激しい運動をすると食欲が抑えられる可能性がある
ダイエットのために運動した方がいいと思いつつ、「運動したら逆に食欲が増して太ってしまうのでは」と不安な人もいるかもしれません。新たな研究では、激しい運動をすることで食欲が抑えられる可能性があると判明しましたが、その効果には男女差があるかもしれないことも指摘されています。
Impact of Exercise Intensity and Sex on Endogenous Ghrelin Levels and Appetite in Healthy Humans | Journal of the Endocrine Society | Oxford Academic
https://academic.oup.com/jes/article/8/11/bvae165/7828055
Study finds intense exercise may suppress appetite in healthy humans | Endocrine Society
https://www.endocrine.org/news-and-advocacy/news-room/2024/study-finds-intense-exercise-may-suppress-appetite-in-healthy-humans
Vigorous Workouts May Be The Key to Suppressing Appetite, Study Says : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/vigorous-workouts-may-be-the-key-to-suppressing-appetite-study-says
胃から産生されるグレリンというホルモンは食欲の調節に関係しており、視床下部に働きかけて空腹感を生みます。グレリンは絶食によって血中濃度が上昇し、食事をすると血中濃度が下がることがわかっていますが、運動の強度とグレリンとの関係については詳しくわかっていませんでした。
そこで研究チームは男性8人と女性6人の計14人の被験者を募集し、一晩断食した後にさまざまな強度の運動を行わせる実験を行いました。運動強度は血中の乳酸濃度によって測定され、研究チームは被験者から血液サンプルを採取して分析したほか、食欲に関するアンケートも行いました。
実験の結果、女性は男性と比較してベースラインでのグレリン濃度が高く、激しい運動後は特に女性がグレリン濃度の低下を示すことがわかりました。論文の筆頭著者でバージニア大学の内分泌学者であるカラ・アンダーソン氏は、「高強度の運動は、中程度の強度の運動よりもグレリンレベルを抑制することがわかりました」と述べています。
以下のグラフは、血中グレリン濃度を運動しなかった被験者(左)、中程度の運動をした被験者(中)、強度の運動をした被験者(右)で示したもの。実線が女性で、点線が男性を表しています。中程度の運動をした被験者は運動しなかった被験者より血中グレリン濃度がやや高くなりましたが、強度の運動をした被験者は大幅にグレリン濃度が下がっています。強度の運動によるグレリン濃度の低下は、特に女性の被験者において顕著でした。
研究チームは論文で、「私たちの実験プロトコルでは、血中の乳酸を使用して運動の強度を決定しました。そのため、これらの発見はグレリンを抑制するために、乳酸が閾値(いきち)を超える運動が必要になる可能性を示唆しています」と指摘しています。
アンダーソン氏は、「運動は薬物と同じように考えるべきで、個人の目標に応じて行う量をカスタマイズするべきです。私たちの研究は、高強度の運動が食欲の抑制に重要な可能性を示唆しており、これは減量プログラムの一環として特に有用です」と述べました。
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