座る・立つ・寝るに対応したワーキングチェア「Altwork Station」の開発者が語る複雑な設計とは？

座る・立つに加えて寝そべった状態での作業を可能にするワーキングチェア「Altwork Station」は、2015年に登場して以降多くの注目を集めており、Altwork Stationを参考に寝っ転がったまま作業できる「レイダウンデスク」を自作した人物が現れるほど話題となりました。そんな「Altwork Station」を開発した「altwok」がその設計の複雑さを解説しています。

The Complexity of Building a Lie-Down Workstation | Altwork
https://altwork.com/blogs/news/the-complexity-of-building-a-lie-down-workstation

altwokは「Altwork Station」の数々の機能の中から、ヘッドレストの設計について解説しています。「Altwork Station」のヘッドレストは、背もたれのリクライニングに合わせて自動で位置を調整し、常に適切な位置で頭を支えることができます。立った姿勢から寝そべった状態まで多様な姿勢に対応する「Altwork Station」ではヘッドレストの位置調節機能はとても重要で、5段階のプロトタイプを経て改善を積み重ねながら開発したとのこと。

「プロトタイプ1」はほとんど機能しなかったため、altwokは「プロトタイプ2」から解説しています。「プロトタイプ2」は「Altwork Station」全体の機能を確認するために作られたもので、この時点では最終的な各機能の設計は詰められていませんでした。プロトタイプ2の時点では、「Altwork Station」のリクライニング方式は病院用ベッドと同様の方式が採用されていましたが、プロトタイプ2を開発する中で、背もたれが直立した状態から完全にリクライニングした状態まで常に頭部を支えるためには、ヘッドレストを想像以上に前方へ動かす必要があることが判明しました。

「プロトタイプ3」では、実験要素の強かった「プロトタイプ2」と異なり、ヘッドレストを含む「Altwork Station」のあらゆる機能を想定通りに機能させることが求められました。しかし、「プロトタイプ3」の開発段階ではヘッドレスト設計に重要な「人間の頭の動き」についての理解が浅く、さまざまな問題点に場当たり的に対処した結果、ヘッドレスト後方に長い2本の棒が伸びた不格好なデザインになってしまいました。

「プロトタイプ4」では、機能面だけでなく「美しいデザイン」も求められました。試行錯誤の結果、ヘッドレスト後方に突き出た不格好な棒状の部品を横に広がる形状に変更することに成功。さらに多くの人に「Altwork Station」試用させた結果、頭蓋骨の上部がサポートされた状態を好む人と、下部がサポートされた状態を好むひとがいると分かったため、その両方に対応するためにヘッドレストにS字カーブを追加しました。。

さらに「プロトタイプ3」までは「頭蓋骨は首を支点に動く」という考えのもとでヘッドレストを設計していましたが、「プロトタイプ4」を開発する中で、「頭蓋骨は頸椎の一点を支点に動く」ということを発見。その結果、ヘッドレストの位置調節機構を小型化することに成功しました。

「プロトタイプ5」では、製品版の完成に向けてデザインを突き詰める事に注力しました。以下の画像が、「プロトタイプ5」の最終バージョンです。ヘッドレストに着目すると、ゴテゴテとした部品は見当たらず、スッキリとしたデザインになっていることが確認できます。

ヘッドレスト以外の機能も、同様にして多くの工夫を重ねながらAltwork Stationは開発されました。なお、Altwork Stationは公式サイトから購入可能。記事作成時点では、7650ドル(約80万円)で販売されています。