読書・執筆・言語学習などの知的な趣味が認知症リスクを大幅に低下させるかもしれない

記憶力や判断力が低下する認知症は生活の質を大幅に下げ、家族や介護者に多大な負担をかけるため、社会の高齢化が進むにつれて認知症予防の重要性が高まっています。新たな研究では、読書や執筆、言語学習といった活動が認知症を遅らせたり、予防したりする上で役立つ可能性があると示されました。
Associations of Lifetime Cognitive Enrichment With Incident Alzheimer Disease Dementia, Cognitive Aging, and Cognitive Resilience | Neurology
https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000214677

American Academy of Neurology: Neurology Resources | AAN
https://www.aan.com/PressRoom/Home/PressRelease/5311
Simple Lifelong Habits Can Cut Your Alzheimer's Risk by 38%, Study Finds : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/simple-lifelong-habits-can-cut-your-alzheimers-risk-by-38-study-finds
認知症を防ぐには高齢になっても知的活動に従事した方がいいといわれますが、生涯にわたる知的活動がその後の認知能力に及ぼす影響について、包括的な調査はあまり行われていないとのこと。そこで、アメリカのイリノイ州にあるラッシュ大学医療センターの研究チームは、被験者の生涯にわたる「cognitive enrichment(認知的豊かさ)」と認知症の関連を調査しました。
研究の被験者は調査開始時点で認知症を発症していない高齢者1939人で、調査開始時点の平均年齢は約80歳でした。被験者は「18歳までの時点」「40歳の時点」「調査開始時点」の各段階について読書や執筆、外国語の学習、美術館や図書館への訪問、辞書の利用といった活動についてのアンケートに回答し、ここから認知的豊かさのスコアが測定されたとのこと。
平均で8年間にわたる追跡調査の過程で、被験者のうち551人がアルツハイマー病を発症し、719人が軽度認知障害を発症しました。研究チームはこれらのデータを利用し、認知的豊かさのスコアと認知症との関連性を調べました。

分析の結果、認知的豊かさのスコアが最も高い10%の被験者のうち21%がアルツハイマー病を発症したのに対し、認知的豊かさのスコアが最も低い10%の被験者は34%がアルツハイマー病を発症していることが判明しました。
また、認知的豊かさのスコアが最も高い10%の平均年齢は94歳だったのに対し、スコアが最も低い10%の平均年齢は88歳にとどまりました。加えて、認知的豊かさのスコアが最も高い人々はスコアが最も低い人々と比較して、認知症発症の平均年齢が約5年、軽度認知障害を発症する平均年齢が約7年も遅いという結果も示されています。
以下のグラフは、縦軸がアルツハイマー病を発症しない人の割合、横軸が年齢を表しています。認知的豊かさのスコアが最も高い上位10%の被験者(緑色)、ちょうど真ん中の被験者(青色)、下位10%の被験者(赤色)を比較すると、認知的豊かさのスコアが高いほど認知症を発症しにくいことがわかります。

研究チームが研究期間中に死亡した被験者の脳組織を分析したところ、幼少期の認知的豊かさのスコアが高かった人の脳はアルツハイマー病に関連するタンパク質の蓄積に対し、一定レベルの保護力を持っていることが示唆されました。
さらに、社会経済状況(SES)に関する要因が認知機能低下の速度に影響しているかどうかを検証した結果、認知的豊かさのスコアは社会経済状況と独立して作用していることが判明。研究チームは論文で、「私たちの知見は、認知的豊かさが単なる社会経済状況の代替指標ではないことを示唆しています」と述べています。
今回の研究はあくまで認知的豊かさと認知症の関連性を示したものであり、「長年にわたり読書を続けていると認知症の発症確率が低くなる」といった因果関係を証明したものではありません。それでも、精神的に活発な状態を保つことと認知症のリスクを下げることの間に強い関係があることを示す新たな証拠です。
論文の筆頭著者で、ラッシュ大学の神経科学者であるアンドレア・ザミット助教は、「私たちの研究結果は有望であり、生涯を通じて多様な知的刺激活動に継続的に取り組むことが、認知機能に違いをもたらす可能性を示唆しています。図書館や生涯にわたる学習意欲を喚起する早期教育プログラムなど、豊かな環境へのアクセスを拡大する公共投資が、認知症発症率の低下に寄与する可能性があります」と述べました。
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