TikTokやInstagramで性的画像を用いて脅迫する「セクストーション」が西アフリカの犯罪集団「Yahoo Boys」中心に行われている
20歳未満の若者に性的な画像の送信を強要する犯罪が、西アフリカで「一攫千金」を狙える手段として組織ぐるみで行われている実態が暴露されました。特に若者が集うTikTokやInstagramなどで標的が選ばれていることも明らかになり、ソーシャルメディアが若者に与える悪影響も浮き彫りになりました。
Yahoo-Boys_1.2.24.pdf
(PDFファイル)https://networkcontagion.us/wp-content/uploads/Yahoo-Boys_1.2.24.pdf
Sextortion training materials found on TikTok, Instagram, YouTube
https://www.nbcnews.com/tech/internet/sextortion-yahoo-boys-snapchat-tiktok-teen-wizz-rcna134200
調査団体Network Contagion Research Institute(NCRI)の研究によると、近年「Financial Sextortion(金融セクストーション)」と呼ばれるサイバー犯罪が北アメリカとオーストラリアで急増しており、その大部分は「Yahoo Boys」と名乗る西アフリカの組織的サイバー犯罪グループによって引き起こされているとのこと。
セクストーションとは、「性的画像をばらまく」と脅迫する犯罪です。何らかの手段で標的の性的画像を手に入れた犯罪者は、その画像をオンラインで拡散すると脅迫し、金銭の支払いを求めます。
そうした犯罪を組織的に行っているのがYahoo Boysです。この組織が行ったことが判明している手口としては、過去の裁判例によると、あるナイジェリア人の男性がFacebookとSnapchatの偽アカウントを作って魅力的な若い女性を演じ、若い男性と関係を構築して性的な画像を手に入れた後、脅迫に転じたとのこと。ナイジェリア人男性は仮想通貨またはギフトカードで金銭を要求し、被害者が支払った後もさらに脅迫を続けたそうです。
2023年に行われた調査によると、Yahoo Boysは他に収入を得る手段が乏しい西アフリカで「手っ取り早く一攫千金を狙う方法」として人気を博しており、あまりの人気の高さから、セクストーションに関するハウツーガイドまでもが拡散された事実があるとのこと。
This group also distributes sextortion instructional how-to guides and scripts on TikTok, YouTube, and Scribd, enabling and encouraging other criminals to engage in financial sextortion.
— Alex Goldenberg (@AlexWGoldenberg) January 27, 2024
They refer to their victims as "clients." This is a profitable business. pic.twitter.com/6KzIBJOEMP
確認されたところによると、TikTokとYouTubeでは「#YahooBoys」のようなハッシュタグがはびこり、セクストーションに従事している様子を映した動画や、被害者を恐喝する方法を教える動画などが投稿されていました。具体的には「標的を捕まえる方法」や「本物の女の子のように振る舞う方法などがあり、誘惑的で露骨な誘い文句のテンプレートまでもが存在したそうです。
また、AIで人間らしいプロフィールを作成するという手法も確認されました。
We also saw generative AI software being use to conduct a growing number of these crimes. The criminals can use easily accessible software to generate nude photos + create convincing catfish profiles. pic.twitter.com/DVJZV8bs2K
— Alex Goldenberg (@AlexWGoldenberg) January 27, 2024
Yahoo Boysの活動が確認されたTikTok、YouTube、Scribd、Metaなどは、犯罪行為を助長するコンテンツを禁止しているはずです。しかし、今回の調査により、Yahoo Boysやその他の犯罪者の活動を防ぎ切れていないとして各社の対応に怠慢があるという問題点が浮き彫りになり、NCRIのアレックス・ゴールデンバーグ情報部長は「積極的に活動を見つけて削除するべきだ」と非難しました。
Snapchatは2023年に「セクストーション」を報告する機能を搭載しましたが、他のソーシャルメディアは追随できていません。ゴールデンバーグ氏は「セクストーションを報告するための明確なカテゴリーを設けるべき」と指摘し、さらにSNS上のフォロワーやフォローリストが誰でも閲覧できるという状態は「被害者の知り合いが誰なのかを知られてしまい、脅迫の手段として使われる可能性がある」という観点から、各サービスはユーザーに関する情報にアクセスすることをより困難にすべきだと強調しました。
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