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Amazonが二酸化炭素排出量を削減すべくわずか2年で膨大なEV充電器ネットワークを構築


Amazonは二酸化炭素排出量を削減するために電気自動車(EV)およびEV充電器の導入を進めています。Amazonはわずか2年間で1万7000台以上のEV充電器を導入しているのですが、この迅速なEV移行がどのようにして進められているのかをThe Progress Playbookが報じています。

How Amazon built an unrivalled EV charging network in just two years | The Progress Playbook
https://theprogressplaybook.com/2024/04/15/how-amazon-built-a-massive-ev-charging-network-in-just-two-years/


Amazonは今後数十年間で二酸化炭素の排出量を削減すると発表しており、そのための解決策として電気自動車(EV)の導入を進めています。アメリカのワシントン州メープルバレーにあるAmazonの倉庫では、Rivian Automotive製のEVが配送に使用されており、309台のシーメンス製EV充電器を用いて車両の充電が行われています。排気ガスゼロでの配送が可能となるため、これはAmazonにとって二酸化炭素排出量を減らす手っ取り早く最も簡単な方法のひとつです。

Amazonはわずか2年で全米の約120カ所にある倉庫で、1万7000台以上のEV用充電器を設置しています。AmazonがEV充電器を敷設する上で最も大きな貢献を果たしたと言われているのが、同社の配送車両群を監督するトム・チェンパナニカル氏です。

UPSやFedExなどの運送会社は独自のEV普及計画を打ち出していますが、二酸化炭素排出量の削減を上手く行えていないとのこと。これに対してAmazonは競合他社よりもEV移行をより早く進めており、「2030年までに全配送の半分を二酸化炭素汚染ゼロで行う」という公約を撤回し、その取り組みをより広範な気候変動に対する目標に切り替えています。


Amazonと電力会社の提携に助力してきた業界団体Edison Electric Institute(EEI)の輸送担当ディレクターであるケレン・シェフター氏は、「Amazonが気候変動目標を達成しながら荷物配達目標も達成できることを証明できれば、これが実際に機能していることを示すことができます」と語りました。

Amazonは2022年の二酸化炭素排出量が2019年から約40%増加の約7100万トンに達したと発表しています。Amazonの二酸化炭素排出量のほとんどは、航空貨物輸送・海上輸送・建設・電子機器製造など、明確なカーボンフリーの代替手段が存在しない活動から生じるものです。Amazonは長距離トラック輸送における脱炭素化は進んでいないとしながら、都市部での商品配送などでEVを活用することで、二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいます。

この取り組みの一環として、AmazonはRivian Automotiveに巨額の投資を行っており、10万台のEVを注文しています。記事作成時点ですでに1万3500台のRivian Automotive製EVが配送に利用されており、Amazonはラストワンマイルの配送で発生する二酸化炭素排出量を大きく削減できると示唆しました。


電力会社はこれまで主に家庭用EV用の充電設備への電力供給を行ってきたため、AmazonのEV充電器ネットワークに電力供給することは新しい試みだったそうです。政府の電力使用量推計によると、工業地帯にある10万平方フィート(約9300平方メートル)の倉庫では、主に照明と空気循環のために約50キロワットの電力が供給されているそうです。これに対して、Amazonの倉庫は駐車場に100台規模のEV充電器が設置されることとなるため、必要な電力量は10~20倍に膨れ上がるそうです。

地域の送電網に余裕があれば比較的迅速に電力を供給することが可能となりますが、そうでない場合は電力網のアップグレードに数年の時間がかかることも予想された模様。そこで、Amazonは2020年から国内の大手電力会社と「どの倉庫でどれくらいの電力が必要になるのか」を調査し始めました。この調査に携わったイリノイ州最大の電力会社であるCommonwealth Edisonのダイアナ・シャープ氏は、「新型コロナウイルスのパンデミック期間にいくつかの種類の新しい機器を確保するのに苦労しましたが、古い変圧器をAmazon用に再利用するという選択を取ることにしました。Amazonが必要とするものを確実に入手し、彼らが望んでいるスケジュールに確実に応えることができるように、社内でかなり創造的なことを行いました」と語っています。なお、記事作成時点でCommonwealth Edisonはシカゴの都市圏にある4つのAmazon倉庫で、EV充電器向けに電力を供給しているそうです。


Amazonが倉庫に設置しているEV充電器のコストは5000万~9000万ドル(約77億~140億円)と推定されていますが、駐車場の地面を掘って電線を敷設したり、配電パネルやキャビネットを設置したりする場合は、その2倍のコストがかかる可能性があります。ただし、AmazonはEV用の設備にどの程度の資金を費やしたかは明かしていません。

なお、AmazonでのEV導入が進むにつれて配送車両の運用コストは従来の化石燃料車両の運用コストよりも安くなっていくと予想されています。AmazonはEVの運用コストなどについて詳細を明らかにしていませんが、Amazonのチェンパナニカル氏は「運用コストは削減され続けています。EVの使用量が増加するにつれて、需要と供給が増加し、効率が向上し、より良い状態に進み続けることとなるでしょう」と語りました。

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Amazonの商品配送を行うドライバーはおおむねRivian Automotive製EVを気に入っているそうです。ただし、匿名の配送サービス業者は、「Rivian Automotive製EVの修理を許可されている自動車工場がほとんどないため、車体修理には従来の2~3倍の費用がかかるり、スペアパーツの入手も困難」と問題点を挙げています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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