し、2024年後半にも大きな減少の波が来ていることがわかります。


また、GoogleはAIによる概要の導入と並行して検索アルゴリズムを更新し、RedditやQuoraなどのフォーラムや大規模なメディアブランドを優先して表示するようになり、独立したウェブサイトへのトラフィックがさらに減少したとBloombergは報じています。

トレーニングシューズのレビューを行うウェブサイト・That Fit Friendの運営者であるジェイク・ボリー氏は、「Googleがどうしてこれを持続可能だと考えているのかわかりません。すべての愛好家や小さなパブリッシャーを追い払うと、スパムやお金を支払う余裕がある少数のプレイヤーであふれかえってしまうでしょう」と述べています。

アルゴリズムの変更についてGoogleの広報担当者は、「信頼できる本物の経験」を求めてGoogleを訪れるユーザーはブログだけでなく、フォーラムでのディスカッションやビデオコンテンツを好むことが多いと指摘。そのため、アルゴリズムを変更してフォーラムなどを優先するようにしたと説明しました。

ウェブクリエイターをGoogle本社に集めて行われた2024年10月の会議では、Google検索部門のチーフサイエンティストであるパンドゥ・ナヤック氏が、トラフィックの減少により困窮したクリエイターに謝罪したとのこと。しかしナヤック氏は、ウェブサイトへのトラフィックが回復する可能性があるかどうか尋ねたクリエイターに対し、次に何が起こるか予測できないため、何も保証することはできないと回答したそうです。


Googleは料理ブログのコンテンツをGoogle検索結果に直接表示するテストも開始しており、この機能が完全に実装されれば料理ブログへのアクセスが半減すると推定されています。この機能のパイロット版には料理ブログのクリエイターも参加していますが、Googleと個々のクリエイターの力関係は非常に偏っているため、多くのクリエイターは「参加する以外に選択肢はない」と感じていたとのこと。健康食品サイト・Downshiftologyの著者であるリサ・ブライアン氏は、「大きな懸念はGoogleが私たちのコミュニティや視聴者の関係を断ち切っていることです」と述べています。

Googleのスンダー・ピチャイCEOは最近のインタビューで、Googleはパブリッシャーに高品質のクリック、つまり純粋にウェブサイトを訪れたい読者を送ることに注力していると語っています。しかし、これに対しては「なぜGoogleがパブリッシャーにとって必要なものを理解していると言えるのか」「なぜ一方的に『質の高いクリック』や読者を引き込む方法を決定しているのか」といった不満が寄せられています。

5700人のウェブクリエイターをサポートするメディア企業・Raptiveは、数百人の大手クリエイターと契約してGoogleや他のテクノロジー企業と交渉を始めています。しかし、すでにトラフィック減少の影響は深刻なものとなっており、2024年10月の会議に招待された20人のクリエイターのうち3人は、ウェブサイトの運営を停止せざるを得ない状況に追い込まれたとのこと。

2008年から旅行ブログ・The Planet Dを立ち上げたデイブ・ブースキル氏らも、2024年にAIによる概要が導入されてからトラフィックが90%減少し、それに伴って収入も減ってしまったため、ブログの停止を決断しました。ブースキル氏らはBloombergの取材に対し、旅行に関する検索結果で表示されるAIによる概要には、自分たちがブログで紹介したヒントがそのまま含まれている場合もあり、時にはブログで使ったカナダのスラングがそのまま繰り返されていることもあると証言。「Googleに裏切られたと感じています」と、ブースキル氏は述べました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article Reports that website traffic has plummet….