メモ

日本企業の反対で中国最大のDRAMメーカー「CXMT」がアメリカのブラックリストから除外されたとの報道


アメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)は2024年12月2日に、半導体開発に不可欠な24種類のチップ製造装置と3つのカテゴリーのソフトウェアについて、中国に対する輸出禁止措置を課しました。さらに、140社の中国企業をアメリカ政府の承認なしにアメリカの技術を含む製品やツールにアクセスすることを禁じる「ブラックリスト」に追加しました。しかし、このブラックリストには中国のDRAM製造大手「CXMT」などが含まれておらず、その裏には日本による圧力があったとみられています。

Chip war: US exempts some Chinese firms from curbs in concession to Japan, sources say | South China Morning Post
https://www.scmp.com/tech/tech-war/article/3289594/chip-war-us-exempts-some-chinese-firms-curbs-concession-japan-sources-say


Chinese chip firms say they can withstand new US export curbs | Reuters
https://www.reuters.com/technology/chinese-chip-firms-say-they-can-withstand-new-us-export-curbs-2024-12-03/

「中国がスーパーコンピューティングやAIを駆使した兵器開発や暗号解読を行おうとしているのではないか」という疑念から、BISは2022年10月に「半導体関連物品の輸出管理規則を強化する暫定最終規則(IFR)」を公表しています。この規則では、BISが発行している貿易上の取引制限リストである「エンティティリスト」に長江メモリなどの企業が追加されています。

「中国がAIとスパコンを駆使して兵器開発や暗号解読を行うのではないか」という疑念でアメリカは中国への半導体輸出を取り締まっている - GIGAZINE


さらに2024年12月2日にBISは、中国が次世代の先進兵器システムや軍事転用できるAIおよびスーパーコンピューティングに使用できるチップを製造できる能力を抑制することを目的とした一連の規則を発表しました。この規則では、エッチングや成膜、リソグラフィー、イオン注入などに使われる高度なチップ製造装置24種類やチップを製造するためのソフトウェアツール3種類に対する中国への輸出規制措置が実施されたほか、ナウラ・テクノロジー・グループなど、アメリカおよび同盟国の国家安全保障上のリスクになり得るとされる中国のチップ製造企業やツール会社、投資会社延べ140社をエンティティリストに加えました。

アメリカが中国のAI軍事利用を懸念して広帯域幅メモリ(HBM)の輸出規制を強化し中国企業140社をエンティティリストに追加 - GIGAZINE


しかし、公開されたエンティティリストには、CXMTを含む一部のチップ開発企業が含まれていませんでした。CXMTがエンティティリストに追加されなかったことは、関係者に対し大きな驚きを与えました。こうしたCXMTのエンティティリストからの除外には、日本の一部企業による働きかけがあったとみられています。

東京に本拠を置く東京エレクトロンは半導体製造装置の開発や製造、販売を行っており、2021年時点での国内シェアはトップ、世界でも第3位のシェアを誇るなど、世界最大級の半導体製造装置メーカーの1つとなっています。そんな東京エレクトロンはCXMTを含む中国企業に対しても半導体製造装置を販売しています。


匿名の関係者によると、BISは当初、CXMTを含む11の企業をエンティティリストに追加することを検討していたものの、東京エレクトロンなどの企業からの「エンティティリストへの追加を撤回してほしい」との要請を受け、今回のエンティティリストへのCXMTの追加は見送られたとのこと。

なお、CXMTは今回の報道に対してコメントを残していません。

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in メモ, Posted by log1r_ut

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