成人は1年あたり平均0.5~1kgずつ体重が増えてしまう傾向がある、「じわじわ太り」を防ぐ7つのステップとは?
新年を迎えて「今年こそは健康な生活を送ろう」と目標を立てたはいいものの、体重計に乗ってみたら自分の想像以上に体重が増えていてショックを受けたという人もいるはず。自分が気付かないほどのスピードで少しずつ体重が増えてしまう「じわじわ太り」を防ぐために必要な「7つのステップ」について、オーストラリアのロイヤル・プリンス・アルフレッド病院の内分泌内科で臨床試験ディレクターを務めるニック・フラー氏がアドバイスしました。
Most adults will gain half a kilo this year – and every year. Here’s how to stop ‘weight creep’
https://theconversation.com/most-adults-will-gain-half-a-kilo-this-year-and-every-year-heres-how-to-stop-weight-creep-244186
一般的な成人は年間平均で0.5~1kgずつ体重が増加するといわれています。フラー氏によれば、そもそも成人は年齢を重ねるにつれて少しずつ太っていく傾向があるとのことで、これはそれほど急激な体重増加には思えないかもしれませんが、10年間で5~10kg、20年間で10~20kgの体重増加と考えれば、決して無視できるものではありません。また、じわじわと体重が増えていく場合は本人も太っていることに気付きにくく、30代後半~50代になって初めて「自分ってこんなに太っていたっけ?」と驚くこともあります。
加齢と共に体重が増える理由について、フラー氏は以下のような「微妙で緩やかなライフスタイルと生物学的な変化」が原因だと指摘しています。
・活動レベルの低下:年齢と共に労働時間が長くなり、家族との約束に時間を取られるようになると、座りがちで運動不足の生活が身についてしまいます。こうなると消費カロリーが減り、太ってしまいやすくなります。
・食生活の悪化:仕事や家庭が忙しくなると食事に避ける時間が減り、ファストフードや包装済みの食品などに手を伸ばしがちになります。これらの加工食品は見た目以上に糖分や塩分、脂肪分が豊富であり、体重増加の原因になります。また、仕事を続けることで経済状況が良くなれば外食が増える可能性もあり、これも総カロリー摂取量の増加につながるとのことです。
・睡眠時間の減少:忙しい生活やスクリーンタイムの増加は、睡眠不足を引き起こします。これは体内のエネルギーバランスを乱し、空腹感を増大させ、食事が増える原因になるとフラー氏は指摘しています。
・ストレスの増加:経済状況や人間関係、仕事関連のストレスが増加すると、ストレスホルモンであるコルチゾールの産生量が増えます。これによって食事への渇望が増し、脂肪の蓄積が促進されるとのことです。
・代謝の低下:一般的に40歳を過ぎると筋肉量が次第に減少し、体脂肪が増え始めます。筋肉量は体の代謝率に関連しているため、筋肉量が減少すると代謝も減り、消費カロリーが減ってしまいます。
肥満は心臓病や脳卒中、2型糖尿病、骨粗しょう症、さまざまな種類のがん(乳がん・大腸がん・食道がん・腎臓がん・胆のうがん・子宮がん・すい臓がん・肝臓がん)などのリスクを高めることがわかっています。また、2017年の研究では成人初期から中年にかけて2.5~10kgほど体重が増えた人は、安定した体重を維持していた人と比較して生活習慣病のリスクや死亡率が高いことが報告されています。
体には現在の体重を維持しようとする働きがあり、体重が増えれば増えるほど減量するのが困難になるため、気付かない程度のじわじわ太りの段階でダイエットに取り組む方が結果的に労力が少なくて済むとのこと。フラー氏はじわじわ太りを防ぐため、以下の「実践的な7つのステップ」を心がけるようにアドバイスしています。
◆1:朝食の量を多めに、夕食の量を少なめにする
低カロリーまたは量が少なすぎる朝食は、1日を通じた空腹感や甘い物への渇望の増加につながります。そのため、朝食は多めに食べて、昼食や夕食の量を少なめにした方が結果的に総摂取カロリーは減ります。また、朝食の方が夕食よりも効率的にカロリーを消費するという研究結果もあるため、夕食よりも朝食を多く食べることは体重管理において有益だそうです。
◆2:箸や小さなスプーンを使って食べる
時間に追われているとついつい一口でたくさん食べてしまいがちですが、夕食はテーブルに座り、箸や小さなスプーン、フォークなどを使ってゆっくり食べることをフラー氏は推奨しています。ゆっくり食事をすることで、胃から満腹であることを知らせる信号が脳に伝わり、適応するための時間が得られます。
◆3:野菜や果物をたくさん食べる
普段の食事にさまざまな種類の野菜や果物を取り入れることで、健康にとって重要な食物繊維やその他の栄養を摂取できる上に、より少ないカロリーで満腹感を得ることができます。また、野菜だけでなくタンパク質や全粒穀物の炭水化物、健康的な脂肪源なども含める必要があります。
◆4:自然な食品を取り入れる
食事が面倒になるとついファストフードやレトルト食品、お菓子などに手が伸びがちですが、新鮮な野菜や果物、ハチミツ、ナッツといった自然な食品を食べることも重要です。これらの食品に慣れれば、脳が超加工食品やファストフードを食べた時と同様の報酬反応を示し、過剰なカロリーや塩分、糖分、脂肪分を避けることにつながります。
◆5:より体を動かす方を選択する
体重を減らすには身体活動を増やすことが重要ですが、これは必ずしもランニングや筋トレといった特別なものである必要はありません。たとえば「建物の1階から3階に上がる時にエレベーターと階段のどちらかを選べるのであれば、可能な限り階段を選択する」といったように、日常生活の中の偶発的な運動を増やすように心がけるだけでも違いが現れます。また、アクティビティやスポーツをやる場合には、毎日同じことを繰り返すと飽きてしまうため、バラエティに富んだ活動をする方がいいとのことです。
◆6:睡眠を大事にする
毎晩最低7時間の睡眠をとるという目標を設定し、就寝前の1~2時間はスマートフォンやタブレットを触らないなどの対策を取ることが必要です。
◆7:定期的に体重を測定する
じわじわ太りの問題は「そもそも自分が太っていることに気付けない」という点にあるため、毎週体重を測定する習慣を身につけることで、自分の体重変化を察知しやすくなります。フラー氏は、「毎週同じ日の同じ時間に、同じ環境で、手頃な価格の最高品質の体重計を使って体重を計ってください」とアドバイスしました。
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