フィンランドが海底送電ケーブルの損傷についてロシアの「影の船団」の犯行を疑い捜査中

by GRID-Arendal

フィンランドとエストニアを結ぶ海底送電ケーブルが2024年12月25日に破損した事件について、フィンランド警察はロシアの「影の船団」に関連するタンカーが原因である可能性があるとして捜査を行っていると発表しました。

Fingrid jatkaa sähköyhteyden katkeamisen selvittämistä | HS.fi
https://www.hs.fi/talous/art-2000010926651.html

Finland seizes Russian shadow fleet oil tanker after cable-cutting incident
https://www.ft.com/content/0c208ac1-f416-41b2-a373-ec7f90b84ca8

Finland investigates Russian 'shadow fleet' ship over Baltic Sea cable damage | Euronews
https://www.euronews.com/my-europe/2024/12/26/undersea-power-cable-linking-finland-and-estonia-suffers-damage-in-latest-baltic-sea-incid

2024年12月25日、フィンランドとエストニアを結ぶ重要な海底送電ケーブル「Estlink 2」で大規模な障害が発生し、送電能力が65％以上低下する事態となりました。これにより、設備の送電能力は1016メガワットから358メガワットまで大幅に低下しています。

フィンランド・エストニア間の海底送電ケーブルで大規模障害が発生、外部勢力による妨害行為の可能性も - GIGAZINE

フィンランド当局によると、Estlink 2の破損を引き起こしたのは、クック諸島の旗を掲げてバルト海を航行していた貨物船「イーグルS」によって引き起こされた可能性があるとのこと。現地報道によれば、Estlink 2が切断された時、イーグルSは影響のある海域を航行中で、しかも切断されたタイミングで明らかに減速していたことが判明しています。

また、イーグルSがEstlink 2の上を横切るほんの数分前に船の航行速度を4分の1に減速したことがBluesky上で指摘されています。

Cook Island flag oil tanker Eagle S lost 25% of her speed minutes before she crossed the broken cable Estlink2. She crossed at 10:26Z, ie the time of cable fault.
She proceeded at affected speed til she reached shallow waters, where she lost all momentum. After some maneuvers she regained speed.

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— auonsson (@auonsson.bsky.social) 2024年12月26日 2:23

当局は2024年12月26日に、イーグルSに航行禁止令を出し、「海底送電ケーブル1本と通信ケーブル3本を損傷した疑い」で捜査を開始しました。イーグルSはこれまでトルコやインドの国旗を掲げて航行していたそうですが、フィンランド当局はイーグルSがロシアの「影の船団」が関与しているとみています。「影の船団」は、ウクライナ侵攻から原油の輸出制限という制裁を受けているロシアが石油取引に利用する闇タンカーのことで、イーグルSは押収時に無鉛ガソリンを約3万5000トン積載していたそうです。

フィンランドのアレクサンデル・ストゥブ大統領はX(旧Twitter)で、「ロシアの影の船団に属する船舶がもたらす危険を防がなければなりません」とコメントしました。

なお、同じ時刻には香港の国旗を掲げた貨物船「Xin Xin Tian 2」も同海域を航行していたとのこと。2024年11月にはフィンランドとドイツを結ぶ海底ケーブルが中国船によって損傷を受けたと疑われる事件が起こっており、中国と関連のあるXin Xin Tian 2についても重ねて捜査が行われています。