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iFixitがSamsungとの提携を2年で終了、理由は「Samsungと修理可能性のアプローチに違いがあったため」


修理パーツの販売などを手がけるiFixitが、2年間にわたるSamsungとの提携を終了し、契約を更新しないことを明らかにしました。iFixitは契約を終了する理由として「Samsungの修理可能性に対するアプローチが当社の使命と一致しないため」と説明しています。

We’re Ending Our Samsung Collaboration | iFixit News
https://www.ifixit.com/News/96162/were-ending-our-samsung-collaboration


iFixitとSamsungは、2022年8月に「ユーザーが自分でデバイスを修理するためのプログラム」を提供するために提携することを発表しました。独立系修理業者や個人ユーザーはiFixitを通じて、提携修理業者と同じ価格で修理用ツールやSamsung純正の修理パーツを購入することができ、オンラインの修理ガイドにもアクセスできました。

SamsungがiFixitと提携して修理パーツの販売を開始、Galaxy S20・S21・Tab S7+が対象もフラッグシップ機のS22は非対応 - GIGAZINE


しかし、iFixitは「私たちは最大限の努力を払いましたが、その約束を果たすことはできませんでした。多大な努力にもかかわらず、Samsungの修理可能性に対するアプローチは当社の使命と一致しません」とコメントしています。

iFixitによれば、採算の取れる価格と量でSamsungの純正修理パーツを修理業者に届けることができなかったとのこと。また、パーツの価格が高すぎたため、多くの消費者は修理するよりもデバイスを交換することを選んだそうです。さらに、Galaxyのバッテリーとディスプレイがあらかじめ接着されており、交換するためにはバッテリーとディスプレイをあらかじめ接着したパーツを用意せざるを得ないため、結果的にコストが上昇してしまったと述べています。


Samsungとの提携が終了するため、iFixitは2024年6月以降、Samsungのパーツおよびツール販売代理店ではなくなるとのこと。また、これまで公開されていたオンラインマニュアルなどの情報がiFixitから削除されることはありませんが、情報が更新されることはなくなります。ただし、Samsungの部品や修理キットの販売は継続され、パーツ販売の数量制限も撤廃されるそうです。

iFixitは「Samsungが協力してくれないのは残念ですが、私たちはより修理しやすい未来に向けて歩み続けています」と述べています。

また、Samsungのデバイス修理については、SamsungがiFixitを含む修理業者に対して提示していた契約内容にも問題があったという報道もあります。IT系ニュースサイトの404 Mediaによると、Samsungは修理業者に対して修理パーツを販売する代わりに、ユーザーの氏名・連絡先・携帯電話のシリアルナンバー・苦情や修理内容の詳細をSamsungに提供することを義務付けていたとのこと。また、非純正の部品が取り付けられていた場合はすべて取り外して報告することも義務付けられていました。


IT系ニュースサイトのThe Vergeによると、iFixitのカイル・ウィーンズCEOはSamsungにユーザーのメールアドレスと購入した部品のリストを共有していたことを認めています。ウィーンズCEOは「これらの情報は他のパートナーシップには必要ありません。また、お客様の情報を他のOEMと共有することはありません」と述べており、顧客情報の共有を義務付ける契約を求めているのはSamsungだけだと述べています。

ウィーンズCEOはThe Vergeに対して、Samsungが修理業者に課している義務は、記事作成時点での契約に盛り込まれているかどうかは不明だと述べています。アメリカのミネソタ州では、「修理する権利」を認める州法が2024年7月から施行されますが、この法律では修理用のパーツをメーカーが登録したり承認したりすることを明確に禁止しているため、Samsungの契約が法律違反になってしまう可能性があります。

404 MediaとThe VergeはSamsungにコメントを要請しましたが、記事作成時点で返答はないそうです。

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in モバイル,   ネットサービス,   ハードウェア, Posted by log1i_yk

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