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オープンソースの開発プロジェクトではコーディング以外のドキュメント化やサポートなどの貢献が特に重要


オンラインリポジトリプラットフォーム・GitHubのオープンソースコミュニティについて解説する「ReadME Project」が、オープンソースコミュニティでコーディング以外に必要な貢献について解説しています。

Non-code contributions are the secret to open source success · GitHub
https://github.com/readme/featured/open-source-non-code-contributions


カナダ在住の数学教師であるサラ・レインズバーガーさんは、自身が所属する合唱団のウェブサイトを構築するため、プログラミングの経験がなかったものの、趣味としてJavaScriptとウェブ開発の勉強を始めたそうです。

そして、レインズバーガーさんはウェブサイトの構築に、フロントエンドフレームワークの「Astro」を使おうと考えました。しかし、Astroは新しい技術で学習者向けのリソースが少なかったため、Astroの開発コミュニティに参加しながら理解を深めていったそうです。

そんなレインズバーガーさんは、記事作成時点でAstroのメンテナーを務めています。もちろんレインズバーガーさんはウェブ開発やプログラミングのスキルを磨いてはいるものの、基本的にコーディングには関与しておらず、Astroのドキュメントをまとめたり他の人の質問に答えたりする役割を担っています。


数学教師であるレインズバーガーさんは「私はプロジェクトの内部構造について最も知っているわけではありませんでしたが、物事を説明し、学習プロセスを通して人々を導く方法は知っていました。そして、何か分からないことがあったときに誰に聞けばいいのかもわかっていました」と語っています。

ReadME Projectは「オープンソースの貢献者と聞くと、機能追加やバグの修正など、コーディングを行う人たちを連想しがちです。しかし、オープンソースの開発プロジェクトはコーディングだけでなく、その作業の多くはレインズバーガーさんが行っているようなタイプの仕事なのです」と述べています。


VMWareのオープンソースコミュニティ戦略担当ディレクターであるドーン・フォスター氏は「オープンソースプロジェクトの成功に必要なものは、商用製品の成功に必要なものと同じです。つまり、ドキュメントやローカライゼーション、マーケティング、グラフィックデザイン、テスト、コミュニティ管理、リソース管理などです」と語ります。

また、コンテナ技術の推進を目指す財団「Cloud Native Computing Foundation」の開発者であるネイト・ワディントン氏は「たとえ素晴らしいプログラムを書いたとしても、それが何をするのか、どのように使えるのかを説明しなければ、誰もそのプログラムを使おうとはしません」とコメント。さらに「ドキュメントを書くのにコンピューターサイエンスの学位は必要ありません。英語の学位も必要ありません。あらゆるスキルレベルの人が参加できるチャンスがあります」と述べました。

しかし、コーディング以外の貢献が重要なのは明らかではあるものの、メンテナーは協力者をどうやって募ればいいのでしょうか。レインズバーガーさんは、X(旧Twitter)を検索し、Astroのドキュメントで誤字脱字や内容の間違いを見つけたとポストする人を見つけたら、ドキュメントを修正してみないかと勧誘するそうです。レインズバーガーさんは「ドキュメントを修正し、人々にプロジェクトへの参加の機会を与える簡単な方法です」と語っています。

オープンソースのエフェクトモジュールを開発するWinterbloomの創設者であるテア・フラワーズ氏は、DiscordやSlackなどのチャットプラットフォーム上にコミュニティを構築し、参加者が質問をしやすい環境を作ることを推奨しています。また、メンテナーが質問に対して「Help Wanted」や「Good First Issue」といったタグをつけることで、提案されたイシューへの貢献者が増加するとのこと。


さらにReadME Projectは、コーディング以外で貢献する参加者にもバッジや表彰などで目に見える評価を行うべきだとしています。これは貢献者のモチベーションを維持するだけでなく、新しい貢献者を招くことにも役立ちます。レインズバーガーさんは「私たちは、自分が大切にされている、あるいは公に認められていると感じるような機会をたくさん提供しようと努めています」とコメントしています。

ReadME Projectは「オープンソースのプロジェクトを存続させる上でドキュメントやサポート、その他コーディング以外の貢献を果たす役割を誰もが認識する時が来ています。お気に入りのプロジェクトに自分自身で貢献することに、遅すぎることも早すぎることもありません」と述べました。

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in ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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