取材

「四国グリーン紀行」で特急列車をフル活用してJR四国全路線に乗車する旅行をしてみた・1日目


JR四国には、JR四国全線と土佐くろしお鉄道全線の特急列車(グリーン車)および普通列車が連続4日間、自由に乗り降り自由な「四国グリーン紀行」という切符があります。価格は大人2万3000円で、1日あたりに換算すると5750円。高松と高知を結ぶ特急「しまんと」を指定席利用すると6120円と考えると、どれだけおトクなのかがわかります。

2024年8月に南海電鉄全路線を1日フリー乗車券で巡ることができたので、「4日間も使えるなら『四国グリーン紀行』1枚でJR四国の全路線全区間を乗り尽くすことが可能なのでは?」と、実際にやってみることにしました。

四国グリーン紀行 |四国旅行 JR四国ツアー(駅コミ)
https://www.jr-eki.com/ticket/brand/2-3UW


「四国グリーン紀行」はJR四国の切符販売サイト・JR四国ツアーやJR四国ツアーの各地の支店、駅窓口、指定席販売機で購入可能。座席指定券は、列車乗車前までに購入しておく必要があります。今回は申込時に可能な限り手配してもらう形を取ったため、最初から手元にこのあと乗車予定の切符がありますが、通算6回まで駅の販売機で座席指定を受けることができます。7回目以降は販売機ではなく窓口利用の必要があります。


1日目、旅は高松駅からスタートします。天気は小雨、日の出前です。


4時台の高松駅。駅としての始発列車は4時35分発の岡山行きです。


今回は予讃線の始発、5時17分の特急いしづち101号松山行きに乗車します。


JR四国といえば、アンパンマンのラッピングを行った「アンパンマン列車」。いしづち101号には8000系のアンパンマン列車が充当されています。


側面には巨大なアンパンマンらが描かれています。


アンパンマン列車がどの列車なのかは運行ダイヤが公開されているので、狙って乗車することが可能です。今回は時間の都合で選んでいます。

アンパンマン列車 - JR四国
https://www.jr-eki.com/aptrain/index.html

5時17分に高松駅を出発した特急は、まだ薄暗い中を進んでいくため、車窓からは車のライトなどしか見えません。5時30分に坂出に到着した時点でもまだ暗かったのですが、このあと、駅を出てから明るくなり始めました。


進行方向右手、遠くオレンジ色が連なっているのは瀬戸大橋。


右手に瀬戸内海を見ながら進んでいきます。この日はあいにくと雲が厚め。


進行方向左手側の山の方はこんな感じで、かなり雨が降っているとわかる空模様です。


そしてついに窓にも雨粒がつくように。


いしづち101号は7時57分に松山駅に到着しました。松山駅は2024年9月29日に高架化した新駅舎が開業していて、この駅舎は先代の末期の姿となります。


今回の旅は「JR四国の全路線全区間に乗る」ことを目的としているので、松山より先で予讃線が海側の「愛ある伊予灘線」周りと、山側の内子線周りに分かれる区間も両方乗ります。


松山と宇和島を結ぶ特急「宇和海」は内子線周りのため、問題は愛ある伊予灘線周りの移動をどのタイミングでどう折り込むかです。本数は普通列車が1日9往復あるので、乗車難度はそこまで高くはないのですが、今回は「四国グリーン紀行」という特急列車のグリーン席が利用できる切符なので、この区間を走る観光列車「伊予灘ものがたり」を利用することにしました。

松山駅の発車時刻案内に顔を見せる「伊予灘ものがたり」。列車名表示色が各停の白や特急の赤ではなく水色で、行き先も駅名ではなく「大洲編」となっています。「伊予灘ものがたり」は午前中に松山から伊予大洲に向かう「大洲編」と伊予大洲から松山に向かう「双海編」、午後に松山から八幡浜に向かう「八幡浜編」と八幡浜から松山に向かう「道後編」の4便があり、今回は「大洲編」に乗車します。


