インターネット依存症の予測因子は「孤独感」「親の育て方」「性別」だと判明
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インターネットの利用は有益で、楽しく時間を過ごすことができる手段の1つですが、インターネットの利用に依存してしまうと実生活に害を及ぼすといわれています。10代の若者におけるインターネット依存と密接に関連する潜在的な害についての研究が、コンコルディア大学心理学科の研究チームによって発表されました。
Longitudinal Trajectories, Social and Individual Antecedents, and Outcomes of Problematic Internet Use Among Late Adolescents - Tóth‐Király - - Child Development - Wiley Online Library
https://srcd.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/cdev.13525
Problematic internet use and teen depression are closely linked -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2021/03/210309153855.htm
インターネットは生活に必要なツールである一方で、「問題のあるインターネット利用(Problematic Internet Use、PIU)」が問題視されています。
PIUはインターネット中毒、あるいはインターネット依存症とも呼ばれるもので、「インターネットの利用時間を制御できない」「オフラインの社会関係よりもオンラインの活動を優先しがち」「インターネットが使えない状況で何らかの禁断症状を示す」などの特徴があるとされ、近年研究が行われています。
コンコルディア大学の心理学者であるIstván Tóth-Király氏が率いる研究チームは、フィンランドのヘルシンキに住む高校生1750人を対象にインターネット利用の実態を、3年間にわたって調査しました。
調査結果から、研究チームは若者がPIUに走る予測因子として「孤独感」「親の育て方」「性別」の3つを挙げました
「孤独感」とは満足した人間関係の欠如のこと。社会的コミュニケーションが不足した若者がPIUに走る可能性が高いということはこれまでの研究でも指摘されていました。人間関係を十分に築くことができない若者ほど、PIUに走る傾向が強いと研究チームは報告しています。
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「親の育て方」について研究チームは、親が子どもと満足にコミュニケーションを取って愛情や親密さを十分表現せず、子どもに関心を持たないネグレクトに近い状態にあると、子どもはPIUに走る傾向にあると指摘しています。また母親と関係が良好な若者であるほどPIUが減少したとのこと。
「性別」については、研究チームは男性の方が女性よりもPIUに走る傾向が強いとみました。これは、女性は社交の目的でインターネットを利用する傾向にあるのに対して、男性はゲームやムービー、ポルノコンテンツの視聴を目的として衝動的にインターネットを使う傾向があるからだと研究チームは推測しています。
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また研究チームは、PIUと密接に関連する症状として「抑うつ症状」「成績の低下」「薬物乱用」がみられたと指摘しています。PIUの悪影響についてはこれまでにも研究されており、PIUが抑うつ症状や学業成績の低下を招くことは指摘されていました。
ただし、研究チームは調査結果を分析した上で、「PIUによって抑うつ症状や学業成績の低下が引き起こされる」のではなく「PIUと抑うつ症状や成績の低下はほぼ同時に発生する」とみています。ここから、「PIU」と「抑うつ症状や成績の低下」は一方的な関係ではなく、相互に働きかけ強め合う双方向の関係であると研究チームは論じました。
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Tóth-Király氏は、「一部の10代の若者は思春期半ばにインターネットを長時間使うようになります。しかし、オンラインで過ごす時間は、若者が成熟して自己を形成し、他者との関係を形成するにつれて減少する傾向にあります。たとえ親から見てインターネットを長時間使っているからといって、実際にメンタルヘルスや学業成績に悪影響がなければ、問題のある行動とは言えません」と解説しました。
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in サイエンス, Posted by log1i_yk
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