サイエンス

「顔のヒートマップ」が年齢や病気を予測する手がかりになるという研究結果


人間の老化や病気の兆候は身体のさまざまな場所に現れ、これらの兆候を読み取ることで病気や健康状態を診断することも可能です。新たに中国の研究チームが、「顔のヒートマップ」を調べることでその人の老化や病気を予測できるという研究結果を発表しました。

Thermal facial image analyses reveal quantitative hallmarks of aging and metabolic diseases: Cell Metabolism
https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(24)00188-8


Doctors could soon use facial temperature for | EurekAlert!
https://www.eurekalert.org/news-releases/1049756

Your Face's Heat Patterns Could Reveal Vital Clues About Your Health : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/your-faces-heat-patterns-could-reveal-vital-clues-about-your-health

北京大学定量生物学センターのジンドン・ハン教授らの研究チームは以前、人の顔の3D構造を使用して生物学的年齢を予測する研究を行っていました。その後、ハン氏らは「人の顔の温度」を用いて老化や健康状態を予測できないかと考え、新たな研究を始めたとのこと。

研究チームは21~88歳の中国人2811人を集めて、温度管理された部屋で顔面の温度を測定しました。その後、顔温度データを使用して年齢を予測できるAIモデルをトレーニングし、年齢を予測できる熱パターンがあるかどうかを調べました。

その結果、鼻や目などの領域における温度の変化が、人の年齢に関連していることがわかりました。以下の図は、左が女性(Female)、右が男性(Male)の顔ヒートマップで、上から「50~60歳」「60~70歳」「70歳以上」の順で並んでいます。さらに、各年齢ごとに「Slow-ager(老化が遅い)」「Well predicted(予想通り)」「Fast-ager(老化が速い)」に分類されていますが、全体として「鼻の温度は年齢と共に低下する」「目の周りの温度は年齢と共に上昇する」という傾向がみられます。


さらに研究チームは、被験者の顔温度が特定の疾患に関連しているかどうかについても調査しました。すると、糖尿病患者は同じ年齢の健康な被験者と比較して、顔温度データから予測される年齢が6歳以上も高いことが判明しました。

AIモデルは顔温度データを分析することで、その被験者が脂肪肝疾患や糖尿病といった代謝障害があるかどうかを80%以上の精度で予測できたとのこと。代謝障害のある人は目の周りの温度が高い傾向があり、高血圧の人は目の周りや頬の温度が高く、鼻の温度が比較的低かったと報告されています。


研究チームは顔温度が年齢と共に変化する理由を調査するため、57人の健康な被験者から採取した血液と顔温度データを分析しました。その結果、目と頬の周りの温度上昇が、炎症に関連する細胞活動の増加に関連していることもわかったとのことです。

さらに、運動によって顔温度に変化があるのかどうかを調べるため、23人の被験者に「毎日少なくとも800回の縄跳び」を2週間続けてもらい、実験前と実験後の顔温度データを比較するという実験も行われました。驚くべきことに、これらの被験者はわずか2週間の運動で顔温度データから予測される年齢が5歳も若くなりました。一方、縄跳びをしなかった対照群では、2週間後の予測年齢に有意な差はありませんでした。

ハン氏は、「温度時計は代謝性疾患と非常に強く関連していましたが、これまでの顔画像モデルではこれらの疾患を予測することはできませんでした。顔温度画像は疾患の早期診断や早期介入に役立つ可能性があるため、これを臨床現場で応用したいと考えています」とコメントしました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
人間の体温が過去200年間で低下しているのは「身体活動の減少」が理由との指摘 - GIGAZINE

健康な人間の脳はこれまで考えられていたよりも熱くなり40度に達することもあると判明 - GIGAZINE

人間の体温は1800年代から低下していることが判明、その理由とは? - GIGAZINE

平日と休日で睡眠パターンがあまり変わらない人は生物学的な老化が遅いことが判明 - GIGAZINE

賃貸暮らしの人は持ち家の人よりも生物学的老化が速く悪影響は失業や肥満より大きいという研究結果 - GIGAZINE

老化を遅らせ生物学的年齢を若返らせるプロジェクト「Blueprint」では一体何を行うのか? - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.