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NGINXのコア開発者が親会社と決別、新たに「freenginx」という名前でフォーク版を作成開始


NGINXは世界で最も使用されているウェブサーバーですが、そのコア開発者の1人がNGINXを所有している会社であるF5 Networksと対立し、NGINXの開発を離れて新たにNGINXのフォーク版である「freenginx」を開発すると発表しました。

announcing freenginx.org
https://freenginx.org/pipermail/nginx/2024-February/000000.html


NGINXはロシアの開発者イーゴリ・シソエフ氏によって2004年に無料のオープンソースソフトウェアとしてリリースされました。その後、ソシエフ氏はマキシム・ドゥーニン氏およびアンドリュー・アレクセーエフ氏と共同で2011年に商用サポート提供のための会社Nginx Inc.を設立。着実にシェアを伸ばし続け、2024年2月時点では世界中のウェブサーバーのうち34.1%でNGINXが使用されていると推測されています。


Nginx Inc.は2019年にアメリカのサーバー企業であるF5 Networksによって6億7000万ドル(約1000億円)で買収されましたが、NGINXのブランドとオープンソースであることを維持し続けると発表しており、買収後も買収前と同様に開発が行われていました。

F5 NetworksがWebサーバー企業のNGINXを買収、開発者とネットワーク運用チームの橋渡しになるか - GIGAZINE


しかし2024年2月14日、Nginx Inc.の共同設立者の1人であるドゥーニン氏はNGINXのメーリングリストにおいて、F5 Networksと決別し、新たにNGINXのフォークとして「freenginx」の開発を行うと発表しました。

発表によると、ドゥーニン氏は2022年にモスクワ事務所が閉鎖された時にF5 Networksとの関係が無くなっており、それ以降はボランティアとしてNGINXの開発に携わっていたとのこと。無給であること自体については問題ありませんでしたが、F5 Networksの管理職が交代し開発者やコミュニティを無視してNGINXのセキュリティポリシーに干渉したことについて「合意に反する」と問題視しました。

さらに、NGINXの開発が完全にF5 Networksの管理下に置かれてドゥーニン氏が制御できなくなってしまったことや、NGINXがもはや公共のために開発されている無料のオープンソースソフトウェアと見なせなくなってしまった点に触れ、「NGINXの開発を企業の自分勝手な行動から守るため」として新たにNGINXのフォーク版である「freenginx」プロジェクトの立ち上げを発表しています。


NGINXを開発したシソエフ氏は2022年にNGINXの開発から手を引いており、2024年2月時点ではNGINXのコア開発者はドゥーニン氏を含めて3人しかいないと推測されているためドゥーニン氏の辞任が開発に与える影響は大きそうです。

なお、ドゥーニン氏はメーリングリストの返信において、セキュリティポリシーへの干渉の例として「実験的なHTTP/3のコードにおいて発見された典型的なバグについて既存のセキュリティポリシー通り通常のバグとして処理することに全開発者が同意していたにも関わらず『セキュリティ勧告』を行ったこと」を紹介しました。「このこと自体はわずかな問題かもしれないが、そのほか一般的なアプローチ全般において大きな問題があった」とドゥーニン氏は述べています。

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