インターネットは50歳以上の人々のメンタルヘルスに好影響をもたらす可能性
インターネットの使用はメンタルヘルスの悪化につながるという主張は以前から存在し、インターネットやスマートフォンから離れる「デジタル・デトックス」にも注目が集まっています。ところが、学術誌のNature Human Behaviourに掲載された新たな研究では、50歳以上の人の場合、インターネットの使用がメンタルヘルスの向上につながっている可能性があるとわかりました。
Positive association between Internet use and mental health among adults aged ≥50 years in 23 countries | Nature Human Behaviour
https://www.nature.com/articles/s41562-024-02048-7
Internet use in adults over age 50 linked to better mental health
https://phys.org/news/2024-11-internet-adults-age-linked-mental.html
Mental health and the internet: Who benefits and who suffers? - Earth.com
https://www.earth.com/news/mental-health-and-the-internet-who-benefits-and-who-suffers/
近年は若者のメンタルヘルスが悪化していることが広く指摘されていますが、中高年層のメンタルヘルスも同様に公衆衛生上の懸念事項です。2019年の調査では、55歳以上の人々の約14%がうつ病などの精神障害を経験していると報告されています。
中高年のメンタルヘルスの社会的側面を理解するため、香港大学と香港城市大学の研究チームは、中~高所得国家23カ国で収集された6件の中高年コホートデータを調査しました。データには合計8万7559人の被験者が含まれており、中央値で6年間にわたり追跡されていました。
研究チームはこのデータを用いて、中高年を「非ユーザー」「散発的なユーザー(インターネットの使用が週に1回未満)」「毎週使うユーザー」「毎日使うユーザー」の4グループに分類。これらのグループごとにメンタルヘルスの関連を分析しました。
分析の結果、50歳以上の中高年では、インターネットの使用がさまざまなメンタルヘルスの問題の改善と関連していることが判明しました。
インターネットの使用について「毎週使うユーザー」「毎日使うユーザー」に分類された被験者は、インターネットの使用頻度が低い被験者と比較して抑うつ症状が少なく、生活満足度が高く、自己申告による健康状態が良好だったと報告されています。
研究チームは、50歳以上の中高年にとってインターネットは社会的交流を促進し、孤独と戦うのに役立つツールだと考えています。また、健康関連の情報にアクセスしたり、娯楽を見つけたりする上でもインターネットは有用で、これらの要素がメンタルヘルスにプラスの影響を及ぼすとのことです。
なお、過去の研究では「インターネットを使う高齢者は認知症のリスクが低い」という結果も報告されています。
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