中国では毎週大型原子力発電所5基分の面積に相当する太陽光発電所と風力発電所が建設されている
経済発展が進む中国では、太陽光や風力を使った再生可能エネルギーの導入が急ピッチで進んでいます。オーストラリアのシンクタンク・Climate Energy Finance(CEF)の分析では、中国では2週間で10ギガワット分の太陽光および風力発電のプラントが設置されているとのことです。
MONTHLY CHINA ENERGY UPDATE | China to Achieve its 2030 Energy Target in July 2024 - MONTHLY-CHINA-ENERGY-UPDATE-_-China-to-Achieve-its-2030-Energy-Target-in-July-2024.pdf
(PDFファイル)https://climateenergyfinance.org/wp-content/uploads/2024/07/MONTHLY-CHINA-ENERGY-UPDATE-_-China-to-Achieve-its-2030-Energy-Target-in-July-2024.pdf
China is installing the wind and solar equivalent of five large nuclear power stations per week - ABC News
https://www.abc.net.au/news/science/2024-07-16/chinas-renewable-energy-boom-breaks-records/104086640
かつて中国は世界の温室効果ガス排出量の約3分の1を占めるほど、化石エネルギーによる発電に頼っていました。しかし近年では再生可能エネルギーの普及が急速に進んでおり、CEFのエネルギー政策アナリストであるシュヤン・ドン氏は「再生可能エネルギーを使った発電が普及するにつれて、中国における温室効果ガスの排出量は横ばいになり、2030年以降は徐々に減少するでしょう」と予測しています。
中国では、内モンゴル自治区に広がるゴビ砂漠などに太陽光発電所と風力発電所が設置されています。そこで発生したエネルギーは、世界最長とも言われる高圧送電線を介して北京などの都市に送られています。
一方で再生可能エネルギーでの発電量は、化石エネルギーによる発電量には及ばないことが課題となっています。実際に、再生可能エネルギーの設備利用率は約25%であるのに対し、原子力発電は90%にも上ります。
中国では週に5基の大型原子力発電所の面積に相当する太陽光発電所と風力発電所を設置していますが、そこから得られる発電量は1基の原子力発電所とほぼ同等です。そこで中国は揚水発電と蓄電池を組み合わせるとともに、火力発電所を多数建設してエネルギー需要を補っています。
急ピッチな太陽光発電所と風力発電所の設置により、国内の総発電量に占める石炭の割合は低下傾向にあるとのことで、中国エネルギー委員会は「2024年末までに再生可能エネルギーによる発電量が火力発電所の発電量を上回るでしょう」と推測。また、このペースで再生可能エネルギーの導入が進めば、2024年7月末までに2030年末の設置目標を達成できるとのことです。
ドン氏は「中国がこれほどのスピード感と規模で環境対策を進めている事実は、世界に対して同様の取り組みを実施するための良い見本になります」と述べています。
また、CEFのディレクターであるティム・バックリー氏は「オーストラリアなどでの再生可能エネルギーの導入は、計画の立案から承認まで非常に時間がかかります。一方で中国では、計画が立案されるとただちに実行に移されます」「中国が再生可能エネルギーの導入におけるリーダーシップを担うでしょう」と称賛しました。
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