1号車と2号車は乗車券・特急券・グリーン券が必要。


松山方の3号車は2名以上で利用可能な個室車になっていて、グリーン券ではなく個室グリーン券が必要です。


山側の座席はこのように2人掛けと4人掛けのテーブル席になっています。


海側は窓に向いてイスと机が設置されており、愛媛県イメージアップキャラクター「みきゃん」が座る座席もありました。


食事は、事前に予約しておくと地元食材等を使った食事が提供されますが、その他のメニューもあるので事前予約していなくても大丈夫。ただし、水・お茶以外の持ち込みはNGとなっており、たとえば松山駅で駅弁を買って車内で食べることはできません。今回は切符を取って満足してしまい、期限までに食事予約券を別途購入しなければいけなかったことをうっかり忘れていたため、大洲編の食事、「ヨーヨーキッチン!」による「朝のひとときを味わう旬彩モーニング」はありません。


代わりに、「牛川料理長こだわり3種の彩りプレート」(税込800円)を注文。


そうなるとこれも欲しくなる……ということで「地酒飲み比べセット」(税込1200円)。辛いほうから順に、道後の「大辛口」、北条の「雪雀」、今治の「山丹正宗」、伊方町の「宮の舞」、川之江の「梅錦」、砥部町の「初雪盃」という6種類のうち3種類を選べます。


ちょっと心地よくなっている間に、松山駅を出た列車は向井原駅を過ぎて、内子線周りの線路と離れていきます。その内子線周りの線路をはるか上空で松山自動車道がまたいでいます。


「伊予灘ものがたり」の運行に合わせて、各地で列車に手を振ってくれる人がいます。どの位置で手を振ってくれているかは車内で案内があるので、見落とすことはありません。車内の人も積極的に手を振り返していました。


列車は途中、下灘駅で長時間停車。


晴れた日であれば、青い伊予灘に赤と黄色の「伊予灘ものがたり」が映えるところだったはずなのですが、あいにくこの日は雨模様。これはこれとして強烈な思い出になりました。


さらに「マンゴーのらぶかん」をホットコーヒーとセット(税込1000円)で注文し、伊予大洲まで旅を満喫しました。


ちなみに「らぶかん」はみかんなどを使用したハート型のスイーツとして2017年に登場したメニューで、マンゴー味は2024年の新商品です。

観光列車「伊予灘ものがたり」の新スイーツに在校生のレシピが採用されました!! | 河原外語観光・製菓専門学校
https://hospitality.kawahara.ac.jp/2944/

「伊予灘ものがたり」は10時28分に伊予大洲に到着。大洲といえば木造復元天守の大洲城があるのですが、駅から歩いて30分、タクシーで10分。次に乗車する特急宇和海9号が10時52分発なので観光は諦めました。


まあまあの雨の中、伊予大洲から48分かけて、11時40分に宇和島に到着。


宇和島駅の時刻表。乗り換え予定は約40分後、12時18分の予土線・窪川行き。


ところがこの日、2024年9月22日は九州から東北にかけて全国的に大雨の日で、四国では高知県四万十町窪川地域で「前例がない」というほどの集中的な降雨があったため、宇和島から窪川へ向かう予土線は始発から運転が見合わせとなっており、到着時点でも運転再開の見込みは立っていませんでした。

2024年9月22日昼の宇和島駅で流れる予土線運転見合わせのお知らせ - YouTube


予土線が朝から動いていないことは把握していたので、すでに移動中に代替ルートを検討済み。ぱっと思いつくのは「四国グリーン紀行」をフル活用して、11時50分に宇和島を出る「宇和海14号」で松山へ折り返し、7分後に出る「しおかぜ20号」で多度津へ。そこから土讃線特急「南風15号」で高知へ下り、19時に高知を出る「あしずり14号」で中村へ、さらに普通列車へ乗り継いで21時36分に宿毛に到着というルートでしたが、これはあまりにも時間がかかりすぎます。何より、今日移動してきたルートをほぼそのまま多度津まで戻るのがあまりにも辛すぎます。


