OpenAIの主任研究員でサム・アルトマンCEO解任を主導したイルヤ・サツキヴァー氏が退職

OpenAIの共同創設者兼主任研究員で、2023年11月に起こったサム・アルトマンCEO解任騒動を主導したといわれるイルヤ・サツキヴァー氏がOpenAIを退職することを発表しました。

OpenAI chief scientist Ilya Sutskever is officially leaving - The Verge
https://www.theverge.com/2024/5/14/24156920/openai-chief-scientist-ilya-sutskever-leaves

2023年11月17日にOpenAIが突然、アルトマンCEOの退任および退社を発表しました。この電撃解任騒動はアルトマンCEOとOpenAIの取締役会の対立によって起こったとみられており、特にアルトマンCEOの解任を主導したのが取締役の1人であったサツキヴァー氏だったことが報じられました。

OpenAIのサム・アルトマン元CEO退任は主任研究員のイルヤ・サツキヴァー氏との「AIの安全性」をめぐる対立が原因か - GIGAZINE

その後、すぐにアルトマン氏はOpenAIのCEOに復帰。この時、取締役会のメンバーも大きく入れ替わり、サツキヴァー氏は取締役を辞任。その後はOpenAIの主任研究員を務めていました。

サツキヴァー氏はX(旧Twitter)に、「(OpenAIに入社して)およそ10年が経ち、私はOpenAIを去る決断をしました。OpenAIのこれまでの歩みはまさに奇跡的であり、サム・アルトマンCEOやグレッグ・ブロックマン社長、最高技術責任者のミラ・ムラティ氏、ヤコブ・パチョスキー氏の優れた研究リーダーシップの下で、安全で有益な汎用人工知能(AGI)を構築してくれると確信しています。一緒に働けたことは名誉であり、光栄でした。皆さんがいなくなると本当に寂しくなります。さようなら、そしてこれまでありがとうございました。次に起こること……私にとって個人的に大きな意味のあるプロジェクトにワクワクしています。詳細は後日お知らせします」とポストしています。

さらにサツキヴァー氏は以下の写真をXにポストしました。左からパチョスキー氏、ブロックマン社長、サツキヴァー氏、アルトマンCEO、ムラティ氏です。

アルトマンCEOは、「イルヤとOpenAIは別の道を歩むことになりました。イルヤは私たちの世代で最も偉大な頭脳の1人であり、私たちのフィールドを導く光であり、親愛なる友人でした。彼の才能とビジョンはよく知られています。それに対して、彼の温かさや思いやりは知られていませんが、それに劣らず大事なことです。OpenAIは彼なしではあり得ませんでした。彼は個人的に意義のあることに取り組んでいますが、彼がOpenAIでやってくれたことに永遠に感謝していますし、共に始めたミッションをやり遂げることに全力を尽くします。長い間、このような純粋に驚くべき天才、そして人類にとって最高の未来を手に入れることに注力する人の近くにいられたことを幸せに思います」とコメントしました。また、アルトマンCEOは、サツキヴァー氏の後任としてパチョスキー氏が就任することを明らかにしています。

ブロックマン社長は「私たちは協力して、OpenAIが今日どのようなものになるかの道筋を描きました。2015年後半の創業時は、OpenAIはAGIを成功させることを使命とする非営利団体でしたが、それを達成するための信頼できる計画はありませんでした。初期の頃、イルヤと私は、文化、技術的方向性、戦略のあらゆる側面について、数え切れないほどの時間を費やして真剣に考えました。そして、かつてない規模のスーパーコンピューターを作るには、誰もが想像していたよりもはるかに多くの資金を調達する必要があることに気づきました。私たちは非営利団体で一緒に資金を集め、他の人が考えるよりも多くの資金を集めましたが、それでも必要とされていた額にはとても及びませんでした。私たちはその使命のために営利組織を作ることを提案し、それが実現した後も私たちはその会社が何を象徴しているのかを調整し、形作り続け、AGIのミッションに焦点を当てながら、日々どのように進歩するかという難しい現実的な問題に取り組んできました」とコメントしています。

・2024年5月16日追記
OpenAIのSuperalignmentチームをイリヤ・サツケヴァーと共同で率いていたヤン・ライク氏も辞任したことを、2024年5月15日に発表しました。