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「黒神話:悟空」の早期アクセスと引き換えに新型コロナ・フェミニズム・政治など特定の話題への言及を避けるようにストリーマーが指示されていたことが明らかに


西遊記を題材にした中国のアクションRPG「黒神話:悟空」は全世界売上本数がリリースからわずか4日で1000万本を突破するほどの人気タイトルですが、発売前にプレイできる早期アクセス権を得ていたストリーマーが特定の話題についての言及を避けるように指示されていたと報じられています。

Internet goes wild for Chinese video game even as reviewers bash censorship
https://www.nbcnews.com/news/world/internet-goes-wild-chinese-video-game-even-reviewers-bash-censorship-rcna167499

No ‘feminist propaganda’? Censorship row hits Chinese game Black Myth: Wukong | South China Morning Post
https://www.scmp.com/news/asia/article/3275530/no-feminist-propaganda-hit-chinese-video-game-grapples-censorship-row

海外ニュースメディアのNBC Newsによると、「黒神話:悟空」のマーケティングを担当する中国企業・Hero Gamesは、早期アクセス権を与えたストリーマーやゲームレビュアーに対して、「すべきこと」と「してはいけないこと」をまとめたGoogleドキュメントを共有していたそうです。


「すべきこと」にはただ1つ、「ゲームを楽しんでください」と描かれていたとのこと。そして、「してはいけないこと」についは、「隔離」「孤立」「新型コロナウイルス」などの特定の単語の使用や、政治的な話題、フェミニズムやLGBTQに関するプロパガンダ、および否定的な言説をあおるようなコンテンツについて言及することが列挙されていました。

Hero GamesからGoogleドキュメントを共有されたことを告発したフランスのゲーム開発者でストリーマーあるEx Servことブノワ・レニエ氏はその内容を「検閲だ」と述べ、自身のチャンネルで「黒神話:悟空」のプレイを実況配信しないとコメントしました。

Censure et Black Myth Wukong : les choses à savoir avant d'y jouer - YouTube


メーカーやパブリッシャーがプロモーションの一環として早期アクセス権を付与する時に条件を設定することはよくあることですが、香港の日刊英字紙であるSouth China Morning Postは「新型コロナについての指示は、おそらく中国の政策についてコメントすることを避けるためのものだ」と指摘しています。

中国政府は新型コロナウイルス感染症のパンデミックへの対応として、厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ政策」を打ち出しましたが、国内からの強い反対もあって失敗し、撤回。その結果、中国政府はゼロコロナ政策について記述することを禁じ、多くのメディアを検閲しています。


さらに、Hero Gamesによる指示は、中国のゲーマーコミュニティを刺激しないように努める意図があった可能性もあります。

中国発のAAAタイトルである「黒神話:悟空」の大成功は、中国国営メディアによって「異文化の架け橋」と評価されるほど祝福されており、開発者が30分以上にわたってインタビューを受けるなど、異例の歓迎を受けています。また、中国のSNS・Weiboでは「黒神話:悟空」の名前がトレンド上位に常時挙がっているほど注目されており、山西省文化観光局は動画サイト・bilibiliに「黒神話:悟空」の舞台となった名所を紹介するムービーを公開しています。

この「黒神話:悟空」フィーバーの中で、中国のゲーマーによる「黒神話:悟空」の支持がナショナリズムと結び付きつつあることで、「黒神話:悟空」への批判は海外からの偏見の象徴だという主張が中国のゲーマーコミュニティから挙がっているとのこと。

例えば、「黒神話:悟空」に対して「包括性と多様性に欠ける」という理由で5点満点中3点というスコアを付けた海外レビューサイトには、「中国のゲームが大成功したのを見て、海外のレビュアーは中国を中傷する勢力に加わり、LGBTQやフェミニズムといったイデオロギーを容赦なく推進し始めた」という批判がWeiboで展開されているそうです。


また、「黒神話:悟空」の開発企業であるGame Scienceの創設者が「わいせつで性差別的なコメントをした」「採用資料の内容がセクシャルハラスメントに満ちていた」といった理由で炎上していたことも、フェミニズムに関する規制に関係していると考えられます。

なお、「黒神話:悟空」は台湾で購入することが不可能となっており、居住地を香港に変更すれば購入できることが確認されています。

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in 動画,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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