全世界で2200万人以上の視聴者を抱え月間400億円を稼いでいた海賊版ストリーミングサービスが国際的な作戦で解体される
イタリアの郵便及び通信警察は2024年11月27日、欧州刑事警察機構(ユーロポール)や欧州司法機構(ユーロジャスト)が関与した国際的な法執行機関の作戦により、世界中で2200万人以上のユーザーにサービスを提供してきた海賊版ストリーミングサービスが解体されたことを発表しました。
Polizia Postale: COMUNICATO STAMPA: OPERAZIONE "TAKEN DOWN"
https://www.commissariatodips.it/notizie/articolo/comunicato-stampa-operazione-taken-down/index.html
Police bust pirate streaming service making €250 million per month
https://www.bleepingcomputer.com/news/technology/police-bust-pirate-streaming-service-making-250-million-per-month/
€3bn Pirate IPTV Network Serving 22m Users "Dismantled" in Massive Operation * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/e3bn-pirate-iptv-network-serving-22m-users-dismantled-in-massive-operation-241127/
イタリアのカターニア検察庁が指揮する捜査チームは過去2年以上にわたり、ある巨大な海賊版ストリーミングサービスを捜査してきました。捜査ではさまざまなSNSプラットフォームの監視や違法ストリーミングに使用されるサーバーの特定、上級管理者やさまざまなチャネルのコントロールパネルの追跡などが行われたとのこと。
当該サービスでは、DAZN・Amazon Prime Video・Netflix・Disney+・Paramount+・Skyといったサービスで配信されている、著作権で保護された番組やライブ放送、オンデマンドコンテンツなどが違法にストリーミングされていました。ユーザー数は世界中で2200万人以上で、収益は月に2億5000万ユーロ(約400億円)に上ります。この海賊版サービスの存在により正規プラットフォームが被った金銭的損害は、年間100億ユーロ(約1兆6000億円)に達すると推定されています。
当該サービスを運営する多国籍組織は、複数の国に分散したコンピューターネットワークを持ち、トップダウンの組織モデルによって構造化されていました。電話の登録やクレジットカードの取得、サーバーのレンタルなどには偽のIDや偽造書類が用いられていましたが、捜査官はフォーラムの監視やサービスの宣伝に使用されたさまざまなプロファイルから、容疑者を特定することに成功したそうです。
2年間の捜査結果を受けて、国際的な法執行機関チームはターゲットの一斉捜索と押収を執行しました。「TAKEN DOWN」と名付けられた今回の作戦では、イタリアの15地域で89件もの捜索が行われたほか、イギリス・オランダ・スウェーデン・スイス・ルーマニア・クロアチア・中国で102人の個人を含む14件の捜索が実施されました。
作戦によって少なくとも11人の容疑者が拘束されたほか、2500以上の違法なチャネルとサーバーが押収されました。また、165万ユーロ(約2億6400万円)相当の仮想通貨と現金4万ユーロ(約640万円)も押収されたと報告されています。
最初に苦情を申し立てて捜査のきっかけとなったSky Italiaのアンドレア・ドゥイリオCEOは、「カターニア検察庁・郵便及び通信警察・ユーロポール・Audiovisual Anti-Piracy Alliance(AAPA:視聴覚著作権侵害防止同盟)に感謝します。この並外れた作戦に協力できたことを誇りに思います」と述べました。
・関連記事
1年で月間数百万PVまで急速に成長した海賊版ストリーミングサイトが規制当局の圧力を受け閉鎖を発表 - GIGAZINE
Netflix、Hulu、Amazonプライム・ビデオの合計よりも多くのコンテンツを違法配信した海賊版ストリーミングサイト「Jetflicks」の運営者5人に有罪判決 - GIGAZINE
200万人にNetflixなど複数の有料ストリーミングサービスへ安く接続できる手段を提供していたグループが検挙される - GIGAZINE
集英社が8つの海賊版サイトを告発するためGoogle・PayPal・VISAに情報開示請求 - GIGAZINE
「サブスク料金が高すぎる」という状況が著作権侵害の海賊行為に及ぶ主な理由となっている - GIGAZINE
映像コンテンツのサブスクを宣伝するのに「海賊版は犯罪だから正規で見よう」とキャンペーンするのは逆効果だという研究結果 - GIGAZINE
・関連コンテンツ