買収されたメールサービス「Skiff」が突然サービス終了を発表して非難殺到、メールアドレス消失でユーザーが大混乱
プライバシーに配慮した暗号化電子メールサービスを展開していたSkiffが、多機能クラウドツールを提供するNotionに買収されることを発表しました。ところが、買収後はメールサービスを継続せず、わずか半年でメールアドレスが消えてしまう上に、そのことを適切にユーザーに説明しなかったことから、さまざまなアカウントのIDや連絡先としてSkiffのメールアドレスを利用していたユーザーからの問い合わせが殺到していると伝えられています。
The Skiff Privacy Fiasco, or How not to Shutdown Your Startup
https://blog.notesnook.com/the-skiff-privacy-fiasco/
Encrypted email service Skiff gets acquired, will shut down in six months | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2024/02/encrypted-email-service-skiff-gets-acquired-will-shut-down-in-six-months/
Skiffの公式X(旧Twitter)アカウントは2024年2月10日に、Notionに吸収されることを発表しました。
Skiff is joining @NotionHQ ????
— Skiff (@skiffprivacy) February 9, 2024
We're excited to accelerate Skiff's mission by joining Notion. The world needs tools that empower people and put their interests first.
We're in a better position than ever to deliver this change.
Read more on???? https://t.co/Jh4qxcOPc7
しかし、このポストに付けられたコミュニティノートが「このツイートとリンク先のプレスリリースでは、すべてのSkiffサービスが廃止され、ユーザーが他のサービスに引き継がない限りデータが失われれることが言及されていません」と指摘しているように、Skiffのサービスが今後どうなるのかの説明がほとんどなされなかったことから、ユーザーの間に不安と困惑が広がりました。
例えば、あるXユーザーはSkiffの投稿に、「買収を通告するメールを受け取り、すべて読みましたが、かなり混乱しています。私は今後も@skiff.comのメールアドレスを使うことができるのですか?」と返信しており、サポートチームからの連絡に今後の予定についての情報がほとんど記載されされていなかったことがうかがえます。
I received the email and read it all, I’m quite confused. Will I still be able to use my (name)@skiff.com email?
— Rica ????️???? (@pics4theatre) February 10, 2024
Skiffの公式サイトのトップページは、買収についての発表に置き換えられており、ページの最下部に小さな文字で「データの移行について学ぶ」というリンクが付けられています。
そして、このリンク先に掲載されている1つ目のFAQをクリックし、「私たちの使命」「私たちの次の旅」「すべてのオンラインライフをより自由で力強いものにするための壮大な計画」といったうたい文句を読み進めた先にある4番目の段落に目を通してはじめて、ユーザーは6カ月の移行期間とその後のサービス閉鎖を知ることになります。
この対応について、IT系ニュースサイトのArs Technicaは「自画自賛的な買収ニュースの下にユーザーへの案内を埋もれさせてしまったことで、Skiffのユーザーは使い捨ての後回しにされたように見えます」と述べました。
また、メモアプリ・Notesnookの主任開発者であるアブドラ・アッタ氏は、今回の混乱を分析したブログ記事で、Skiffの発表にはマーケティング用語と美辞麗句が並べられているばかりで、ユーザーへの配慮がまったくなかったことを指摘した上で、「Skiffの喜びようとユーザーの失望や不満との間には、深い溝があります。これでは、家が全焼した隣人に向かって笑顔で冗談を飛ばすようなものでしょう」とコメントしました。
最初の発表から3日後、Skiffは「ご不便をおかけして誠に申し訳ございません。よくある質問への回答を改めて記載させていただきます」と述べて謝罪し、受信したメールをエクスポートする機能があることや、有料会員が払い戻しを受けることが可能なことなどを改めて案内しました。また、1年の間メールの転送サービスも継続されるとのことです。
Hey all! We deeply apologize for the inconveniences caused, and we're reiterating some answers to common questions
— Skiff (@skiffprivacy) February 12, 2024
- You can export your entire inbox in one-click as an MBOX file, even 100k+ emails
- Skiff's open-source repositories remain up and open
- If you are a paying… https://t.co/QdgwdJ6ABQ
2022にサービスを開始したSkiffは、エンドツーエンドの暗号化を特徴としたセキュリティの高いメールサービスが人気を博し、2023年11月にはユーザー数が200万人に達しました。好調なスタートを切ったかのように思えるSkiffですが、Notionによる買収の背景には経営の行き詰まりがあった可能性が指摘されています。
アッタ氏は、「Skiffのサービス終了の理由として最も可能性が高いのは、経営が成り立たなくなったことです。Skiffはシード資金としてベンチャーキャピタルから約1400万ドル(約21億円)を調達していますが、これは利益を上げなくてはならないという外部圧力にさらされることを意味します。そして、Skiffがサービス終了を決め込んだ以上、彼らがその約束を果たすことに失敗したのは明らかです」と述べました。
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