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Appleが独自の検索エンジンを作るつもりはない3つの理由を語る


Appleは独自のウェブブラウザとしてSafariを開発していますが、デフォルトの検索エンジンにはGoogle検索を採用しています。「Appleが独自の検索エンジンを作成するのでは」というウワサされることもありますが、同社の幹部がこれをきっぱりと否定しました。

Apple seeks to defend Google's billion-dollar payments in search case | Reuters
https://www.reuters.com/technology/apple-seeks-defend-googles-billion-dollar-payments-search-case-2024-12-24/


Eddy Cue reveals the three reasons Apple won't build a search engine - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2024/12/24/apple-search-engine-reasons/

Apple has no intention of creating its own search engine
https://appleinsider.com/articles/24/12/24/ending-google-search-partnership-would-hamstring-apple-says-eddy-cue

2020年10月、アメリカ司法省(DOJ)は「検索及び検索広告市場において、反競争的で排他的な慣行を通じた独占状態を違法に維持している」として、独占禁止法違反でGoogleを訴えました。この訴訟を担当するコロンビア特別区連邦地方裁判所のアミット・P・メータ判事は、2024年8月に「Googleが独占禁止法に違反している」という判決を下しました。

Googleが金銭を支払ってスマートフォン検索の地位を維持しているのは独占禁止法違反と連邦判事が判断 - GIGAZINE


これに伴い、DOJはGoogleにウェブブラウザ・Chromeの売却などを求めているのですが、GoogleはDOJの要求が「裁判所の判断をはるかに越えるもの」であると反論しており、是正策を自ら提案しています。

Googleが独禁法違反でChrome事業の売却を求められている件で自ら是正策を提案 - GIGAZINE


この件で焦点となっているのは、Appleが独自のウェブブラウザであるSafariのデフォルト検索エンジンにGoogle検索を採用することで、Googleから多額の契約金を受け取っている点です。なお、Appleは2022年だけでGoogleとの契約から推定200億ドル(約3兆円)を受け取りました。

Appleは「Google検索を採用する代金」としてGoogleから年間3兆円を受け取っている - GIGAZINE


Googleの独占禁止法違反訴訟の関連資料として裁判所に提出された法廷文書の中で、Appleのサービス担当ヴァイスプレジデントであるエディ・キュー氏が「Appleが決して独自の検索エンジンを開発しない理由」を説明したことが話題を呼んでいます。

DOJによる是正策では、Googleの検索市場での独占を抑制することで、Appleが独自の検索エンジンを開発するか、検索テキスト広告市場に参入し、Googleの競合になることが期待されています。しかし、キュー氏は「DOJの想定は間違っている」と述べ、Appleが独自の検索エンジンを開発するつもりがない理由として以下の3つを挙げました。

1:Appleは他の成長分野に注力しており、検索エンジンの開発には資本投資と従業員の両方を転用する必要があるためです。検索エンジンの開発には数十億ドル(数千億円)の費用と何年もの開発期間が必要です。
2:検索は人工知能(AI)の最近の継続的な発展により急速に進化しています。そのため、検索エンジンの作成に必要な膨大なリソースを投入することは経済的に非常にリスクがあります。
3:実用的な検索エンジンには、ターゲット広告を販売するプラットフォームの構築が必要ですが、これは Appleのコアビジネスではありません。Appleには検索広告ビジネスを構築して成功させるために必要な専門スタッフや大規模な運用インフラがありません。AppleにはApp Storeプラットフォームなどのニッチな広告もありますが、検索広告はこれとは異なり、Appleのコアな専門分野の範囲外にあります。また、検索広告ビジネスを構築するには、Appleの長年のプライバシー保護の取り組みとのバランスを取る必要もあります。


法廷文書の中でAppleは「GoogleはもはやAppleの利益を適切に代表することができません。Googleは今後、自社の事業部門を分割しようとする広範な動きから身を守らなければなりません」と述べました。

Appleは2025年4月に行われる是正策の審問に、証人を呼びたいとしています。Googleはブラウザ開発者、モバイル機器メーカー、ワイヤレス通信事業者との既定契約を緩和することを提案していますが、検索から得る広告収入の一部を共有する契約を終了することは提案していません。


なお、Appleと同じようにGoogleと検索エンジン契約を結ぶことで収益を得ているFirefoxの開発元であるMozillaも、「DOJの是正策が施行されると収益源が危険にさらされ、Mozillaの将来が危うくなる」と主張し、DOJの是正策に反対の立場を表明しています。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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