企業がオープンソースをサポートする簡単な方法は「自社チームへの講演依頼」を行うこと
ソースコードの改変や再利用が可能なオープンソースソフトウェアは、無料で配布されるという点から収益を得るビジネスモデルを確立するのが難しいとされています。オープンソースを金銭面で支援したいと考えても、個人で可能な支援は限られており、組織の場合は「無料配布のものにお金をかけるべきではない」という意見が出ることが考えられるため、これもまた困難な道と言えます。起業家のサイモン・ウィリソン氏は、そんなオープンソースを支援するための簡単な方法として「講演を依頼すること」を挙げており、その理由を解説しています。
Support open source that you use by paying the maintainers to talk to your team
https://simonwillison.net/2022/Feb/23/support-open-source/
企業が利便性の高いオープンソースソフトウェアを財政的に支援したいと考えることは多くあっても、実際に支援するとなると想像以上に難しい場合があるとウィリソン氏は指摘。なぜならば、オープンソースソフトウェアは明確な収益構造をとっておらず、寄付の形ですら受け入れていない場合があるからだとのこと。その寄付であっても「コーヒー代として5ドル(約570円)をもらえませんか?」といった小さな支援のみを受け入れている場合は、たとえ支援したとしてもプロジェクトにとって実りのあるものにはなりません。
また、支援が難しいもう1つの理由として「企業内で賛同を得られない」ということがあります。企業のお金を使うことに対しては多くの利害関係者から賛同を得る必要があり、オープンソースソフトウェアに支援したいと考えるような人々は大抵企業内で十分な影響力を持っていないとウィリソン氏は指摘。もちろん個人やチームで財政的な支援を行えればいいのですが、それが難しい場合、「オープンソースソフトウェアの開発チームに講演を依頼してみては?」とウィリソン氏は提案しています。
1回限りの有償の講演であれば、企業のお金の使い方としてより合理的であり、認められる可能性が高いとのこと。在宅勤務とオンライン会議ツールの台頭で遠隔地からの講演も可能なので、より受け入れられやすいとウィリソン氏は説明しています。
ただし、優れたソフトウェア開発者が必ずしも優れた講演者であるとは限らないという点がネックだとウィリソン氏は指摘。この場合、事前に自社チームから質問を集め、司会の経験がある自社の社員を使い、開発者とのQ&Aセッションとして開催するのがよいとのこと。これにより開発者のプレッシャーが大幅に軽減され、自社チームの関心やニーズに的を絞ったセッションが行えると説明しています。
ウィリソン氏は「企業には『社員教育』という枠組みの予算が設けられている場合があり、これは上に述べたような講演に最適なものとなります。お金を集めるのが苦手なプロジェクトに対して、寄付という形以外の支援方法を提案します」と述べました。
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in Posted by log1p_kr
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