AppleがCarPlayのアップデートで自動車業界への本格参入を目指しているとの報道、Android Automotiveのような車両のさまざまな機能をコントロールできる完全なOSを目指す
Appleが独自の自動運転車の開発から撤退したとウワサされていますが、Appleは自動車業界への参入を諦めているわけではないと、Bloombergが報じました。報道によると、AppleはCarPlayのアップグレードで自動車業界への本格参入を目指しているようです。
Apple (AAPL) Revamped CarPlay Becomes Last Hope After Apple Car Is Canceled - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/newsletters/2024-03-17/apple-aapl-revamped-carplay-becomes-last-hope-after-apple-car-is-canceled-ltvif8zt
AppleがCarPlayの刷新に取り組み始めたのは2020年頃とされています。Appleは自動運転車の開発プロジェクトをキャンセルしたため、「CarPlayのアップデートプロジェクトの重要性はさらに高まっています。Appleが自動車業界に本格的に参入する唯一の希望です」とBloombergは指摘しました。
CarPlayのアップデートプロジェクトは「Project IronHeart」として知られており、システムを車両と完全に統合することを目指したもので、CarPlayを通じてラジオやエアコンなどの機能だけでなく、スクリーンや車の計器盤をコントロールすることも可能になるそうです。既存のCarPlayはAppleのサービスを操作できるようにすることに重点を置いたもので、車のラジオやエアコン、その他機能をコントロールすることはできません。
AppleのCarPlayにはGoogleの開発するAndroid Automotiveというライバルが存在します。Android Automotiveは車体に直接インストールされているため、スマートフォンを接続しなくても利用可能で、車両のメーターやディスプレイをコントロールすることも可能です。
ここ数年、Android Automotiveは自動車業界で普及しており、Polestar・ポルシェ・BMW・フォルクスワーゲン・フォード・Lucid Motors・Stellantis・ゼネラルモーターズといった自動車メーカーがこぞって搭載車両を販売しています。実際、記事作成時点でAndroid Automotiveは自動車OS市場で推定35%のシェアを獲得し、市場のリーダーとなっています。
AppleはアップデートされたCarPlayのより滑らかなインターフェースとより優れたカスタマイズ性で、ユーザーや自動車メーカーからの支持が得られると期待している模様。ただし、Appleは新しいCarPlayでAndroid Automotiveのような「車両にOSを直接インストールする手法」を検討したものの、このアプローチは採用せず、これまで同様「iPhone上でCarPlayを動作させること」を選んだようです。
Appleは2022年6月にCarPlayのアップデートを発表しましたが、この新しいCarPlayをサポートしているのは記事作成時点ではポルシェとアストンマーティンのみです。この展開が遅い理由のひとつは、Appleのデザインチームが自動車メーカーと協力して各メーカーに合わせたインターフェースとスタイルを作成しているためです。また、Appleは既存のCarPlayから収益を上げる計画を持っておらず、ユーザーに料金を請求したり、自動車メーカーにインストール費用を請求したりしていません。
しかし、新たに「CarPlayをサポートするために自動車メーカーに料金を請求する」ことや、「既存のCarPlayを無料版として提供しながら、新しいCarPlayをアップグレード版として有料で販売する」ことを、考えられるオプションとしてBloombergは挙げています。
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