しかしありがたいことに、宇和島自動車城辺・宿毛線という、宇和島と宿毛を2時間で結ぶ路線が存在しているので、「四国グリーン紀行」とは別に運賃が必要になりますが、これを活用することにしました。長距離路線バスということで、バス旅企画として有名な「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」の第10弾・四国ぐるり一周、および「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z」第5弾・四国ぐるり一周城めぐりでも利用されています。

「四国グリーン紀行」の地図で示すと以下のような感じ。赤線部分が運転見合わせの予土線、青線が宇和島自動車城辺・宿毛線です。


バスはおよそ1時間30分に1本のペースで運行されており、12時20分宇和島発のバスにも乗車可能でしたが、早く着いてもホテルのチェックイン時間前になってしまうため、1本後のバスに乗ることにして、宇和島で昼食を取ることにしました。

雨の影響で水が濁った宇和島駅前の水路。


せっかくなので宇和島の郷土料理「宇和島鯛めし」を、駅から徒歩5分のところにある「かどや」で食べることに。


鯛づくしの前菜3種もあるということなので、「宇和島 彩り鯛づくし膳」(税込2800円)を選択。


入店してから注文して料理が運ばれてくるまで10分ほど。バスを1本後のものにすると決めたおかげで、この分量でも焦ることなくゆったりと食べられます。


鯛の刺身に卵をといただし汁をかけて食べる、おいしくないわけがない一品。ごはんのおかわりもOKです。


12時20分宇和島発の次は13時50分発で、さすがにごはんを食べても時間が余ったため、宇和島を代表する観光名所で現存12天守の1つ・宇和島城へ行くことにしました。これは城山の麓にある桑折氏武家長屋門。


井戸丸を経由して、きつい石段を登っていくと、10分弱で天守が見えてきます。


天守から宇和島駅方面の眺望。


城から降りるとバスの出発まで30分ぐらい。城山の近くにある宇和島バスセンターからでも乗車できますが、混み具合がわからなかったので、始発の宇和島駅前に戻りました。宇和島駅前からは長距離路線だと宿毛のほかに松山行きも出ています。


バスの発車案内表示。松山・道後行きは急行ですが、城辺・宿毛行きは普通で、80以上の停留所があります。


山に登ったので、これも宇和島名物だという「大番」で糖分補給。


宿毛行きのバスがやってきました。これは間違いなく路線バス。


明らかに増水している川を車窓から眺めつつ進んでいきます。宇和島の市街地を抜けると雨がやみました。


愛媛県南宇和郡愛南町から橋を渡ると高知県宿毛市というところには「県界」というバス停がありました。


「県界」を越えた先でちらっと見えた「ようこそ高知へ」。


2時間乗車すると、いよいよ「次は宿毛駅」の表示。運賃は宇和島駅前から1850円。


宿毛駅に到着しました。バスの終点はもうちょっと先の宿毛営業所です。


ちょうど、土佐くろしお鉄道の窪川行きが出発していきました。今日はもう交通機関には乗らないので問題なし。


宿毛駅の建物内には土産物屋や理髪店などが入居していました。


列車はおよそ1時間から2時間に1本ほどあり、18時24分発の特急しまんと8号に乗ると高松まで直通で行くこともできます。


宿毛駅の遠景はこんな感じ。立派な高架駅です。


高架沿いから右手側に白地に青文字で見えている「ホテルアバン宿毛」がこの日の宿泊先。


ゆっくり休んで、明日の移動に備えることにします。


1日目の成果は以下の通り、高松~松山~伊予大洲~宇和島~宿毛の移動で、特急列車2本と観光列車1本、バス1本に乗車しました。赤が鉄道移動部分、青がバス移動部分です。


<つづく>

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in 取材,   乗り物,   動画, Posted by logc_nt

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