メモ

Google社内には「裁判の証拠となる文書を保存しない文化」が存在し「社内チャットの履歴削除」「FAXでの連絡」「危ない単語の使用禁止レクチャー」などが実施されている


アメリカには「訴訟ホールド」と呼ばれる仕組みが存在しており、訴訟の対象者は関係する文書を保存する必要があります。しかし、Google社内では裁判の証拠となる文書の作成や保存を防ぐ仕組みが構築されており、複数の訴訟で「Googleが証拠を隠ぺいした」と非難されています。

How Google Spent 15 Years Concealing Its Internal Conversations - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/11/20/technology/google-antitrust-employee-messages.html

Googleの社内チャットには「履歴を24時間で削除する機能」が搭載されており、この機能が証拠隠滅に当たるとしてたびたび問題となっています。例えば、アメリカ司法省がGoogleを独占禁止法違反で訴えた裁判では、司法省が提訴の約1年前からGoogleに対して履歴削除機能の停止を求めていたにもかかわらず、Googleは削除を続けていたそうです。司法省はGoogleがチャット履歴を削除して証拠隠滅を図ったとして、裁判官に制裁を求めています。

Googleが独占禁止法違反訴訟関連の証拠を隠滅したと司法省が発表 - GIGAZINE


また、Epic GamesがGoogleを訴えていた裁判でもGoogleがチャット履歴を削除していたことが指摘されています。訴訟を担当したカリフォルニア州北部地区・連邦地方裁判所のジェームズ・ドナート判事は「Googleは意図的に証拠開示プロセスを破壊した。Googleの従業員同士のチャットが訴訟で使用されることを防ぐために削除されたことを示す証拠もある」と述べ、Googleに対して制裁を下すことが正当だと結論付けました。

GoogleがEpic Gamesとの訴訟で「証拠を隠滅」「複数回の虚偽報告」をしていたとして裁判所から制裁を課される - GIGAZINE


ニューヨーク・タイムズはGoogleによる証拠隠滅を「企業版こんまり片づけ術(the Marie Kondo of corporations)」と呼びつつ、Googleの証拠隠滅体質にはMicrosoftの独占禁止法訴訟が強く影響していると述べています。1998年に司法省がMicrosoftを独占禁止法違反で訴えた裁判ではMicrosoftの幹部が送信した「We need to continue our jihad next year(来年も聖戦を続ける必要がある)」「We want you to knife the baby(赤ちゃんをナイフで刺してほしい)」といったフレーズを含むメールが証拠として効力を発揮しました。この件がGoogleに文書や曖昧なコメントを警戒する理由を与えたとニューヨーク・タイムズは指摘しています。

Googleは創業当時はメールやチャットに寛容であり、設立から10年後の時点では一般的な企業の13倍ものメールが飛び交っていたいたとのこと。しかし、Googleが訴訟の対象になることが増えるにつれて「証拠を残さない文化」が広がりました。2011年に書かれた「検索チームのための独占禁止法の基礎」というタイトルのメモには「戦争やスポーツ、勝ち負けに関する比喩を避ける」「市場や市場シェア、支配力といった単語の使用を避ける」といった対策事例が記載されていたとのこと。


また、新入社員向けの教材には「『製品を新たな顧客に渡す』という表現すら『消費者の選択する権利を否定している』と受け取れる可能性がある。このため、使用は避けるべきである」などと記されていました。さらに、独占禁止法に関連するワードの使用を控えるように求める社内文書「Five Rules」が存在していたことも判明しています。

Google社内では「言論統制」によって独占禁止法について考えることすら難しくなっているという指摘 - GIGAZINE


「履歴を24時間で削除する機能」に不満を持つ社員もいましたが、上司によって提案を拒否されることもありました。例えば、2021年にはGoogleのトラスト担当ヴァイスプレジデントであるダニエル・ロマン氏がグループチャットの履歴削除機能無効化を求めた社員に対して「この会話のきっかけとなった議論は法的な問題まで発展する可能性があるため、慎重な対応が必要です。私は履歴削除機能を維持したいと考えます」と返信した記録が残っています。

また、メールやチャットなどの履歴の残る通信手段を避ける動きもありました。例えば、当時YouTubeの幹部だったロバート・キンクル氏はスーザン・ウォジスキ氏に対してファクシミリでの情報共有を持ちかけていたそうです。

なお、ニューヨーク・タイムズによるとGoogleは2023年に「履歴を24時間で削除する機能」を標準で無効化したそうですが、チャット履歴の開示を嫌った社員たちがWhatsApp上にチャットグループを秘密裏に結成しているとのことです。

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in メモ, Posted by log1o_hf

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