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トランプ大統領の側近が誤って極秘の戦争計画をリーク、実際のスクリーンショットも公開される


トランプ政権の大統領補佐官が、アメリカ軍の軍事作戦に関する計画を政府高官の間で共有するメッセージアプリのグループチャットに、誤って月刊誌・The Atlantic(アトランティック誌)の編集長を招待し、これにより重要な軍事機密が民間人に漏えいしていたことが、アトランティック誌の報道により発覚しました。

The Trump Administration Accidentally Texted Me Its War Plans - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/politics/archive/2025/03/trump-administration-accidentally-texted-me-its-war-plans/682151/

Hegseth slams The Atlantic: "Nobody was texting war plans"
https://www.axios.com/2025/03/24/hegseth-trump-atlantic-yemen-houthis-text-war-plan

Messages with Yemen war plans inadvertently shared with reporter appears 'authentic': Official - ABC News
https://abcnews.go.com/Politics/trump-officials-accidentally-shared-yemen-war-plans-group/story?id=120106043

2025年3月15日、アメリカは紅海で商船襲撃を続けるイエメンの親イラン武装組織「フーシ派」の拠点を爆撃しました。アメリカのメディアは、この攻撃を「トランプ大統領の再任以降で最も重大な軍事行動」と位置づけています。

そして、アトランティック誌は2025年3月24日に、同誌の編集長であるジェフリー・ゴールドバーグ氏が爆撃開始の2時間前にイエメン空爆が行われることを把握していたと報じました。


ゴールドバーグ氏によると、同氏は3月11日に「マイケル・ウォルツ」と名乗るSignalアカウントから接続リクエストを受け取ったとのこと。ゴールドバーグ氏は当時、それが本物のマイケル・ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)だとは思っていませんでしたが、トランプ政権で国家安全保障の顧問を務める人物が、ゴールドバーグ氏と面識のあるウォルツ大統領補佐官のつてで接触してきたのだと考えて、リクエストを受け付けました。

さらに、チャットグループに加わるよう通知されたゴールドバーグ氏が「フーシ派PC小グループ」に入ると、そこにはJ・D・ヴァンス副大統領やマルコ・ルビオ国務長官など18人の政府高官が名を連ねていました。なお、「PC」は主要幹部委員会(principals committee)の略です。


そして、爆撃の前日である14日の朝になると、ウォルツ大統領補佐官からグループに「チームの皆さん、大統領の指示に従って、今朝ハイサイド(機密扱いの通信システムを意味する政府用語)の受信箱に結論と任務の声明が届いているはずです」とのメッセージが送られ、事態がさらに大きく動き始めました。

このメッセージに続く高官らのやりとりには、トランプ政権はスエズ運河の安全対策に乗り気ではないことや、ガザ停戦の崩壊などの影響で紅海を巡る情勢が変化していて時間的な猶予がないこと、この問題に対応できるのはアメリカしかないと考えられていることなどが、本音交じりに続いたとのこと。また、ウォルツ大統領補佐官はEUが動かせる海上戦力が限られていることなどを示唆する長文のコメントを投稿しました。

ゴールドバーグ氏が公開したSignalのスクリーンショットには、ヴァンス副大統領の「もしやるべきだと思うなら、やりましょう。ただ、またヨーロッパを救ってやるのは本当にしゃくです」との発言や、それに対するピート・ヘグセス国防長官の「私もヨーロッパのただ乗りに対するあなたの嫌悪感を完全に共有しています。本当に情けない。しかし、マイク(ウォルツ大統領補佐官のこと)が言ったとおり、地球上のこちら側の陣営でこれができるのは私たちだけで、他には近い存在すらありません。問題はタイミングです。大統領が航路を再開させるよう指示していることを考えると、今が最適な時期だと感じています」といった返事など、かなり生々しいやりとりが収められています。


このやりとりを見ても、ゴールドバーグ氏は半信半疑だったとのこと。というのも、外国の情報機関がジャーナリストを標的としたかく乱のために展開している偽情報キャンペーンの可能性が十分あるからです。

そしてなにより、まさかアメリカの中枢部が差し迫った戦争計画についての通信に、エンドツーエンド暗号化が施されているとはいえ無料のメッセージアプリに過ぎないSignalを使っているとは信じられず、万が一本物であったとしても、そこに一介の民間人を招くようなことがあるとは考えられませんでした。

さらに、爆撃当時の3月15日にはヘグセス国防長官が、攻撃目標や配備される兵器、攻撃の順序に関する情報など、イエメンへの今後の攻撃の作戦詳細を含む「チームアップデート」を投稿しました。もしアメリカの敵対国にわたれば、アメリカ軍に大きな被害が及びかねない情報が含まれているため、ゴールドバーグ氏はこの投稿の詳細を伏せています。

ヘグセス国防長官のメッセージには、投稿の2時間後にイエメンでの最初の爆撃についての第一報が入るだろうと書かれていました。そして、実際にゴールドバーグ氏がその時間にX(旧Twitter)をチェックすると、イエメンの首都サナアの至る所から爆発音が響く動画が投稿されていました。

以下は、イエメン爆撃の報告に対するフーシ派PC小グループのメンバーの反応です。ウォルツ大統領補佐官の絵文字の投稿や、MAR(ルビオ国務長官)による「ピート(ヘグセス国防長官)とそのチーム、グッジョブ!」との発言など、思い思いの反応が投稿されています。


ゴールドバーグ氏は、自身がこうしたやりとりを見てしまったことについて、「ウォルツ大統領補佐官をはじめとする閣僚級の高官たちは、作戦についてメールを送り合うだけでも、すでに政府の方針や法律に違反する可能性があります。しかし、ウォルツ大統領補佐官がおそらく手違いで私のようなジャーナリストを主要幹部委員会に加えたことで、さらなる安全保障と法律上の問題が生じました。つまり、このグループは情報を受け取る権限のない人物に情報を送信していたのです。たとえそれが意図的でなかったとしても、そしてイエメンがアメリカの攻撃を受けるまでリークを受けた側が本物のリークだと気づきもしなかったとしても、これは古典的な情報漏えいの定義にあたります」と述べました。

ホワイトハウスは、アトランティック誌の報道の信ぴょう性を認めており、国家安全保障会議のブライアン・ヒューズ報道官は「現時点では、報告されたメッセージスレッドは本物であるように思われます。私たちは、どのようにして誤った番号がスレッドのチェーンに追加されたのかを調査しています」と述べました。

一方、日本を含むインド太平洋諸国への公式訪問のためハワイに到着したヘグゼス国防長官は、記者団に対し「誰も戦争計画をテキストメッセージで送っていません。そのことについて私が言えることはそれだけです」と述べて、戦争計画がリークされたとのアトランティック誌の報道内容を否定しました。

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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