大人気アクションRPGを実写映画化した『ボーダーランズ』のイーライ・ロス監督にインタビュー、監督就任の経緯や撮影秘話などいろいろ聞いてみた
これまでにシリーズ累計8700本以上を売り上げた人気アクションRPG『ボーダーランズ』を実写映画化した『ボーダーランズ』が、2025年1月24日(金)からAmazon Prime Videoで配信開始されます。そんな映画『ボーダーランズ』を手がけたイーライ・ロス監督にインタビューする機会を得たので、本作の監督を引き受けた経緯や劇中に登場するキャラクター、本作の見どころなどについて尋ねてみました。
映画『ボーダーランズ』オフィシャルサイト
https://klockworx-v.com/borderlands/
今回インタビューに応じてくれたイーライ・ロス監督。
Q:
ゲーム『ボーダーランズ』に関してはご存じでしたか?もしもプレイしたことがあれば、その感想や印象、お気に入りのキャラクターについて教えてください。
イーライ・ロス監督(以下、ロス):
たしかにゲームのことは知っていましたが、熱心にプレイしたことはありません。ですが、私はSF映画が大好きで、完全にぶっ飛んだ大規模でワクワクするような作品を作りたいと思っていました。ちょうど『バーバレラ』と『フィフス・エレメント』が出会ったような作品や『マッドマックス2』と『Toby Dammit』を混ぜ合わせたような、視覚的でワイルドな作品です。もちろん、今ではゲームのことをしっかり理解しています。
Q:
『スター・ウォーズ』『ニューヨーク1997』『マッドマックス』、さらには『フィフス・エレメント』『スターシップ・トゥルーパーズ』までミックスしたようなSF映画を撮ろうというアイデアは本作で実現されたわけですが、こうした壮大な発想はいつから考えていたのですか。
ロス:
たとえどんなにクレイジーな作品になろうとも、マカロニ・ウエスタンのスペース・オペラを作りたいというアイデアはずっと抱いていました。西部劇には明確なひな型があり、誰が味方で誰が敵か判別しやすく、どちらにも何らかの魅力があります。私たちは本作で、3000年後の未来の地球とは別の惑星を舞台に西部劇の構造を持つさまざまな映画のミックスを作り上げました。
Q:
ゲーム作品を原作とした映画の監督はロス監督にとって初めての経験だと思います。この作品の監督を引き受けることになった経緯を教えてください。
ロス:
本作の監督就任前、私はこれまでと違うものや挑戦的なもの、大規模に取り組めるものを探していました。時期を同じくして本作のプロデューサーらは監督を引き受ける人物を探していました。プロデューサーらは私が監督を務めた映画『ルイスと不思議の時計』や『デス・ウィッシュ』を気に入ってくれており、彼らと会って創作面で意気投合し、プレゼンテーションを行った結果、この仕事を獲得することができました。また、ゲーム『ボーダーランズ』を手がけるGearbox Softwareのランディ・ピッチフォードCEOからも多くのサポートがありました。
Q:
監督は『ホステル』や『グリーン・インフェルノ』などの多くのホラー作品で知られています。本作の演出は、これまでのホラーやスリラーの演出の延長線上にあるのでしょうか。本作を監督するにあたって、過去にこうした作品を作っておいたことで役に立った点、制作が円滑に進行した点などはありましたか。それとも、本作は全く新しいアプローチで演出されたのでしょうか。
ロス:
私は近年、これまでの過激なホラー作品からいったん距離を置き、『デス・ウィッシュ』や『ルイスと不思議の時計』といった、創造性を別の側面で発揮するような作品に取り組んでいました。ただ、本作のような視覚効果が多用される映画に挑戦する準備はいつでも万全だったと思います。正直なところ、『サンクスギビング』を制作するためにホラーの世界に戻ったとき、ホラーが恋しかったと感じてしまいました。本作『ボーダーランズ』はそんな『サンクスギビング』の後に公開されましたが、実際には『ボーダーランズ』の制作は『サンクスギビング』の前でした。
Q:
