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SpaceXによるStarlink用人工衛星2万2500基の衛星軌道投入に対しイーロン・マスクとロシアの関係を懸念するウクライナ系団体が反対を表明


イーロン・マスク氏率いる航空宇宙企業のSpaceXは、衛星インターネット「Starlink」のさらなるサービス拡大に向けて、アメリカ連邦通信委員会(FCC)に対し約3万基の人工衛星の打ち上げを申請し、そのうち(PDFファイル)7500基の打ち上げが承認されています。さらに、2024年11月の時点では承認が見送られた2万2488基の人工衛星について、ウクライナ系アメリカ人団体のアメリカ・ウクライナ議会委員会(UCCA)がマスク氏とロシア政府との関係についての懸念から打ち上げを承認しないようFCCに要請しました。

SpaceX faces opposition to Starlink expansion from Ukrainian group
https://www.cnbc.com/2024/12/05/spacex-faces-opposition-to-starlink-expansion-from-ukrainian-group.html


2022年2月にロシアがウクライナに対する侵攻を開始し、ウクライナ国内の通信インフラストラクチャが使用不可になる懸念が高まった際に、SpaceXは即座にウクライナ国内でのStarlinkのサービスを開始したほか、接続用キットをウクライナに対し送付しています。

イーロン・マスクの指示で衛星インターネット「Starlink」がウクライナであっという間に利用可能に - GIGAZINE

by Tim Reckmann

その後、ウクライナ軍はロシア軍への攻撃にStarlinkを活用するなど、民間だけでなく軍事目的でもStarlinkを利用していました。しかし、SpaceXは「Starlinkの提供は人道的な用途で使われることを目的としており、攻撃のために使用させることは意図していなかった」と主張し、2023年2月にウクライナ軍によるStarlinkの利用を一部制限しました。このほか、2023年9月にウクライナ軍によるロシア海軍への攻撃を防ぐためにクリミア半島上空でStarlinkを利用できないようにする措置を執ったと報道された際には、SpaceXはウクライナ政府の高官から厳しく批判されています。


さらにSpaceXは「ロシアにStarlink端末を販売することはない」と主張していたにもかかわらず、Starlinkがロシア軍によるウクライナ侵攻の前線で使用されていることが報じられたほか、マスク氏がロシアのウラジミール・プーチン大統領と2022年から連絡を取り合っていることが伝えられるなど、マスク氏とロシア政府の関連を懸念する声は次第に強まっています。

イーロン・マスクはプーチン大統領と2022年以来連絡を取っており中国のために台湾でStarlinkのサービスを提供しないよう要請されている - GIGAZINE


こうした懸念を受け、UCCAのマイケル・ソーキウ・ジュニア会長は「Starlinkがロシアという外国の敵を助けるために使用されたかどうかを判断する必要があります。もしもその事実が認められれば、これはウクライナ系アメリカ人だけでなく、国家安全保障にとっても脅威となります」と指摘し、FCCに対してSpaceXによる人工衛星の打ち上げを承認しないよう求めました。

さらにUCCAはSpaceXによるロケットの打ち上げが環境に与える影響についても指摘しており、UCCAの主任規制顧問であるアーサー・ベレンディウク氏は「テキサス州ボカチカにあるSpaceXの打ち上げ施設は、絶滅危惧種法の下で保護されている野生生物を含む、多くの種にとって生物学的に多様で不可欠な生息地で、この地域でのロケット発射は、隣接する環境保護地域で火災が発生したり、がれきが降り注いだりといったリスクを生み出します」と批判しました。

また、2024年7月のロケット打ち上げによって絶滅危惧種の鳥類の巣9つが破壊されたことが報じられた際にマスク氏は「この凶悪な犯罪を償うために、私は一週間オムレツを食べるのを控えます」とのコメントを出しています。これに対しベレンディウク氏は「地元の環境団体による正当な懸念に対して皮肉と嘲笑で答えています」とマスク氏を非難しています。


マスク氏はドナルド・トランプ次期政権で「政府効率化省(DOGE)」のトップに起用されることが明らかになっており、UCCAは「マスク氏が保有する企業は、政府との契約を受けて利益を得ているだけでなく、FCCを含む政府が取った行動の結果でも利益を得ています。マスク氏をDOGEのトップに起用することは、肉食のキツネに鶏小屋を守らせるようなものです」と批判しました。

なお、UCCAの要請に関してマスク氏やSpaceXのグローバルビジネス・政府業務担当シニアバイスプレジデントのティム・ヒューズ氏はコメントに応じませんでした。

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in ネットサービス, Posted by log1r_ut

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