メモ

デスクワーカーと立ち仕事をする人の格差が垣間見える「sitters and standers」


アメリカで「座る権利」が法制化されたり、日本でも店員が座って接客することを巡って議論が交わされたりと、徐々に座って仕事をする働き方が浸透しつつありますが、現代社会を支える労働の多くが立ち仕事なことに変わりはありません。そんな座って働く人と立って働く人の違いをインタラクティブに視覚化したサイト「sitters and standers」が公開されています。

Sitters and Standers
https://pudding.cool/2024/11/sitters-standers/


上記のURLにアクセスしてさっそく「Start」をクリックしてみます。


1日の中でどのくらい立って仕事をするか尋ねられるので、任意の割合を選んで「Next」をクリック。


上から順に仕事中に「しゃがむ」「はしごなどに上る」「屋外にいる」「湿気や液体にさらされる」「極度の暑さにさらされる」「危険な汚染物質にさらされる」との選択肢が表示されるので、該当するものを選ぶか、該当しない場合は何も選ばずに「Next」をクリックします。


上から順に仕事が「一時停止できる」「リモートワークできる」「毎日問題を解決する」「座るか立つか選べる」「学士号が必要」かが尋ねられるので、該当するものがあったら選択して「Next」をクリック。


給料の金額を尋ねられたので、今回は「回答したくない」を選びました。なお、このサイトはユーザーの情報を保存しないとのこと。どれかを選んで「Next」をクリックします。


ここからがsitters and standersのメインコンテンツで、アメリカの労働者が四角形で表されます。例えばこの四角形は洗濯業務の労働者だとのこと。以降、特筆しない限りページ送りの際は右下の「Next」をクリックします。


画面の左側が座って仕事をする「シッター(sitters)」、右側が立って仕事をする「スタンダー(standers)」で、洗濯業務は立ち仕事のスタンダーに位置します。


左側のシッターにはソフトウェア開発者などが入ります。


先ほどの設問で答えた自分の仕事の位置が「YOU」でプロットされました。


さらに、さまざまな仕事がプロットされました。マウスホイールやピンチイン・ピンチアウト操作で拡大・縮小ができます。


過去数十年の間に、農業や工場労働の多くがデスクワークに置き換えられるなど、アメリカの仕事は肉体的にきつくないものへと少しずつ変化していきました。しかし、依然としてきつい肉体労働に従事している人がたくさんいます。その実態を知るため、「sitters and standers」はアメリカの職業調査を分析しました。


まずシッターから見ていきます。この図では、立つか座るか選べる度合いが上下の軸で表されており、シッターの多くはそれを自由に選択できる傾向があることが示されています。なお、紫の点とそれを結ぶ線は、シッターとスタンダーの平均です。


学士号の必要性の多寡を上下にプロットすると、シッターの方が学歴を要求される傾向が見て取れます。


収入も同様の傾向を示しています。


一方で、シッターは日々問題を解決しなければならないこともわかりました。


また、シッターは自由に仕事を一時停止できます。つまり、高い自律性がありました。


リモートワークを選べるのもシッターの傾向です。


ここからはスタンダーを見ていきます。シッターとは逆に、スタンダーは問題をあまり解決しなくてもいいか、まったく解決しなくてもいいと答える傾向がありました。


看護師から電気技師まで、スタンダーはしゃがむことがよくあると答えました。


スタンダーははしごやロープなどをよく上ると回答しました。これには消防士や清掃員が含まれます。


また、スタンダーは水、下水、体液など、よく液体にさらされていました。


同様にストーブや火などの熱源にさらされる傾向もありました。


スタンダーはよく屋外にも出ていました。地球温暖化が進むにつれて、外に出ることは危険が伴うようになってきています。


スタンダーは、危険物に接する傾向もありました。


こうした仕事はしばしば自律性がなく、いつ休憩するかをあまり選べません。


受傷率を見ると、スタンダーほどケガすることが多く、体に負担がかかることがわかります。


それにもかかわらず、スタンダーはシッターより収入が少なめです。


アメリカの労働の歴史は、恵まれない人が、しばしば強制的に、好ましくない仕事をしてきた歴史です。例えば、アメリカは奴隷にされた黒人が収穫した綿花で富を築き、中国からの移民に大陸横断鉄道を建設させ、黒人やヒスパニック系の食肉解体者が殺し、加工した動物の肉を食べてきました。


黒人の割合をみると、黒人はスタンダーになりがちだということがわかります。


アジア人労働者は、ソフトウェア開発者やネイリストなど、シッターに分類される仕事によく就いています。


ヒスパニック系の人は、調理師やハウスキーパー、建設業者など、スタンダーになる可能性がとても高いとのこと。


一方、シッターの大半は白人で占められています。


アメリカの歴史の大半で、人々は体が動かなくなるまで働いていました。このグラフは、就労中の65歳以上の男性の割合を表しています。


フランクリン・ルーズベルトは1935年に社会保障法に署名し、65歳以上の人は毎月小切手をもらえるようにしました。これにより働く高齢者は減りましたが、この法律は農業従事者と家事労働者を対象外としていました。つまり、実質的に非白人の労働者が対象外になってしまいました。


sitters and standersは「私たちはよく肉体労働を崇拝してきました。例えば、パンデミック時にはエッセンシャルワーカーが称賛され、大統領選挙になると候補者はよく建設業者や農家と記念撮影をし、『10代の頃はレジ係をしていました』と語ります。しかし、私たちはよく食品配達アプリや宅配アプリなどを使ってそうした労働者を遠ざけます。そのメッセージは明白で、都合がいいときだけ褒めそやすのです」と訴えました。

これらの内容を映像にまとめた動画もあります。

Who Sits and Who Stands at Work? A Data Viz Story - YouTube

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in メモ,   動画, Posted by log1l_ks

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