「武器よさらば」や「A列車でいこう」など2025年1月1日にパブリックドメインになる著作物とは?
毎年1月1日、著作権の保護期間が切れたコンテンツがパブリックドメインとなり、自由に使用・複製・共有することが可能になります。2025年にパブリックドメインになるコンテンツを、パブリックドメインになった作品を紹介するオンラインジャーナルのThe Public Domain Reviewがまとめています。
What Will Enter the Public Domain in 2025? — The Public Domain Review
https://publicdomainreview.org/features/entering-the-public-domain/2025/
日本やイギリス、ロシアなどでは、著作物の保護期間が「著作者の死後70年」と定められているほか、ニュージーランドやアフリカ、アジアの多くの国では「著作者の死後50年」と定められています。つまり、2025年1月1日を迎えた時点で1954年に死去した人の作品や1974年に死去した人の作品がパブリックドメインになるというわけです。また、アメリカでは1929年に出版された映画や書籍、アート作品がパブリックドメインとして取り扱われることになります。
2025年1月1日にパブリックドメインになる作品が以下。
◆自分ひとりの部屋
1929年に小説家のヴァージニア・ウルフが出版した「A Room of One's Own(自分ひとりの部屋)」は、16世紀~17世紀にかけての劇作家、ウィリアム・シェイクスピアの妹を題材とした小説で、「女性が自由に創造するためには、一定の収入と自分の部屋を持たなければならない」というメッセージを訴えかけています。
◆もうひとりの自分
イギリスの小説家であるグレアム・グリーンが21歳の時に著わした「The Man Within(もうひとりの自分)」は、グリーンにとっての処女作で、裏切者から逃亡する青年アンドリュースと、彼をかくまう女性エリザベスとの物語です。
◆アンリ・マティスの芸術作品
フランスの画家であるアンリ・マティスは、緑あふれる世界を描き「色彩の魔術師」とも呼ばれています。1954年11月に84歳で死去するまで、マティスは「赤のハーモニー」や「舟」など、多彩な作品を生み出しました。
by Gandalf's Gallery
◆武器よさらば
アメリカの作家アーネスト・ヘミングウェイが1929年に出版した「A Farewell to Arms(武器よさらば)」は、第一次世界大戦中の戦役中のアメリカ人駐在員とイギリス人看護師の恋愛を描いたもので、この本の出版により、ヘミングウェイは現代アメリカ作家としての確固たる地位を確立しました。
◆響きと怒り
アメリカの小説家ウィリアム・フォークナーが1929年に出版した「The Sound and the Fury(響きと怒り)」は、アメリカ南部の特権階級だったコンプソン家の没落について記された4部構成の小説です。「響きと怒り」は多くの批評家から絶賛され、1949年にフォークナーがノーベル文学賞を受賞する要因となりました。
◆マラコット深海
イギリスの作家アーサー・コナン・ドイルの小説「The Maracot Deep(マラコット深海)」が2025年1月1日にパブリックドメインとなります。大西洋の深海調査に出発し、その後消息を絶ったと思われていたストラッドフォード号とその乗組員が、かつて海中に没したアトランティスを発見するという短編小説です。
◆アン・セクストンの作品
アメリカの詩人であるアン・セクストンは、長年にわたり重度の双極性障害に苦しめられており、1974年10月に自らの命を絶っています。セクストンは当時の詩では受け入れられなかった薬物中毒や姦淫について大胆に記し、親密で感情的な詩を多数書き上げました。45歳で没するまで、セクストンは延べ11の詩集を出版しています。
◆デューク・エリントンの作品
アメリカの作曲家・編曲家のデューク・エリントンはジャズ愛好家から「スウィング・ジャズの帝王」と称された人物で、合計9度のグラミー賞を獲得しています。代表作には「スイングしなけりゃ意味ないね」や「A列車で行こう」などがあります。
Duke Ellington and his Orchestra - Take The A Train (1962) [Official Video] - YouTube
◆ガンジー自叙伝 真理の実験
「非暴力・不服従」を提唱し、「インド独立の父」として知られるマハトマ・ガンディーが1929年に出版した「The Story of My Experiments with Truth(ガンジー自叙伝 真理の実験)」は、ガンディー自身が幼少期から52歳までの生涯を振り返った自伝で、ロンドンへの研修旅行と南アフリカへの旅行、自身の肌の色による偏見の経験などを語っています。
◆フリーダ・カーロの作品
メキシコの画家であるフリーダ・カーロは、シュルレアリスムと象徴主義を組み合わせた画風が特徴で、「ビロードの服の自画像」や「モーゼ、あるいは、創造の核」など、生涯にわたって200点以上の作品を残しています。
by Rob Corder
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