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Discordで他人を自殺に追いやる凶悪サーバーの手口が当事者へのインタビューで明らかに


かつてDiscord上に存在していた「764」というサーバーでは、児童ポルノや自傷行為を記録したコンテンツなどがやり取りされていたほか、764のメンバーにそそのかされた人物が自殺する事件も発生しました。海外メディアのワシントン・ポストは、自殺した人物の親や自殺をそそのかしたメンバーに対して取材を試み、764の手口を明らかにしています。

He was suicidal and needed help. A 15-year-old girl pushed him to kill himself on a live stream. - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/investigations/2024/12/10/discord-suicide-764-hervey/

764は当時10代の少年だったブラッドリー・ケイデンヘッドによって設立されたDiscordサーバーで、「未成年を脅迫して追い込み児童ポルノコンテンツや暴力的なコンテンツを送らせる方法」がやり取りされていました。メンバーたちはサーバーで共有された手法を実践しており、その成果物である有害コンテンツも764上に多数アップロードされていました。

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764による脅迫は「自殺の要求」にまで及んでおり、実際に764メンバーとチャットした後に自殺した人物の存在も確認されています。ケイデンヘッドは2021年7月に児童ポルノ所持の容疑で逮捕されて80年の懲役を言い渡されているほか、2024年11月にはメンバーの1人であるリチャード・デンスモアに対して懲役30年の判決が下りました。

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ワシントン・ポストは764メンバーとのチャットの後に焼身自殺に及んだサムエル・ハーベイ氏の母親と、ハーベイ氏を自殺に追い込んだ元764メンバーのFmlkに直接取材することに成功しました。ハーベイ氏は自身が立ち上げたサーバーでFmlkと会話しており、その後に自身が焼身自殺する様子をDiscordサーバー上でライブ配信したことが明らかになっており、「ハーベイ氏の焼身自殺ライブ配信を複数人が笑いながら視聴している様子」を録画した動画の存在も確認されています。

ワシントン・ポストによると、ハーベイ氏は高校までは成績優秀だったものの大学時代に精神を病んで大学を中退し、2020年後半に精神病院に入院したとのこと。その後、ハーベイ氏は2021年5月に退院し、数カ月後に家族との連絡を絶って仏教寺院の巡礼のためにインドに旅立ちました。しかし、新型コロナウイルスの検疫の影響でキルギスタンで足止めされ、旅費を使い切ってしまいました。ハーベイ氏はSNS上で支援を求めていましたが、2021年10月30日にSNS上の知り合いに「私は自殺することに決めた」というメッセージを送信した後、Discord上に「anhero tempest.」という自殺準備用のサーバーを設立しました。なお、「anhero」は自殺志願者を指す俗語です。


「anhero tempest.」には複数のユーザーが参加し、自殺を思いとどまるように諭すメッセージが集まりました。しかし、中には自殺を推進するユーザーもいました。それが、764メンバーのFmlkです。当時、Fmlkは15歳で、764に「自宅近くの枯れ草に放火する動画」などを投稿して反応を得ることを楽しんでいました。ハーベイ氏の自殺準備用サーバーを見つけたFmlkは「ハーベイ氏を自殺に追い込めば764で名声を得られる」と考え、自殺を勧めるメッセージを送信したそうです。

Fmlkはハーベイ氏に対して「君ならできる!」といったメッセージを連日送信し続けました。そして、ハーベイ氏は2021年11月7日に自身の体にガソリンをかけて焼身自殺しました。自殺の様子は「anhero tempest.」でライブ配信されており、少なくとも29人のユーザーが視聴していました。視聴者の中にはFmlkを含む764メンバーが複数含まれており、配信を見ながら「やったぞ」「764万歳」などと叫んでいたとのこと。

さらに、Fmlkは2022年3月にうつ病関連のサーバーで自殺願望を語っている少女を見つけ、「anhero tempest.」に誘い、自殺を実行するように語りかけました。その結果、少女も「anhero tempest.」で自殺の様子をライブ配信しながら亡くなったそうです。


Fmlkは自身が764での活動にのめり込んだ理由として「Kushと名乗る764メンバーが関係している」と証言しています。Fmlkによると、Kushは764設立者のケイデンヘッドと親しい関係にあった人物で、764のチャットチャンネルでFmlk宛ての愛のメッセージを頻繁に送信していたそうです。FmlkはKushを「マスター」と呼んでおり、自身の性的な画像をKushに送信することもあったとのこと。

Fmlkは記事作成時点では764メンバーとの関係を断っており、ワシントン・ポストに対して「764メンバーたちはクズだ」と話したそうです。また、Fmlkは「私の行いはKushに育てられたようなものです。そうでなければ、あんなことはしなかったでしょう」とも述べています。

ハーベイ氏の母親は、ワシントン・ポストから証拠データを見せられるまでハーベイ氏の自殺がライブ配信されていたことや自殺への圧力をかけられていたことを知らなかったとのこと。母親はFmlkについて「この人も、自身の帰属先を得るために他人を傷付けていたという点で、脆弱(ぜいじゃく)だったのだと思う。彼女の精神状態が今ではより健全な状態になっていることを願う」とコメントしています。

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in ネットサービス, Posted by log1o_hf

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