サイエンス

ドラマやアニメの「一気見」や本の「一気読み」がもたらす心理的なメリットとは?


連続TV番組などを一気に視聴する「ビンジ・ウォッチング」や、小説を一気に読み切る行為は時間を浪費する悪習慣として語られがちで、一気見することで内容をつまらなく感じさせるというもあります。ところが、こうした一気見や一気読みは作品に関する記憶を強めやすく、見終えた後も頭の中で物語世界を広げて遊ぶ状態につながりやすい可能性があるとアメリカ・ジョージア大学の研究が示しました。

Watching one more episode and reading one more chapter: What entertainment contexts lead to retrospective imaginative involvement? - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0001691825004147

New study suggests binge-watching and marathon reading may have hidden psychological benefits
https://www.psypost.org/new-study-suggests-binge-watching-and-marathon-reading-may-have-hidden-psychological-benefits/


アメリカのジョージア大学で広告・広報学を研究するジョシュア・ボールドウィン氏らは、テレビ番組や映画といった映像作品の一気見や書籍の一気読みが、作品を見終えた後・読み終えた後の心理状態とどう結び付くのかを調べました。

研究の中心にあるのは作品を見終えたり読み終えたりした後に、頭の中で物語を反すうしたり、描写されていない場面を補ったり、別の展開を想像したりするような状態です。ボールドウィン氏らはこの状態を「回顧的想像関与」と呼び、英語名のRetrospective Imaginative Involvementから「RII」と表記しています。


ボールドウィン氏らは学部生の大学生を対象に、2つの調査を実施しました。

1つ目の調査では、アメリカ中西部の大学2校からオンラインで募集した303人に、テレビ番組・映画・書籍の中から印象深い作品と印象に残らなかった作品を挙げてもらった上で、選んだ作品について質問しています。具体的には、視聴や読書の動機、一度にどれくらい続けて見たか/読んだか、作品を「楽しい」と感じた度合い、情緒的に複雑で考えさせられる「味わい深い」作品だと受け止めたかどうか、ストレスや余暇の使い方、RIIの程度などを質問したとのこと。

2つ目の調査では237人を対象に、手順の一部を修正して再検証したとのことです。

分析の結果、記憶に残りやすい作品として挙げられたものほど、見終えた後や読み終えた後にRIIが起きやすい傾向が示されたとボールドウィン氏らは報告しています。また、テレビ番組については一度に続けて視聴したエピソード数が多いほどRIIが起きやすい傾向も示されました。書籍についても一度に続けて読んだ時間が長いほどRIIが起きやすい可能性が示されましたが、この関連は調査によって強さが異なっており、1つ目の調査では明確な関連が見られなかった一方、2つ目の調査では一部のRIIで関連が確認されたとのこと。

なお、映画については視聴が一回で完結することが多いためか「一度にどれくらい長く見たか」を測る指標を用意していなかったそうです。


視聴や読書の動機もRIIと関係していました。ボールドウィン氏らは「物語を通じて日常の自分を越えた経験を得たい」「視野を広げたい」といった動機は、現実から目をそらしたいという動機よりもRIIを強く予測したと報告しています。一方で現実逃避の動機は、作品の出来事をそのまま思い返す形のRIIと結び付く傾向があったとのことです。

作品の受け取り方によってもRIIの形が変わる可能性があります。気軽に「楽しい」と感じた作品では出来事をそのまま思い返す形になりやすい一方、「味わい深い」と感じた作品では背景設定を補ったり別ルートの展開を考えたりするなど、より能動的に物語を組み替える想像が生まれやすかったとボールドウィン氏らは述べています。


ストレスとRIIの関係については、調査によって結果が一致しませんでした。1つ目の調査ではストレスが高い人ほどRIIが起きにくい傾向が一部で見られた一方、2つ目の調査では同様の関連が確認できなかったとのことです。

ボールドウィン氏らは、作品の一気見によって物語のつながりを捉えやすくなり、登場人物や出来事、世界観を頭の中で整理する「作品世界の地図」が形作られやすくなる可能性があると述べています。こうした地図ができると、作品を見ていない時間にも記憶を材料にして想像を広げやすくなり、日々のストレス要因への対処や気分の回復に役立つ可能性があるとボールドウィン氏らは主張しています。

なお、ボールドウィン氏らは今回の研究の限界として、今回の調査がRIIが回復や幸福感を実際に高めるかどうかを直接測定したものではない点、加えて参加者が学部生の大学生に限られる点を挙げています。

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in サイエンス,   アニメ,   映画,   創作, Posted by log1b_ok

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