メモ

2025年後半導入予定の中央銀行デジタル通貨「デジタルユーロ」に対して懐疑的な見解を示す人が続出、「使用は想像もできない」と答える人も


欧州連合(EU)で導入に向け準備が進められている中央銀行デジタル通貨の「デジタルユーロ」について、経済大国であるドイツでは多くの人がセキュリティ面の懸念や現金の使用を好むことから懐疑的な見方を示していることが明らかになりました。

Digital Euro Has Germans Fretting Their Money Won’t Be Secure - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-08-17/digital-euro-has-germans-fretting-their-money-won-t-be-secure

Germans Prefer Carrying Cash as CBDC Decision Looms
https://www.pymnts.com/cbdc/2024/germans-prefer-carrying-cash-as-cbdc-decision-looms/

European Central Bank wants a digital euro, these four countries say 'no'
https://crypto.news/european-central-bank-wants-a-digital-euro-these-four-countries-say-no/

Digital euro faces skepticism in Germany over privacy concerns
https://cryptobriefing.com/german-digital-euro-skepticism/

「中央銀行デジタル通貨」(CBDC)とは、中央銀行の債務として発行される法定通貨建てのデジタル通貨です。世界中でCBDCの導入が検討されており、バハマは2020年10月に世界初のCBDCが発行中国韓国も試験導入し、イギリスでは「デジタルポンド」について今後2~3年以内に導入の可否が決定される予定です。

EUでも独自のCBDC「デジタルユーロ」を導入するかどうかが2025年下旬に決定する予定で、検討が続けられています。EUのデジタルユーロは、ユーロ圏20カ国の金融政策を担う中央銀行である欧州中央銀行(ECB)が発行する予定です。

ECBは2021年10月に開始した調査フェーズを完了させ、2023年11月から準備フェーズに移行しており、ルールの策定やプラットフォーム・インフラストラクチャー開発事業者の選定、実証実験などを実施しています。ECBはデジタルユーロについて、「デジタル決済を選択する人が増えるにつれ、私たちは現金と同じ価値が保証された中央銀行発行のデジタル通貨を提供したいと考えています。それがデジタルユーロです」と説明しています。


ECBの関係者はBloombergに対して「デジタルユーロは高度な安全機能とプライバシー機能を備える」と説明しています。具体的には暗号化およびハッシュ化で、デジタルユーロでの取引のプライバシー性が保たれることになるとのこと。また、ECBはデジタルユーロが高齢者や新規入国者にとっても使いやすいものとなることを保証すると説明しています。なお、ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は、2023年10月にデジタルユーロの調査フェーズが完了した際に「デジタルユーロは物理的な現金と共存し、その取引は無料になる(取引に手数料は発生しない)」と発言していました。

しかし、EU最大の経済大国であるドイツでは、特に高齢世代で依然としてデジタルユーロに対する懐疑的な見方が存在していることがBloombergの報道により明らかになっています。ドイツの中央銀行であるドイツ連邦銀行で地元の退職者グループと行われたディスカッションでは、カードやオンライン決済の影響ですでに支出をコントロールできなくなっているという声や、CBDCの導入によりドイツがテクノロジーに過度に依存するようになることを心配する声が上がったそうです。地元の年金受給者のひとりであるハンス・ハインリッヒ・クロッペル氏は、Bloombergに対して「習慣からだろうがほとんどの場合、現金を使うことを好む」と語り、デジタルユーロに否定的な見方を示しました。ただし、若いドイツ人はデジタルユーロに比較的オープンな考え方を持っているそうです。


また、ドイツ以外にもオーストラリアやスロバキアなどの多くの国でデジタル決済よりも現金が好まれているとBloombergは報じています。一方で、オランダなどの一部の国ではデジタル決済が広く普及しており、デジタルユーロに対しても寛容な姿勢を示している模様。

なお、デジタルユーロプロジェクトのディレクターを務めるエヴェリーン・ウィトロックス氏は、デジタルユーロについて「デジタルユーロが導入される可能性は高いが、現時点で避けられないわけではない」と発言しており、導入が決定しているわけではないことを強調しています。なお、デジタルユーロ導入の主な理由は「欧州における非欧州決済サービスへの依存」を減らすためです。


CBDCに懸念を示しているのはEUだけではありません。アメリカでは特に右派の政治家がCBDCに反対しており、ドナルド・トランプ前大統領は2024年のアメリカ大統領選挙に勝利した場合、CBDC導入と戦うと発言。「これは自由に対する危険な脅威であり、私はアメリカにCBDCが持ち込まれることを阻止したいと考えています。このような通貨は連邦政府にあなたのお金に対する絶対的な支配権を与えるものです。彼らはあなたのお金を奪うことができ、あなたはそれがなくなったことさえ気付かないでしょう」と語りました。


他にも、フロリダ州のロン・デサンティス州知事もCBDCに反対の立場を表明しています。

◆フォーラム開設中
本記事に関連するフォーラムをGIGAZINE公式Discordサーバーに設置しました。誰でも自由に書き込めるので、どしどしコメントしてください!Discordアカウントを持っていない場合は、アカウント作成手順解説記事を参考にアカウントを作成してみてください!

• Discord | "「デジタル円」は必要だと思う?" | GIGAZINE(ギガジン)
https://discord.com/channels/1037961069903216680/1275020297971699712

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
世界初の「国家中央銀行発行のデジタル通貨」が誕生 - GIGAZINE

欧州中央銀行が独自のデジタル通貨「デジタルユーロ」の導入に向けた準備を開始 - GIGAZINE

EUが2023年初頭に中央銀行デジタル通貨「デジタルユーロ」の法案を提出することを計画 - GIGAZINE

東南アジア諸国の中央銀行と協力してデジタル決済システムをサポートする日本発のブロックチェーン企業「ソラミツ」とは? - GIGAZINE

韓国が2024年に中央銀行デジタル通貨を試験導入 - GIGAZINE

in メモ, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.