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量子コンピューティングの膨大なエラーの原因となる「ノイズ」を800倍抑える次世代技術をMicrosoftとQuantinuumが開発したと発表


将来的な実用化に向けて開発が進められる量子コンピューターは、記事作成時点で量子ビットの初期状態の設定から出力の読み取りまでのあらゆる場面でエラーが発生する可能性があり、できることが大きく制限されています。2024年4月3日、Microsoftと量子コンピューティング企業のQuantinuumが、「従来の物理量子ビットからエラーの発生を800倍抑えられる、前例のないレベルの信頼性を持った量子コンピューターの開発に成功した」と報告しています。

Advancing science: Microsoft and Quantinuum demonstrate the most reliable logical qubits on record with an error rate 800x better than physical qubits - The Official Microsoft Blog
https://blogs.microsoft.com/blog/2024/04/03/advancing-science-microsoft-and-quantinuum-demonstrate-the-most-reliable-logical-qubits-on-record-with-an-error-rate-800x-better-than-physical-qubits/


Quantinuum Partners with Microsoft in New Phase of Reliable Quantum Computing with Breakthrough Demonstration of Reliable Logical Qubits
https://www.prnewswire.com/news-releases/quantinuum-partners-with-microsoft-in-new-phase-of-reliable-quantum-computing-with-breakthrough-demonstration-of-reliable-logical-qubits-302106318.html

How Microsoft and Quantinuum achieved reliable quantum computing - Microsoft Azure Quantum Blog
https://cloudblogs.microsoft.com/quantum/2024/04/03/how-microsoft-and-quantinuum-achieved-reliable-quantum-computing/

Microsoft and Quantinuum say they’ve ushered in the next era of quantum computing | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/04/03/microsoft-and-quantinuum-say-theyve-ushered-in-the-next-era-of-quantum-computing/

量子コンピューターでは基本的に、量子ビットを使用して情報の保存や処理を行います。しかし、物理量子ビットはノイズによってエラーが発生しやすいため、従来の量子コンピューターでは有用性や実用性が大きく制限されています。これらのエラーを減らすには、高度な手法を使用して、複数の物理量子ビットを「論理量子ビット」と呼ばれる信頼性の高い仮想量子ビットに結合する必要がありました。


論理量子ビットを有効にした場合、物理量子ビットの数を増やすことでより長く、より複雑な計算を実行できる強力な量子コンピューターを実現することができます。

今回、Microsoftの量子ビット仮想化システムとQuantinuumの「H2イオントラップ量子ビットプロセッサ」と独自の量子荷電結合デバイスアーキテクチャを組み合わせることで、30個の物理量子ビットを4つの信頼性の高い論理量子ビットに結合させることに成功しました。複数の物理量子ビットを1つの論理量子ビットに結合すると、システムをエラーから保護できるようになります。Microsoftによると、今回の論理量子ビットでは1万4000もの独立したインスタンスを1つのエラーもなく実行することができたとのこと。


さらに、これらの論理量子ビットは10万回の実行につき1回しかエラーを発生させないことが明らかとなっており、エラー率が物理量子ビットだけを使用した従来の800分の1にまで抑えられたそうです。Quantinuumのジェニファー・ストラブリー氏によると、この「物理量子ビットからエラーの発生を800倍抑えた」という今回の成果は、これまでで最も低いエラー率となったとのこと。


Microsoftはこの結果について、「ヘッドホンのノイズキャンセリング機能を有効にして音楽を聴きながら、環境ノイズのほとんどを除去することは、量子ビット仮想化システムを適用するのと似ています」と述べ、「エラー率の改善は高品質のノイズキャンセリングヘッドホンで実現する静寂さと同じようなもの」と例えています。

一方で研究チームは今回の論理量子ビットはあくまで開発段階であることを明かし「従来の量子コンピューターを超えるためには、個々の回路エラーを修正し、少なくとも2つの論理量子ビット間に量子もつれを生成する機能と同様に、論理量子ビットと物理量子ビットとのエラー率の差をさらに拡大する必要があります」と指摘しました。

それでもMicrosoftのサティア・ナデラCEOは「今回の成果は、信頼性の高い量子コンピューティングから生まれる科学的および商業的な進歩を実現するための道のりにおいて、非常にエキサイティングなマイルストーンとなりました」との称賛するコメントを残しています。


Quantinnumの創業者兼最高製品責任者のイリヤス・カーン氏は「今回の結果は歴史的な成果であり、Microsoftとのコラボレーションがいかに量子エコシステムの限界を押し広げ続けているかを見事に反映しています。世界で最も強力な量子コンピューターと完全に統合されたアプローチと連携したMicrosoftの最先端のエラー訂正能力により、量子アプリケーションがさらなる進化を遂げる可能性について非常に期待しています。特に、大規模な量子プロセッサーに移行するにつれて、お客様やパートナーがQuantinnumのソリューションからどのように恩恵を受けるのかを見るのが待ちきれません」と述べました。

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in ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by log1r_ut

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