DiscordとTelegramを駆使して10代の若者を性的に恐喝するオンライン集団「764」の存在が暴露される

DiscordやTelegramなどで、児童ポルノ画像をやり取りしたり10代の若者を脅迫しながらサディスティックな要求をしたりなど、悪質な活動を続けるオンライングループ「764」の存在を、アメリカの日刊紙であるThe Washington Postが報じています。

On popular online platforms, predatory groups coerce children into self-harm - Washington Post
https://www.washingtonpost.com/investigations/interactive/2024/764-predator-discord-telegram/

「764」という名前は、グループを設立したメンバーの郵便番号にちなんで付けられています。764は主にDiscordとTelegramで活動しており、特に暗号化通信でやりとりするTelegramでは児童ポルノやスナッフムービーなどを積極的にやり取りしているとのこと。メンバーはチャット内で自分たちの虐待行為を自慢したり、お互いをけなしあったりしているそうです。

Discordは764に関する3万4000件のユーザーアカウントを削除し、数百件の報告書を法執行当局に提出しているとのこと。Discordによれば、アカウントを削除されたユーザーのほとんどが常習犯とみられるそうです。また、AIを使って764の活動を検出し、やり取りされているテキストや画像をスキャンするという取り組みも行っているとのこと。

Discordは「764の行為は恐ろしいものであり、Discordにも社会にも居場所はありません。Discordが764を初めて認識した2021年以来、764のサディスティックな活動を妨げることが安全チームの最優先事項の1つでした。Discordには764専門の対策チームが存在しています」と述べています。

TelegramはThe Washington Postの質問に対し、「児童虐待と暴力への呼びかけは、テレグラムの利用規約で明確に禁止されています。プラットフォームの公開部分とユーザーレポートを積極的に監視しながら、毎日何百万もの有害なコンテンツを削除しています」と答えています。しかし、Telegramの運営が必死にアカウントやグループを削除しても、すぐに新しいアカウントを開設して活動を再開してしまうため、いたちごっこになってしまっています。

764の設立者はテキサス州に住む16歳の少年です。少年は10歳の時から暴力的なイメージに魅了されており、13歳の時に「学校を銃撃する」と脅迫した疑いで少年院に送られたという過去を持っていました。少年は2021年1月に764のDiscordサーバーを作成しています。

Discordの広報担当者によれば、2020年11月から同一IPアドレスから児童への性的虐待となるような内容がアップロードされており、法執行機関が捜査したところ、少年が発信者であることが判明したそうです。そして、2021年7月に少年は児童ポルノ所持の容疑で逮捕されました。少年は記事作成時点で18歳で、すでに80年の懲役刑を受けています。

The Washington Postは、764の被害に遭った少女の事例を紹介しています。この少女は、中学校の美術の授業で作品を共有する手段の1つとしてDiscordを紹介され、Discordの利用を始めたとのこと。少女はホラーが趣味だったことから、興味本位でDiscord上でグロテスクな画像や動画を探していて、764を発見したそうです。

少女は764からの招待を受けて参加。764のチャットメンバーからの要求に従って、寝室のクローゼットから動画のライブストリーミングを行っていたとのこと。しかし、メンバーからの要求は少しずつ過激なものとなり、「もし言うことを聞かなければ、SNSのフォロワーやクラスメート、学校の校長にお前の写真を送る」「お前の弟が痛い目に遭う」と脅迫するようになりました。

さらにメンバーからの要求は「自分のハンドルネームを太ももに切り刻め」「便器の水を飲め」「ペットのハムスターを傷付けろ」などとエスカレート。最終的に「カメラの前で自殺しろ」と要求されましたが、少女の母親が異変に気付いたことで最悪の事態は免れました。警察の報告書によれば、すでに少女が通っていた中学校の校長のもとに「少女が動物を虐待した」という匿名の通報が複数回届いていたり、警察官を少女の自宅に送りこむために虚偽の通報が行われたりという事態が確認されているそうです。

同様の事例は他にも多数存在しており、すでにサーバー上で若者が自ら命を絶つ動画が共有されたり、男性が自分の頭を銃で撃ち抜く様子がライブ実況されたりしているとのこと。

FBIが764の捜査に参加したことでユーザーの追跡捜査が行われるようになり、すでに764のメンバー3人が児童ポルノ所持容疑で逮捕されています。また、DiscordとTelegramの取り締まりも強化され、764のメンバーからは「DiscordやTelegramにとどまり続けるのが難しくなった」という声も挙がっているそうですが、子どもに人気のゲーム製作プラットフォーム「Roblox」で活動が確認されたという報告もあり、予断を許さない状況です。