本作の撮影は2021年6月に終了したものの、アメリカ国内での公開は2024年8月でした。ポストプロダクション作業では、どういった点に時間を費やしましたか。また「この作業はうまくいった。あっという間にできた」といった部分はありましたか。
ロス:
本作が公開されるまでの作業はとても大変でした。キャストが非常に多い本作のような大規模なVFX映画では、通常、撮影・編集した後、追加のショットを撮るという流れになります。例えば、マーベルが映画を作る際には、撮影して編集し、その後再撮影することまでが契約に組み込まれています。しかし、本作の制作を手がけたのはマーベルではなく、普段こういった映画をあまり制作しないスタジオだったので、再撮影のためだけにキャストを再び集めることもありました。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響もあり、キャストのスケジュール調整には困難を極めました。特に、主演のケイト・ブランシェット氏は当時『ディスクレーマー』の撮影も並行しており、撮影は当初の予定から5カ月も延びてしまいました。こうしたことが起こると、キャストを集めるのがますます困難になっていきましたが、最終的には何とか完成を迎えました。
Q:
本作の劇伴は映画音楽だけでなく『Gears of War』などのゲーム音楽も手がけるスティーブ・ジャブロンスキー氏が担当しました。ジャブロンスキー氏には、どういった形で劇伴の制作を依頼したのでしょうか。
ロス:
ジャブロンスキー氏には、撮影が完了した状態の映画を見てから劇伴を作曲してもらいました。彼は素晴らしい作曲家で、自分自身のオリジナリティを作品中に数多く持ち込んでくれたと思っています。
Q:
主人公・リリスを演じたケイト・ブランシェット氏は日本で最も人気がある俳優の1人です。彼女の起用理由と撮影時のエピソードを教えてください。
ロス:
かつて『ルイスと不思議の時計』で彼女と一緒に仕事をしましたが、本当に素晴らしい経験でした。本作の脚本を読んだとき、真っ先に彼女のことが思い浮かびました。ほとんどの監督は「指揮棒のような小道具を持つドラマチックな役」で彼女を起用したがりますが、私は彼女にブラドフ社製の銃と火炎放射器を持たせたいと思いました。彼女にできないことはありません。
Q:
劇中にはリリスを含め、魅力的なキャラクターが数多く登場しました。ゲーム内のキャラクターを実写映画に反映するにあたって、こだわった点や難しかった点などはありますか。
ロス:
個人的にはクラップトラップが大好きで、声優にはジャック・ブラック氏が最適だとすぐに思い浮かびました。そして、ティナには私と同じような反骨精神があり、とても共感できます。ゲーム『ボーダーランズ』には素晴らしいユーモアのセンスがあふれている一方、キルシーンが非常に優れています。サイコたちも大好きで、彼らが生きる世界を実際に映像で生き生きと表現したいと思いました。
Q:
劇中にはゲームにも登場する武器商人のマーカスやCaustic Cavernsが登場し驚かされました。本作の脚本はロス監督とジョー・クロンビー氏が手がけていますが、こうしたアイデアは初期の構想から決まっていたのでしょうか。それとも、脚本を修正していくうちに決まったものなのでしょうか。
ロス:
脚本は常に洗練され続けており、映画の完成までにそれが終わることはありません。ゲームのさまざまな要素を劇中に取り入れたかったので、実は「ウェインライトとハマーロックの結婚式」の場面も撮影しました。しかし、最終的には残念ながらカットすることになってしまいました。それでも、ゲームの世界ができるだけリアルに生き生きと感じられるようにしたかったのは事実です。
Q:
最後に、この映画の見どころ・楽しみ方を日本の観客に教えてください。
ロス:
できるだけ大きな画面で見て、楽しんでくださいね!
映画『ボーダーランズ』は2025年1月24日(金)からAmazon Prime Videoで配信が開始されます。
2025年1月24日(金) Prime Video独占配信『ボーダーランズ』|予告編 - YouTube
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