サイエンス

平均余命の伸びが鈍化しているのは「人間の寿命の限界」である可能性


20世紀には10年ごとに平均余命(出生時の平均寿命)が3年延びる、爆発的な「寿命延長」がありましたが、21世紀には同様の寿命爆発が起きる可能性はかなり低いことを示す論文が発表されました。

Implausibility of radical life extension in humans in the twenty-first century | Nature Aging
https://www.nature.com/articles/s43587-024-00702-3


Life expectancy is increasing at a slower rate this century — and it may be because we're reaching our human limit | Live Science
https://www.livescience.com/health/ageing/life-expectancy-is-increasing-at-a-slower-rate-this-century-and-it-may-be-because-were-reaching-our-human-limit

イリノイ大学シカゴ校のS・ジェイ・オルシャンスキー氏ら4人の研究者が、平均余命についての論文を学術誌・Natureで発表しました。


オルシャンスキー氏らによると、平均余命は19世紀には現代の水準から考えると非常に短い「20歳~50歳」でした。疫病や伝染病の流行の影響により、生存率が改善されなかったためです。

ところが20世紀に入ると公衆衛生の改善や医学の進歩があり、それまでの2000年間は1世紀~2世紀かけて平均1年延びていた平均余命が、わずか10年ごとに3年延びるという「長寿革命」を迎えました。数字の改善に影響したのは、20世紀前半は初老期の死亡率の低下、20世紀後半は中高年期の死亡率の低下だったとオルシャンスキー氏らは報告しました。

しかし、オルシャンスキー氏らは、今後30年で延びる平均余命をわずかに2.5年だと推測しています。


平均余命延長の勢いが3分の1ほどにまで減速する理由について、オルシャンスキー氏らは、最も可能性が高いのは「人類が余命の上限に近づいているから」だと説明しました。

つまり、すでに高齢者の多くは生物学的な老化で起きる、細胞や組織の損傷の蓄積によって亡くなる状態であり、これ以上命を延ばすことはできないというわけです。

ただし、細胞の老化を遅らせたり、細胞を若返らせるような方法があれば、人々はより若い状態で長く生きることができる可能性があるとのことです。

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in サイエンス,   生き物, Posted by logc_nt

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